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「何もしない」をするーー都会に疲れた人へ、奥多摩のススメ

都会での忙しい日々。毎日満員電車に揺られ、なんとなくぱっとしない毎日。やることに追われてせわしなく過ぎていく月日。
旅行に行きたいけれど、計画を立てる体力も時間もない。
GWだってどこも混んでるから家で過ごそうかな…
「でも、なんとなく気分転換したいかも…」

そんな時におススメなのが、奥多摩。計画を立てなくてもふらっと行ける距離感と、楽しめる環境が奥多摩にはあるんです。
私自身、都会の忙しい生活に疲れて「自然!自然に触れたい!癒されたい!!」とふと思い付いて訪れたのが奥多摩でした。

都心・新宿からJRで気軽に行ける、都会のオアシス——近場で小旅行気分を。

JR中央線で青梅まで行き、そこから奥多摩線に乗り換えて電車に揺られると、東京とは思えないほどの自然豊かでのどかな風景。青々と茂った緑がブルーライトで疲れた目を優しきほぐしてくれます。
ボタンを押さないと開かない扉も、なんだか遠くまで来たような気分にさせてくれます。

奥多摩線沿線の駅はの温かみを感じさせるような造りで、少しタイムスリップをしたような、どこか懐かしいような気持ちになります。
途中の白丸駅では、待合室の屋根がなぞの白い丸になっているあたりからも、センスを感じられます。

駅から歩ける、壮大な自然

そして、奥多摩駅へ。
電車を降りると、思わず空気を大きく吸い込んでしまうほどの澄んだ空気。奥多摩駅から徒歩3分圏内に、氷川渓谷というこれまた東京都だとは信じがたい場所があるのが素敵です。

水が澄んでいて私も思わず浅瀬でぱちゃぱちゃ。これが多摩川に繋がっているのか…!と考えると、とても不思議な気持ちになるくらい、遠くまでやってきた気持ちになります。木々と風の音、清流、鳥の鳴き声、目の前に広がる空と緑は、五感を刺激して歓声が生き返るような気分になります。

高校生の頃に受けた、サウンドエデュケーションという授業を思い出しました。自然が織りなす音や街にあふれる音に耳を傾け、イヤホンで生活している自分たちがどれだけたくさんの音に囲まれているか気付く授業だったのを覚えています。奥多摩の渓谷で感じたのもまた、同じような感覚でした。帰り道になんとなくイヤホンを付けずに帰ったのも、奥多摩の自然に五感を刺激されたからかもしれません。

2つ隣の鳩ノ巣駅にも鳩ノ巣渓谷があり、こちらもまた徒歩15~20分と程よい距離にあります。上から眺めて癒されても、水の近くまで行き澄んだ空気を感じながら癒されてもいいですね。
私は水の近くまで行き、ぼんやりしたりおしゃべりしたり、ここでもまた自然の音に耳を傾けたりと、ゆったりとした時間を過ごせました。

この二つの渓谷は駅から気軽に歩ける距離にあり、そんなところは東京都っぽいのだなぁ、とも思いながら自然を満喫できました。

そばとコーヒーと奥多摩の人

奥多摩駅に降り立ち、真っ先に考えたのは、そう、お昼ご飯のこと。歩いていれば何かしら見つかるか…と歩いていると、素敵な小道が。
小ぢんまりとした飲食店が立ち並ぶ通り。GW2日目ということもあり、歩いていればどこかしら見つかるだろう、と思ったのですが、開店していたのはお昼から営業している居酒屋と蕎麦屋の2軒のみ。かきいれどきのGWに店を閉めてしまう潔さになんだか心を打たれながら、そば処「おく」で昼食をいただくことに。
偶然入ったお店でしたが、春野菜の天ぷらは衣が薄く食感が良く、丁寧にすべて手作りしているというお蕎麦も胃にすとんと収まり、とても満足な昼食となりました。
全て手打ちの蕎麦なので私たちの少しあとには「お蕎麦はもう終わってしまって」と言いつつ、お客さんは怒らずに天ぷらを食べて帰るようなところも、奥多摩の雰囲気に合っていて心がほっこりとしました。

大自然を臨むカフェ、ユニークなマスター
一通り自然を満喫した後には、コーヒーや甘いものが欲しくなりませんか?
そんなときにオススメなのが、鳩ノ巣駅にあるカフェ「木古里」です。

大自然に開かれた窓に向かってこだわりのコーヒーを飲む時間は、ゆったりと流れて格別です。
モノづくりをしながらカフェを営むこと20年のマスターは、青梅から奥多摩まで毎日通って一人でお店を切り盛りしているそうです。営業時間を尋ねると「まぁ適当だけど、大体6時くらいまでかな」というおおらかさ。マスター曰く、奥多摩の人は基本そうなのだとか。
お店の中のいたるところには、マスター作のランプやガラス絵が飾られています。腕には自信があるのか「おっちゃんすごいんだよ」といって、自分の作品が取り上げられた雑誌を嬉しそうに見せてくれました。

鳩ノ巣駅から鳩ノ巣渓谷へ向かう途中の道にあるので、ふらっと立ち寄ってみたのですが、カフェの雰囲気もマスターのキャラも、「何もしない旅」にはぴったりです。
「東京の森のカフェ」という本にも紹介されているので、気になる方は要チェックです。

思いついたら、奥多摩へぶらり旅

渓谷、蕎麦、カフェ、そしてなによりおおらかな人々が暮らす奥多摩。新宿からのアクセスも良く、思いついたその日に行けてしまいます。
「旅行」「旅」というと、「計画しなくては!」と意気込んでしまい、疲れてしまう…なんて人にはもってこいの旅ではないでしょうか?
一人でも、友達や家族・大切な人と一緒にでも、癒されに行ける奥多摩。みなさんもぜひ足を運んでみてくださいね。

(おまけ)「何もしない」をする旅のすすめ—無計画すぎには気を付けて

渓谷やカフェで癒され、ゆったりとした時間を過ごすことができましたが、体を使ったアクティビティーももちろんできます。

奥多摩駅からバスで行ける日原鍾乳洞や川下り・ラフティングなどのアクティビティという選択肢もありましたが、今回は無計画ぶらり旅ということで、時間に縛られないハイキングを選択。
駅でもらったパンフレットに載っていた、川苔谷・百尋の滝が魅力的だった、行きたい!という軽い気持ちで川苔谷・百尋の滝を目指しました。
奥多摩駅から川乗橋停留所までバスで向かい、漠然と滝を目指して歩くことに。
計画性ゼロのぶらり旅ということで、バスを降りて停留所のおっちゃんに「滝ってありますか?」と聞いてみたところ、「いっぱいあるよ!あっちの方に!」と言われ歩くも、一向に滝が出てくる気配はなく…
再度それらしき道まで引き返し、再出発。

「滝が見たい」

ただそれだけのモチベーションで歩き続ける女子二人。
ぶらり旅ということで、ハイキング用の準備もしておらず、ジーンズにTシャツという私たちとすれ違うのは、ハイキングウェアに身を包んだ方々。
さすがに不安になり、通りがかりのおじさまに尋ねてみたところ、「無理無理!滝までは2時間かかるよ!」とのこと。

結果、30~40分ほど歩いたところで「あと2.7km」の表示を見つけ、断念しました。
道中での美しい景色や、滝にたどり着かなかったことも含め良い思い出
(笑い話)で満足です。
無計画には無計画の楽しみ方がある、というおまけ話でした。

※ただし、滝への道のりに関しては通行止めになっていることもあるので注意


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