衣服の効用


 衣服は人間が外部から自分の身を守るために必要不可欠である。衣服があることで、寒さを防ぎ、汗をぬぐってくれるなど様々な役割がある。服は私たちに様々な効果をもたらしてくれるのだ。
 服は人の印象を大きく左右する。自分がどのような服を着たいのか、似合うのかと悩み、トップス、ボトムスをどのように組み合わせるのかとコーデを楽しむことができる。色、生地、形、デザインなどにより服が人を印象づける。普段私たちが衣服について深く考えることはないが、衣服がもたらす影響を考えていくことにする。
 第一に生地がもたらす効果を述べることにする。服を構成する繊維には綿、麻、絹、ウール、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ナイロン、アクリルがある。綿は古くから用いられており、衣服に使われることが多い。特徴は肌触りがよく、吸水性に富み、熱に強くて丈夫である。最近、綿が使われている衣服が少なく、化学繊維が使われている衣服の方が多いように思われる。しかし、ポリエステルはしわになりにくいという特徴をもっており、化学繊維は天然繊維に似たものとして作られている。どの生地がよいとは一概には言えないが、それぞれの繊維には特徴があるので、用途に適した使い方をすべきだろう。例えば、冬は保温性に優れているウール、シルク、カシミア、アクリル、ポリエステルが適している。これらの素材の衣服を身に着けることにより、冷え症を防ぐことができる。防寒はただ単に、服を重ねればよいのではなく、保温性のある衣服を身に着けることが重要なのである。
 第二に色がもたらす効果について述べる。色により、心理的、生理的、感情的、文化的な影響を与える。夏は感覚的に涼しさを感じたいため、水色や青などの寒色が好まれる傾向がある。私自身も夏は自然に青系の色の服を選んでいた。一方、冬は赤やオレンジなどの暖色が多い。季節に応じて私たちがどのように感じたいのかが自然と衣服に表れているように思われる。また、色は相手に印象を与えるだけではなく、服の色は着ている人自身にも影響している。例えば、スポーツでよく使われる色として赤がある。赤は闘争心を高める効果があり、心理的に影響を及ぼしている。色はただの色として認識されることが多いが、人の心や気持ちに大きく影響しているのだ。
 第三にデザインがもたらす効果について述べる。服の柄や形により、人に与える印象が大きく変わる。例えば、豹柄は派手な印象を与え、無地は清潔感を表す。警察官や看護師の制服は統一したイメージを与える。そのような制服は外的なイメージだけではなく、色の効果と同様に制服を着ている人の内面にも影響を及ぼしているのではないか。精神面では、おそらく制服を着ることで、その組織内に属しているという意識や連帯感、忠誠心を高める効果があると考えられる。家ではジャージを着ている人でも、スーツを着ることで清潔感が増す。どの場面でどのような服を着るのかで外部と内部、両方に影響をもたらすのだ。すなわち衣服は人間にとって重要な要素と言える。
 第四に衣服は人が豊かに満足して過ごすためにあるのではないか。衣服が存在することで、人々が服に興味をもち、服を組み合わせ、ファッションとして楽しんでいる。ファッションに興味のある人は服でおしゃれをすることで楽しみを感じ、一方興味のない人でも服のおかげであたたかみを感じ、生活が豊かにそして快適になっているのだと思われる。服は生活に魅力を与え、心を満たしてくれる作用があるのだろう。
 このように衣服は私たちの身の回りに様々な影響を与えている。普段、自分が相手にどのような印象を与えたいのか自分自身がどのように感じたいのかにより、衣服を選択し、身に着けているのだと思われる。衣服のもつ影響を利用し、有効に衣服を選択する必要がある。一人ひとりの心理が表れているのが衣服だと考えられるので、人の服装を観察してみるのも興味深いかもしれない。


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