どたま

フットボール✖︎データ分析 G大阪VSサガン鳥栖

始めに

お久しぶりの更新です。データサイエンス✖️サッカーに取り組んでいるナオキです。統計やpythonについて勉強中なのですがイマイチサッカーにつなげることができておりません。。。何かアドバイスがあれば是非お願い致します。

基本的にはガンバ大阪を追い掛けており、今回は11節のG大阪VSサガン鳥栖を分析していこう。

過去記事はこんな感じ


目標、目的、手段

目標は既存にないサッカーにおけるデータ解析を行い、より良いフィードバックを可能にしたり、あるチームやサッカーそのものについてより深く知ることである。

個人的にはトランジションを詳しく見ていくことでチームの特性がわかるのではないかと考えており、本分析もボールの移り変わり時に着目しており、トランジションを詳しく見ていくことが本稿の目的となっている。

手段としては2つのデータ分析を行い、その2つを合わせることで定量的な議論を目指している。

2つのデータ分析とは以下である。

① トランジションの時間、位置、奪取後のプレーの情報を集めること。

②ボールのa 移り変わり時(奪取時)の選手の配置、b 超えた相手のラインc 何人を置き去りにしたのか、d トランンジションに関わる選手の体の向きなどの項目を調べ、どれが一番トランジションに関わるのかを調査検証すること。

①からは当該チームのトランジション時の振る舞いや狙いが定量的に説明できるのではないかと考えている。

②からはサッカーにおいてトランジションがどのような意味があるのかを説明できるのではないかと期待している。

今回とったデータ

今回は「デュエル付きでの一方のチームからもう一方にボールが移り変わることのエリア、その後のプレー選択」のデータを計測した。

理由としてはより純粋なトランジションを見たいのと、データ分析を進めるためデータを絞りたかったからである。

基本的にはデュエル付きのもののみを数えており、ボール奪取やパスカット(インターセプト)などが例である。外に出てボールが移り変わったり、相手のクリアボールをフリーで受け取る、パスミスを拾うなどはなどは計測していない。

「移り変わる」の定義はボールを得た選手がボールを操作下にあり次のプレーに移行できているかどうかで判断した。パスに対して足を出して当たりどこかへいくようなプレーはカウントしていない。あくまで次のプレーへの移行していることが条件である。

その後のプレー選択は主に以下の4種で分類

ボール保持 奪取後にボールを下げたり横パスをしていること。速攻の意思を示さずボールを落ち着かせている場合

速攻 奪取後の素早い攻撃を示す。奪取後ドリブルで前進したり目安ではあるが奪取後3本以内に縦パスは速攻に分類した。斜めのパスについてはその後のプレーを見て分類している。

クリア ボールを大きく前に蹴り出す行為。蹴る瞬間の顔の上げ方や前線の選手の位置から速攻とクリアを分けている。

ロスト 奪取者がそのまま奪い返されること、奪取後繋いだ後に失ったものは基本カウントしない。あくまで奪取者のプレーだけで判断した。

今回増やしたデータ

前回から違う点は、①についてのデータにおける速攻に注目し、奪取後に狙ったエリア(速攻時)の位置、時間、選手、結果のログデータも取得したことである。

結果の定義は、敵陣(前方3マス)で奪った場合はチャンスを作ることorCKの獲得を成功とし、自陣(後方)では敵陣への侵入を成功とした。


G大阪のネガトラ問題と鳥栖のポジトラのうまさ

今回からは、定性的な分析も交えつつ、データを使って定量的に分析することを試みる。

まずは前半から、この日ボールを握ったのはガンバ大阪であった。遠藤や倉田を中心にボールを回しつつ攻めるも鳥栖の守備を崩せず前半16分にセットプレーから失点。誰もマークを見ていないという切ない失点である。

引き続きボールを回して攻めるも引いた鳥栖の守備を崩すことができずに、カウンターを食らう展開に。

                  図2

                  図3

図2は奪取位置のログデータをとったもので。図3は奪取後に選択したプレーの割合を棒グラフにしている。

試合を見ていて感じたのはG大阪の攻め込みボールロストした後、つまりネガティブトランジション時に奪い返すことができずに、速攻を受ける場面が多いことである。

そのことは図を見ても正しく、図からG大阪は前線でボール奪取できず、逆に相手陣地(鳥栖側の後方2ブロック)で奪われた後によく速攻を受けている。

ここからわかる可能性としてはG大阪はネガトラ時(特に敵陣)に問題を抱えているのではないかと言うことである。

より細かく、奪取後にカウンターを受けたケースを見ていく。

                 図4

この図は先程の図から鳥栖のポジティブトランジションにおける速攻を抜き出したもので、奪取後にボールを運んだエリア、つまり狙っていたエリアを頻度別に色分けしている。前進した表示であり、ダイレクトで繋いだものもあれば、何本か繋いだ後に縦パスで狙ったものもある。この図から奪取後に金崎(5回)、クエンカ(3回)を中心にボールを収めることで速攻につなげていくことがわかり、奪取後にガンバが中央のスペースを使われていることがわかる。プレーとしてはクエンカはそのままドリブルで持ち上がることができ、金崎は簡単に叩いてプレーしていた。

