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ラジオディレクターのお仕事

ラジオディレクターの仕事は多岐にわたる。

企画・構成が出来て、進行台本が書けて、音楽に詳しくて、卓操作が出来て、録音が出来て、それを編集・完パケ出来て、尚かつSNSで番組情報を拡散出来て、できればフォロワー数が多くて、動画なんかもチャチャっとネットにアップ出来て、ネットにアップするための楽曲権利の知識もあって…というのが、冗談抜きで、現在のラジオディレクターに求められるスキル。

もちろん、ブッキング能力も必要だし、過酷なスケジュール合わせられる体力や作業スピードも必須。

けれど、なにより大切なのは「パーソナリティが安心して実力を発揮できる場を作ること」なのではないかと思う。
もちろん、機材の揃わないスタジオや、公開放送のイベント会場が寒かったり、どしゃぶりだったり、時間が足りなかったり、色々あるでしょう。
けれど、そんなときでもパーソナリティのモチベーションが落ちないように気配りするのがディレクターの仕事。
「出役」が楽しんでおしゃべり出来ないと、番組は絶対におもしろくならない。
もちろん、ビジネスだし、告知原稿てんこ盛りだったり、何もかもが楽しいというのは無理。
でも、そのビジネスライクな告知原稿でさえ、読むのが楽しくなるような環境を作って行きたい。
例えば、、、今年の7月、石川県の加賀屋旅館のブライダルフェア告知原稿を読むという仕事があった。
そつなくそれを読めばまぁビジネスとして成立する。
でも、こちらはその加賀屋旅館に申し入れ、実際にそのブライダルフェアの会場を視察させてもらった。会場の担当者と話をさせてもらった。
結果、その告知原稿にパーソナリティの思いがプラスされ、ただ、ブライダルフェアを紹介するだけの原稿が、彼女の思いとともに素晴らしいコーナーに変化した。
そう「思い」なくしては、ラジオ番組は成立しないのだ。伝わらないのだ。

「この番組と関わりあえてよかった」「あなたと一緒に仕事ができてよかった」その想いをパーソナリティに伝える。
パーソナリティのモチベーション維持に務める。
それが、ラジオディレクター最大の仕事ではなかろうか?
「別にこんな仕事どうでもいい」とか「ビジネスだから」「思い入れは別にないよ」なんて、わざわざパーソナリティに言う必要はない。
思っていても、自分の胸の奥に仕舞っておけ。
もちろん、パーソナリティに胡麻をすれと言っているわけではない。
同じ番組チームとして、前向きな試行錯誤が出来る環境を作りたいの。
そこに必要なのは信頼。そして番組愛。

長いこと、ラジオディレクターという仕事をしていると色々ありました。
いいことばかりではない。
失敗もしたし、クビになった仕事もあるし、パーソナリティに思いっきり嫌われたこともある。
でも、そんな経験があるからこそ、今の私のこの考えに至ったのだ。

今はとにかくパーソナリティが安心して実力を発揮できる場所を作ることしか考えていない。私の存在がそれを阻んでしまうことがあるのなら、潔くその現場から去ります。
(実際今年、私は同じチームの制作スタッフとの折り合いが合わず、そんな姿を出役のMCに見せたくなかったので、とあるイベント仕事を降りました)

私が現場の毒になるなら、番組のために、喜んで立ち去りましょう。
そういう覚悟もディレクターの仕事なんだと思う。

※画像はイメージです。本文とは関係ありません。
 私が担当している「サンプラザ中野くんのRunner2020」より。


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