VIOLETOPIA


指田珠子先生作品は冬霞しか観劇できていませんが、VIOLETOPIAも楽しみにしていました。
冬霞は元々ダークなストーリーもありますが演出や舞台セットも退廃的で妖しくて素敵な雰囲気がとっても好きだったので、予習せずにVIOLETOPIAを見ても、もしかして指田先生?と思ったかもしれないな。
初見はもやもや言ってますが大好きな作品です。見れば見るほど新しい見方が出てくるスルメショー。

初見はもやもや


まずは初見の感想。
●オープニング~ラガドゥ
曲めっちゃ好みで青木先生𝑳‌𝑶‌𝑽‌𝑬…
黒い服の下級生みんなかっこいい!黒服が並んで歩いてるだけでなんであんなかっこいいのか…
この並び方お顔もよく見えるしとても良い。
高いところにいるひっとーーん!かわいいよー!!緑のもしゃっとした衣装もなにか意味がありそうで。
次の2人の銀橋ソングもかわいい!傘大穴。
あまっつぶぅ〜の言い方大好き。ひっとん緑の衣装、植物かなぁと思ってて。ことさん雨宿りしに来たの?かわよ。

ここまではよかった。ここから、わかんないな…??の連続になってしまって。

●バックステージ
下働きの少年?青年?かわいいのに大人は魅力が見え隠れするありちゃん、やたら目に飛び込んでくる色気爆弾かのんくん、熟成されまくってとんでもないことになってる天華さん。
衣装と看板?みたいなのの柄が幾何学模様ぽくてなんだかリンクしているようで意味あるの?と深読み、かのんくんの上着を借りて主役になるありちゃん、ポジション奪い取ったは良いけど結局元通りになって終わり。
ん〜、さみしげ!でも引き続き頑張って!

●サーカス
砂漠にサーカス。いい雰囲気。衣装も好き。
ことさんは何の動物だろう?それとも妖精?ダンサー?なこちゃんといい雰囲気になりそうになったら極座長に邪魔され、サーカスは気がついたら消えていた…手元に何も残ってない。影だけが見える。寂しい。

●ベレー帽
明るい雰囲気に戻った。
楽しいし、曲かっこいいし、衣装もトラディショナルをつぶして現代的にした感。聞こえた歌詞:狙うのは大当たり、偉い人に受けたい、でも〜〜、
ん?先生の本音??ことさん登場してさらに楽しい雰囲気!と思ったら怪しい黄色い服のみなさん。絡め取られてる。なんだ?しがらみ?

●キャバレー
なこちゃんの!スーツ!ハット!かっこよ!
女装ありちゃん、ユニゾンすごい、でもみんな消えちゃった…
悲しい、恐ろしい、でも愛おしい…
舞台芸術全般のこと?恐ろしいとは…

物悲しい終わり方の場面ばかりで、全てが幻に終わって、ストーリーがあるようで全く見えなくて、雰囲気、衣装、曲を楽しむことはできても、ありそうなメッセージを受け取ることができなくて、なんだか消化不良…と思っていたら、最後のサングラス…
匿名希望??

なんだか、宝塚を見に来ている人への皮肉とも受け取れて、普段のショーと全然違う。
すみれトピアってつまり宝塚歌劇の名前を冠した架空の劇場、場所を題材にしているのに、listmaniaの原曲和訳もそうだし、すべての劇場は虚構、幻と言わんばかりのつくりで、いつものゆめゆめしい気持ちで席を立つことができませんでした。う、受け止めきれないよ先生!!
私が初見で受け取ることができた感想は表面的なものだとは感じていて、受け止められなかった、このショー奥に込められたものを探しに行くことになるのでした。

恐ろしい、愛おしい、とは?



パンフレット、歌劇のインタビュー、NOW ON  STAGEを見てなんとなく腑に落ちたのは、先生にとって劇場は恐ろしいもので畏怖の対象であり、愛おしいものであるということ。
劇場が恐ろしいとはどういう感覚か最初はピンときませんでしたが、いちファンとして見るのと、創り出す側から見るのとでは、大きさも重みも違うだろうというのは想像できます。作家でも、演じてるジェンヌの皆さんでも、そこは同じでしょう。
100年以上続いてきた偉大なもの。自分がその大きなものを背負い、引っ張っていかないといけなくなったという重み。
そして作品を書いたのはたしかにご自身だけど、照明、音楽、演者が関わってくると、命を持ったようにかたちが変わっていく感覚があるんじゃないかとも思います。自分の手を離れて、勝手に動き、大きくなっていっているのではないでしょうか。それが、面白くもあり、怖いのかなとも。
劇場という場所には観客を含め、関わる全ての人の気持ちや、運命みたいなものも、本当は漂っているのかな。人がいなくなると見えるんだろうな。
誰もいない劇場って、見ている側はそうそう入ることはないので想像するしかありませんが、たとえば閉店後のショッピングモールとか、終電が終わったあとの駅とか、夜の学校とか、さっきはあんなにたくさん人が居たのに、というあれに似ているのでしょう。みんなどこへ行ってしまったのだろう、と考えると、怖い、という感覚もわかる気がします。
そして、そうやって消えてしまうし、無くなってしまうものだからこそ、人がたくさんいて曲が鳴り、照明がついている間のできことを愛したい、いずれはここも廃墟になってしまうかもしれないから。
…ということなんだろうか、と今は感じています。