後方では、なんと6回中全てに成功している。前方の3回の内2回はCK獲得とシュート、1回は再びボール保持攻撃に移行となっており、ガンバのボールロスト時の対応が良くないことがわかる

このネガトラ不備の理由としては攻撃陣がアタックしている時に、ロスト後の予防カバーリングの位置が取れていないことや、ガンバは攻撃時にポジションチェンジしながら攻め込むことが多いこと、などが試合を見ることで読み取れた。特に1列目のネガトラ時の守備と中盤ラインとDFラインの間にスペースはかなり鳥栖に突かれていた。

鳥栖側から考えてみると、基本は豊田が最前線でロングボールの起点となり、金崎やクエンカがボールを引き出すことでカウンター攻撃を仕掛けていることがわかる。

G大阪のボール奪取

高い位置からファンウィジョやアデミウソンなどを中心にプレスをかけていたG大阪であったが、前半はロングボールで交わされることが多く機能していなかった。これはもちろん鳥栖がロングボールを選択することが多いことも関係している。

前線(前方3ブロック)で奪えたプレーを見ていくと、3回の内ロスト2回、ボール保持1回とうまく速攻には繋げる事はできなかった。

各トランジションを詳しく見ていくと、ロストした2回とも奪った後に鳥栖の切り替えが早かったことと、ややG大阪の選手のタッチが乱れたことから再び奪い返されており、ボール保持の1回に関しては横からの奪取になったため相手のラインを超えるような奪い方をできなかったという形であった。

ただここまで記事化した試合でも前方ではボールを奪えていないので、ハイプレスをする上での課題ではないだろうか。

次に後方でボール奪取後、速攻に移ったプレーを詳しく見ていく。

                 図6

サンプルは少ないが基本線は縦に早く蹴っ飛ばすことが多い。カーブ線は浮き玉を示している。

ターゲットはファンウィジョで(29:46)の場面もこの後サイドの裏にウィジョをロングボールで走らせている。この3回の内敵陣に進入は2回成功し、(0:59)のはカットされている。

エリアを狙うというよりはファンウィジョに対してロングボールを出し、独力でゴールまで行くことを狙っていたようだ。

後半に移っていこう。

後半 G大阪の奪取後の問題点

G大阪は遠藤に変えて食野を投入する。狙いとしてはどうしても遠藤のが降りた時にファンウィジョが孤立してしまうことを改善したかったと思われる。

後半のデータは以下である。

                  図7

                  図8

鳥栖のボール奪取が増え試合が激しくなっていく。G大阪は中々ボールを奪えず鳥栖のボール回しに手を焼くことも散見された。奪取後のプレーを見ていくとG大阪、鳥栖ともに速攻の割合が減っている。鳥栖については勝っていることもあり試合を落ち着ける方向で進めていた。G大阪側で見ると後述するように鳥栖の対応にうまくやられた印象である。

図から見ていくと、中央のアタッキングサードでガンバが崩しきれず、鳥栖がよく守っていたことがわかる。また鳥栖はガンバの敵陣中央で奪われることがほぼなく、攻撃陣がカウンターを喰らわないうまさが光る。

ここでG大阪の奪取後のプレーの詳細について見ていく。青が奪った選手と位置で緑は次のプレーで受けた選手の位置である。

                 図9

低い位置で奪った時は鳥栖の切り替えが早く、ファウルで潰される場面が多い。

67:17の速攻についてはアデミウソンがドリブルで敵陣に進入することに成功。

問題点は前方にあり、ボール奪取した4ケースでは全てシュートまではたどり着けず、チャンスすら生めていなかったのは残念なところ。

ガンバの問題点は恐らくこの辺りにあり、奪ってから速攻の精度に問題があるのかもしれない。

試合自体は72分鳥栖は豊田へのロングボールからクエンカがPKをゲット、これを豊田が決めきり2−0。90分にはガンバのミスパスからトーレスがシュートし、原川が押し込み3ー0。ガンバは94分に食野がゴラッソを叩き込むもタイムアップ。3−1でサガン鳥栖の勝利となった。

まとめ

今回は結局①のみの解析となった。今回のデータ収集、分析から鳥栖がめっちゃいいチームではないか!!!となった。各ポジションにいい選手がおり、CBの高橋祐、CH原川、SHクエンカ、FW金崎とトランジション時に存在感を発揮している選手は試合を通じて見てもいいプレーをしていた。チーム全体として奪った後、奪われた後のプレーがはっきりしており、トランジションマニア的にも興奮を抑えきれないチームである。

一方の我らがG大阪。。。この時期はあまりうまくいっていない。原因としてネガティブトランジションの不備は大きい。特に5〜6を一本のパスで置き去りにされるのが厳しいところ、もう少し予防的カバーリングが必要な気がした。あとはポジトラ時も追い抜いていく選手が少なく、持ち上がった結果詰まってロストの形も多かったかなと。

分析としてはもっと統計学を絡めて②について深めていきたいがどうしたものか、、、とにかくPython、Rを猛勉強いたします。

アドバイス等あれば是非お願いします。

DOTAMAの勝利のラップがもっと聞きたいのでサガン鳥栖には頑張っていただきたい。トップの画像引用(警視庁WEBサイト)


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