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春、就活、故郷について

 今日すごく暖かくてびっくりした。届いたばかりの水色のカーディガンを着て出かけられて、1日中幸せだった。合わせて買った透明な蝶のヘアクリップで髪をまとめた。かわいいので街中に鏡があると何度も見てしまう。

 地元企業の二次面接を受けた。福岡ではかなり大きな会社で、親とその会社の人事が知り合いだったので受けたという部分があって、二次に進んだのは自分の実力なのか下駄をはかされているだけなのかよく分からない。

 面接官にも上手、下手があると思った。まず大前提として、21歳の女子と、50代や60代の男性が、いきなり人生の根本的な価値観や未来図について話したところで分かり合えるわけない。しかも初対面で。なんだか表層的な質問しかされなくて、表層的な返答しか出来なかった。多分今日の薄っぺらさや取っ掛かりのない感じは、話題がいろんな方向へ横断しすぎたせいだ。しかし、たまにおじさんでもすごく話しやすいなと思う人がいるし、やっぱり今日の面接官はあんまり上手じゃなかったと思う。

 正直落ちてもいいと思っている自分がいる。理由は、地元に戻って働くことについて悩み始めたからだ。正直、自分の中には天秤があり、研修の充実した大きな企業であるならば地元でもいい。でも環境が良くなかったら、やっぱり選択肢の多い首都圏がいい。そういうことをうまく伝えられたら良かったんだけど、時間も限られてるし、ただ「福岡で受けているのは御社だけです」としか言えなかった。難しい。

 少し前は、福岡は良い街だし、十分に都会だし、経済的にも文化的にも昇り調子にある街だから、なんとなく戻ってもいいと思ってた。福岡にあんまり欠点はない。でも今日の面接を経て、かなり揺らいでしまった。もう少し、東京にしがみつきたい気がする。(今私が住んでるのは埼玉だけどね)

 ここで、私が思う福岡と首都圏の違いを整理してみる。小中高と大学生活ではあまりに行動の自由度が違うので、特に仕事の選択肢の点ではあまり私の中に比較材料が揃ってないけど、まあ想像の範囲内で。

 東京は言わずもがな、なんにでも出会える街だ。いろんな種類の仕事があり、アートの展覧会があり、素敵な服や靴があり、何より、人がいる。ただ家賃が高い。いつになったら自分のお金で、2部屋以上ある家に住めるのかと考えると途方にくれてしまう。私は部屋の内装を考えることが好きだから、そろそろ1Kじゃ満足できない。でも、アイドルの追っかけというまた別の趣味のことを考えるとやっぱり首都圏を離れたくない。社会人になっても、急に午後休をとってライブや映画の試写会にいきたい。そういったことが私を頑張らせてくれるから。

 ところで、首都圏の方があらゆる人間を受容してくれるという意見には私は賛同しかねる。むしろ私は、首都圏の方がラベリングが酷い気がする。住んでいる沿線や出身校をよく話題に持ち出して、裕福だとか貧乏だとか、育ちが良いとか悪いとか決めつける選民主義の存在をよく感じる。そういう話を聞くと、たとえ冗談でも私は悲しくなる。私はもちろん都内の中高一貫校どころか地方の学校を出ていて、ずっと公立だったし、広尾にも田園調布にもタワーマンションにも住んだことがないから。それでも両親は私を経済的に何不自由なく育ててくれたし、地方の高校でも刺激的な毎日を過ごした。そういった私を形作ってきたものすべてに対して、根底からNOと突きつけられているような気がときどきしてしまうというのは、繊細すぎるだろうか。このnoteを見た地方出身の人がいればぜひ意見を聞きたい。

 反面、福岡は意外と受容性の高い街だと思う。他の東アジアの国々と近いから昔から外からのものに対してすごく寛容なところがある。外国人も多いし、地方都市にしては他県から移住してくる人も多い。福岡市は2018年の時点ですでにパートナーシップ宣誓制度を可決していたり、ICTを使ったデジタルな街の運営も国内トップレベルに進んでいて、スタートアップ企業への応援も手厚い。新しい人、もの、考え方を臆することなく受け容れていく街なのだ。そういう点において、私は本当に故郷のことを誇りに思う。

 なんだかいろんなところにトピックがばらけてしまったけど、こういうわけで私は故郷のことも好きだし、でも東京にしがみつきたい気もして、すごく迷っている。ただ、東京より地元の方が有利に就活を進められそうな感じもあるのだ。その理由は高校の名前が地元で有名だからということに尽きてしまうが。ただ、対面の面接のためにそう何度も飛行機で往復するのは難しい。

 やっぱり東京の就活は難しいと最近思う。優秀な人がたくさんいる。学歴だけじゃなくてすでにビジネスコンテストやハッカソンでの受賞歴のある人、自分の会社がある人、SNSで成功している人...そういう人たちと戦っていかなきゃいけないことに正直ビビっているし、すでにたくさんの企業に落ちている。ただ、それを理由にすごすごと地元に引き下がるというのも情けない。このnoteを書いていると、やっぱり東京に最後までしがみついて、戦意喪失、満身創痍だっていうくらいになってから、故郷に帰るべきだという気がしてきた。

 お母さんごめん。娘が近くにいたら旅行や買い物や食事にもっと一緒に行けるのにってこぼしたのを私は知っているけど、娘が二人もいるのにどちらも近くにいなくて、申し訳ない。というわけで、なんやかんや地元企業の就活で良い線までいけそうな空気が出ていたのだがまた白紙に戻って最初から頑張ろうと思う。



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