13坪の本屋の奇跡

ここには隆祥館書店という大阪にある13坪の本屋さんがやったことが書いてある。

「本という文化性は、その地域に根差したもので、個のお客さんのニーズに合わせてお薦めすれば喜んで買っていただける。この方法でしか、書店の行きのびる道は、ないのではないか」

「本屋の役割は書いたはる人と読むひとの架け橋になるこっちゃ」

「その本を前にして有意義な交流ができたらお客さんはもっと作品の理解が深まるやろうし、作家さんは感想が聞けて次回作の参考になるんやないか。」

「本は毒にも薬にもなるから、差別を扇動するような本は気をつけないといけない」

こうした思いで、2代にわたり、70年間店を開け続け、ひたすらにやってきたことだけがこの本には書かれている。

ヘイト本について、再販制度について、電子書籍、出版社、取次、書店を取り巻く問題、書店の数が激減していることなど、いろいろな人が本を書いたり記事にしたりしている。

けれど、店を開け続けて、一つ一つの問題にぶつかるたびに、本屋をやることに対する信条みたいなものを改めて問い直し、その答えを現場である本屋さんをやることで示している人はとても少ないように思う。

書店を取り巻く問題について、書くだけなら、言うだけなら簡単だよな、と、いつも思う。だから、いろいろな問題を他人ごとにしないで、本屋さんをやり続けている隆祥館書店を本当に尊敬する。



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