一見難解な場面があるほうが心や記憶に残るので、そこは狙っていらっしゃるのかなとも思いました。

バックステージの場面でも、いつか主役にと頑張っているありちゃん。主役になれはしても夢の中で、現実に戻ってきてしまうけどがっかりどころかケロッとしていて、まぁこれからも頑張ろうかぁみたいな雰囲気。

サーカスの場面では、蛇さんがなこちゃんにお花を渡そうとして結局渡せずに去っていくけど、お花と蛇さんの影は遠くに残っていて、これは遠くても、幻でも、蛇さんがなこちゃんを少しでも愛したことは事実だったのを示してるのかなと。このシーンについては、幻でもきっとそこに蛇さんはいたんだと思います。全場面通してこのシーンめっちゃ好きになってます。切なくて愛しい。伸ばして1本芝居できるんじゃないかな?

ベレー帽の場面。
若い役者もしくは演出家が、上京してヒット作を狙いたい、と歌っているとおり。あまとくんに続いてありちゃんたちも同じ若手で、テンポの早い曲でとにかくフレッシュなアピール。そこへ、せりあがってくる礼さん。
いっしょになって頑張ろう!!と踊るけど、いつの間にか恐ろしい曲になり、黄色い謎のイメージに囚われて苦しんでいく。これ、パンフレットに役名「キャラクター」と記載あるのを見てようやく、なるほどなぁと思いました。
作家自ら作ったキャラクター、役者がなろうとするキャラクター。
生みの親の想像を超えて力を持ち、上演されることで全く別物になっていく様子にも見えます。先述しましたが、それはきっと嬉しいことなのだろうけど、その大きな力は恐ろしくもあるのでしょう。
また役者にとっては、どんなに走っても努力しても追いつけないキャラクターというものは、いちばん役者を苦しめる存在なのかもしれないですね。

キャバレーを経て、現在の時間?に戻ってきたところで、ことさんのソロダンス。モノとしては残らず消えてしまう運命である舞台、建造物であるが故いずれは廃墟になるであろう劇場。集めたくても集められないし、形には残すことができない。でもそこにあったこと、彼やお客さんや、消えてしまった役者達はたしかにいて、記憶に残る。それはとても愛おしいことだと、踊り歌っているんだと思います。
それを今上演していることを大切にしたいと、ことさんは思ってらっしゃるように私は感じました。

最後のサングラスは、未来(かもしれない)とのことでしたね。匿名希望じゃなかった〜!よかった!
未来の宝塚、どんなでしょうね。でも私はすでに、このショーめっちゃ斬新で、未来だなと感じてますよ。

プロセスをくれる作品


初見でぽかぽかした気持ちで劇場をあとにするいつものショーとは違う角度で、宝塚ってやっぱりいいなぁ、と思える稀有な作品だと思います。
ここまで思えるようになるまで2、3回観劇+各インタビューを見る、というプロセスも必要だったので、そこも込みでのショーであったように思います。
お芝居の方は原作や歴史的背景や地理など、あとで調べなきゃと思うことが多い半面、ショーは、初日映像を見まくることだけが作品を味わうことになりがちでしたが、心に残るショーは沢山ありますがこんな形でというのは、唯一だなぁと感じます。

蜷川実花さんの世界、と表現する友人が多いですが、私は儚い、夢かもしれない、いつかなくなってしまうかもしれない、愛おしいもの、といえば、トトロっぽいなと思ってます。大人になって見たらめっちゃ切ないしそんなピュアさももう残ってないって感覚で…でも、=VIOLETOPIAは、ほとんどの方に伝わらないとは思いますが!笑

指田先生、ハマりそう。もはやハマったかもしれない。
龍の宮物語みなきゃ。
次回作も楽しみにしています!!!!



下記、ひとりごとメモ
RRR含む。

WATERRRの存在ってやっぱり最高やん、希沙薫くんだからできたあのお役、だと思ってます。
なんかイケメンおると思ったらだいたいえりせさん、タケルくん。
VIOLETOPIAのフィナーレ群舞でおふたりともにやられました。好き。


RRR
天華さん、ナートゥの直前で給仕してるとこ毎日ふざけまくってて楽しかった。
グラスに果物無理やり乗せたり。果物食べたり、シャンパン飲んだり。
ナートゥ後
ことさんが落とした髪飾り?を我先に拾おうとする給仕のふたり。
「なぜだろう?兄貴に触発されて、客席にも触発されて、歯止めがきかなくなった」→拍手。

VIOLETOPIA 最後の群舞のとこ、天華さんがやたら彩園ひなちゃんをハグ、周りのみんなに微笑みかけてた。

listmaniaで極くんが客席に飛ばした投げキスを、即掴んで食べる天飛くん。かわいい。



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