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パンデミックと音楽活動

今年の2月ごろ、まだ3月に予定していたヨーロッパツアーの計画を立てていた。
チケットを取って、主催者とやりとりをしている最中で、中国で新型ウイルスの感染拡大が始まった。まだアジアでの流行として報道されていて、逆にアジア人がヨーロッパに行って現地で風評被害がないかなど、イメージを気にしていたほどだ。
瞬く間に欧州にも広がり、医師の父からは早い段階からツアーを延期したほうがいいと言われていた。フライトをキャンセルしたのは、出発予定日の前日。
東京のワンマンライブも、3月頭から他の方法を模索していた。当初からライブを決行するという選択肢はありえなかった。今回のパンデミックで避けるべき三密の環境は、ライブハウスそのものだからだ。ライブハウスの経営を含め、今はさまざまな不安と苦悩があふれる時期。本当に心苦しいが、だからこそ、この記事では今回感じたポジティブなことを書いていきたいと思う。

ビジネスの救い、ウェブショップ

今回ライブができないかわりに、会場で売ろうと思っていたグッズを、ライブを予定していた日の翌日からウェブショップで先行販売することができた。ライブを楽しみにしてくださった方々にメッセージカードも届けられた。迅速に対応してくださった、ウェブショップ·ファンクラブ会社SKIYAKIの方々、手配や配達をしてくださった方々に、心から感謝だ。

ライブ配信の機会が増えた

ライブを予定していた日にYouTubeライブ配信で、1時間で新曲を作るという企画ができた。参加者から直接キーワードを募集して、リアルタイムで歌詞を作っていく。思ったよりたくさんの言葉やフレーズをいただいた。実際のライブ会場だったら、お客さんが自由に手をあげるのは恥ずかしいと思われるかもしれない。コメントだからこそ、より多くの方に参加していただけた。完成した曲をすぐにシェアできるのも、今の時代ならではのスピード感だ。
また、インスタライブでファンの方々と直接お話できるのも今までにない試みで、よりパーソナルにつながれる、楽しい企画だ。

ライブができなければ制作期間

今は20週20曲シングルリリース中だが、次は新曲の制作。いっそのことこの期間中に次のアルバムを作るのもいい機会。今まであたためていたアイデアをゆっくり形にできて、制作がはかどりそうだ。

思い切って、新たなキャリアも考える

実はここ数年映像翻訳の仕事をしているが、これを機にもっと翻訳や通訳の仕事も増やそうと考え始めた。語弊がないように言っておくと、決して音楽をやめるわけではない。逆に音楽を自由に続けるために多様な仕事をすることで、さまざまな点がつなげられて、より豊かな人生経験になるはずだ。

日本にいてよかった

こんな状況下でも、治安が乱れることなく、日本ほど生活基盤が保たれている国は他にないかもしれない。特に去年まで暮らしていたイギリスと比べると、食もサービスも医療も、夢のような暮らしができる場所だ。ひとつだけイギリスの尊敬できる部分があるとすれば、社会のシステムそのものより、根本にある理念やモラルの水準が非常に高いこと。つまり、ルールに従うことよりも、なぜそのルールがあるかを考えることに重点を置いているのだ。対照的に日本では、物事をスムーズに進めるためにルールを守り、それに従うことに重点を置いている。

それが吉と出るか凶と出るかの議論は別として、今回のパンデミックでは世界各国の国民性のさまざまな側面が明るみに出ていると感じる。
どの対応が正解かは一概には言えず、未知の部分が大きいが、「日本にいてよかった」という対応を一人一人選択できることを願う。

メディアの煽り、政府への反感、デマなど、さまざまな不安が飛び交う中、今は批判し合うのではなく、心をひとつにすることが大切だ。

大きな変化があると、一番試されるのは、発想の柔軟さ、つまりクリエイティビティーだと思う。引き続き、この状況だからこそできる新しいことを考えていけたらと思う。

未知のウイルスという大きな外敵に直面する中、どうか人間同士が敵にならないように、それだけを祈って。

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