【劇症1型糖尿病】～意識を取り戻す

あれ？真っ暗？？
と思った次の瞬間。

風や気圧を感じないのに
身体がどんどん下に落ちていくような
沈んでいく感覚。

海に沈んでいくかのように
深く深ーく落ちていく…

長くゆっくりと時間をかけて落ちていく感覚を感じていたら
沈みきったのか、ふわっと体が止まった。


あれ？
これはどんな状況？？
私どうなってるんだ？？？


と思っていた瞬間

母の声が聞こえる。

あっ私、寝てたんだ。
寝ぼけてただけね。
暗いけど、何時頃かな？

なんて呑気に考えていたら

知人の声が。

え？
どういうこと！？
寝てたんじゃないの！？

さらに別の知人の声が。

「いつまで寝てんだ！
さっさと起きろ！！」


え？なに！？
どうなってんの！？！？
なんでこの人達に声かけられてるの！？


何がなんだか状況が掴めないまま

よく分からないけど
とにかく起きなきゃ！

と思った瞬間
頭上に眩しい光が現れる。

その光を目指して
沈んでいったところを戻るかのように
ひたすら上がって行って、光の中に飛び込んだ。


眩しい光の中に飛び込んで
しばらくして、目を開けると病院のベッドに寝ていた。
機械音が聞こえるが人が居ない。


…あれ？
家じゃない…
ここ病院だけど、どこの病院？？
ベッドに寝てるし、何がどうなってる？？？
眩しい光に飛び込んだはずだけど…
あれ！？！？

自分の状況を思い出しながら
考えていると


……っていうか
右腕に点滴されてるけど針が刺さってる感覚と痛みがない。
体から浮いて透けてる腕が見える。
また幽体離脱してるやん！


幽体離脱している自分に気づいたタイミングで人の声が聞こえきた。

ベッドに寝ている私の所に
看護師の方と一緒に母がやってくる。
何か話しているが内容はわからない。

母が手を握っているのが見えるけど
握られてる感覚はない。

「また明日来るね！」
と母が言って、帰って行く。

……え？
また来るって？？

以前もだったけど、幽体離脱してると
時間の感覚がなくなって
実際の時間は5倍くらい経過しているから…

一日半くらい、この病院で寝てるのかな？
これ、早く戻んないとマズいよね！？

何はともあれ
とりあえず、戻ろう！
次に母が来る時までに
戻れるかな？

状況はサッパリわからないけど
何かあって病院に運ばれて寝てることはわかった！

戻って、ここはどこの病院なのか
なんで病院に居るのか
聞こう！


「よし！戻るぞーーー！」


自分に号令をかけると
突然、強烈な眠気が襲ってきて
眠りについた。


しばらくすると
じんわり暖かい感覚がする。

それと同時に激しい腕の痛みを感じる。


ゆっくり目を開けてみると
さっき見た病室の風景が見える。

周りを見回してみて、人は居ないけど
機械音はさっきよりハッキリ聞こえる。


あっ、私
戻った。
戻ってこれた。