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多指症術後経過観察通院日(漢字12文字!)

我が家のどんぐり(3歳長男の愛称)、実は多指症で生まれました。
両手の親指が2本ずつあったのです。

出産予定日の23時半過ぎに突然破水し、18時間近く陣痛に耐えた挙句、緊急帝王切開で取り出してもらったどんぐり。

感動のご対面のときは、首から下をタオルにくるまれた状態でした。
そのときは特におかしいとも思わず、「可愛い…あったかい…」とほっぺたを撫でて、安心して涙をこぼしたことを覚えています。

病室に戻り、少し落ち着いたところで、夫が見せてきた、保育器に入っているどんぐりの写真。

一目で指が多いことがわかりました。

生まれた直後のご対面のときは、私がショックを受けるかも知れないということで、助産師さんが身体をタオルでくるんでいたんですね。

でも私、たまたまテレビで多指症について、みたことがありました。
インドだったか、小指が二本ずつある人が多い部族?集落?があるとか、幸運の指、神様の指などと呼ばれているとか。うろ覚えですが。

そのおかげで、「おお、ほんとにいるんだ、こういう子」くらいのインパクトでした。
日本では1000人にひとりくらいの確率だそうですが、両手ともとなるともっと少ないかも知れません。
足の指が多い場合もあるそうですが、男性の方が多いそうです。

さらに、どんぐりを妊娠する前、私は二度流産した経験があったため、「ああ、お兄ちゃんたちの忘れ物をくっ付けてきちゃったのかな?」なんて、可愛らしく思いました。

私の夫はファゴットという木管楽器を趣味で吹いているのですが、ファゴットはクラリネット、フルート、サックスなどの他の木管楽器よりも、親指がかなり忙しい楽器です。
親指が多いなら、ファゴット吹くのにも便利なんじゃない?

産後の私の頭の中がこんなに呑気だなんて、誰も予想していなかったようで、頼んでもいないのにやたらと励まされました。

「大丈夫よ!足りないよりは、多いほうが、取れば済むんだし!」

え?取る?取るの?

日本では、大体1歳くらいで、全身麻酔で切除する手術を行うものなのだそうで、すぐに形成外科に紹介状を書いていただきました。
見た目はもちろん、手の他の指の発育にも悪影響を及ぼす場合があるためだそうです。

正直、取らなければならないことの方がショックでした。
本人に選択能力がないうちに、身体の一部を取ってしまうなんて。

右手のほうが、2本ともしっかりしていて、取らなければならない指にも骨が入っており、残す指と関節を共有していました(トップ画像)。
左手は、指というより、ぷるぷるした、大きめのデキモノのような感じ。
どんぐりは左手のほうのその指を一番よくしゃぶっていました。

それらの切除予定の指は、独立して動かせるわけではないので、残していてもただ邪魔なだけなんですよね、おそらく。

一歳で、全身麻酔の手術を、二回受けなければならない。
すべすべむちむちの可愛いらしい手に、メスが入り、術後しばらくギプスをつけての生活。

現実味を帯びてくると、さすがの私も呑気なだけではいられなくなり、少しだけメソメソした夜も、あったり、なかったり。

2019年2月に右手、同年7月に左手の手術を受け、無事10本指となったどんぐり。

こちら、右手手術から一週間後のどんぐりです。
どうです、このふてぶてしさ。
ギプスは剥き出しだとガチガチに固くてほぼ凶器なので、ニット帽を被せていました。
そのモコモコに巨大化した右手を、便利に枕にしていました。

術後しばらくは、着替えや入浴のたびに色々と手間がかかり大変でしたが、それから3年経った今となっては、多指症だったことなんて、普段ほとんど、忘れています。

それでも最近、少し気になることが。
「3歳です!」と言うときの、「3」の手。
左手ではすんなりできるけれど、右手はなかなかうまくできません。
ゆっくり、左手も使って、ようやくその形にできる感じ。

保育園の発表会で踊ったダンスで「ピース」するときも、やっぱり右手は上手くできない様子。

折り紙を折ったり、紙を破いたりする作業を、上手くできず嫌がることもある、と保育士さんからお聞きしたことも。

今日は年に一度の、術後経過観察の日でした。

レントゲン、問題なし。
親指と人差し指でペンをつまんで、写真を撮ってもらい、今のところまだこのまま様子を見ていきましょう、とのこと。

成長していく過程の中で、再度手術が必要かどうか、見極めていくことになりそうです。

ううむ。
ただの、「心配性かあちゃん現るの図」だったかも知れない…。

救いなのは、本人がアッケラカンとしている(ように見える)こと。
帰宅するやいなや、
「とーちゃーん!びょーいん、たのしかったー!おててのしゃしん、ぴかーってしたー!」
と元気に報告していました。

また来年、ぴかーって、しに行くよ。
両手とも、どんどん色んなふうに使おうね。

ほうら 君の手は この地球の 宝物だ

中学生のときに聴いた奥田民生の歌がよく、脳内再生されてしまう、どんぐりの母なのでした。

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