物が買えないのだという話

この話をどこからしようか迷った。とりあえずここから始めようと思う。
物が上手く買えないと気づいたのは一人暮らしを始めてからだった。正確には物に興味がない。
一度サークルで作業をしていて、私以外の同期が雑誌を開いてガヤガヤしているのにキレたことがある。理由は寝不足やうるささや進捗のヤバさなどもあったけどその時の話題は雑貨の話だった。雑貨、フットランプ。落ち着いた後に(彼女たちは私の気難しさに理解ある子だった)言ったのは「何故必要なのかわからない」だった。フットランプ。何故必要なのか。蹴飛ばしそうだと思う。
初めはインテリアに興味がないのだと思ったが何年か過ごすうちにそうではないと悟った。雑貨、化粧品、服飾、アニメグッズ。リア充でもオタク系でもどちらにしても、女子が興味を持つとされるものに興味が湧かなかった。興味を持つのは多少の本とCD。そのどちらもダウンロード販売が一般的になれば手放すかもなと眺めている。

「巣作りをしないのね」。私の性質を知る人にそう言われた。巣作り。キラキラしたものを集めること。好きなもので自分を囲うこと。確かにな。

集めたものが埃をかぶり、タバコのヤニまみれになる家庭で育てば自然とそういう性質になるのかもしれない。

ところでこの話をすると大概「家に物がなさそう」と言われるが自室は汚い。同人誌と図書館で借りた資料と自分の本が地層となっている。思うに生活感のない部屋というのは、それだけ物に興味がちゃんとある人のことだと思う。管理するという、興味。

物に興味のない人間は汚部屋になるという仮説を誰か実証してほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?