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アフタヌーンティーから紐解くジェンダー論「フェミニズム茶会」

世界的にジェンダー論が高まっているいま ジェンダーとアフタヌーンティーにも 実は深い関係があるのをご存知ですか?
アフタヌーンティー(=午後のお茶会)は、女性の自立と開放、ジェンダー平等にも大きな影響を与えました。

「ちょっとお茶でも…」と外を出歩くことさえも できなかった時代から 自由や平等をもとめて立ち上がるまで…。

19世紀以前の英国では、レディが自由に出歩くことは、はしたないことという風潮がありました。
女性は謙虚で従順であることが求められ、 結婚したら夫や子どもに尽くし、家を守る 「家庭の天使」(The Angel in the House) になることこそ、美徳とされていたのです。

ヴィクトリア時代に入ると、 産業革命によって経済力をつけた 新興層=ミドルクラスが出現。貴族さながらの上質なライフスタイルを実現し、勢力を拡大していきます。 そんなミドルクラスの主婦たちが夢中になったのが アフタヌーンティーです。

貴族の称号のように明確な序列が存在しないミドルクラス。
アフタヌーンティーは、自分がいかに理想的な家と庭=家庭を持ち
「家庭の天使」(Angel in the House) として十全十美であるかを
マウントしあう 「生活発表会」=絶好の社交の場だったのです。

女性らしくあれと 窮屈なコルセットに縛られていた女性たちは、 アフタヌーンティーの流行とともにコルセットを排除し、
身体をしめつけないティーガウンを身に纏う ようになるのです。
彼女たちが脱ぎ捨てたものは、身体だけではなく 精神的な抑圧からの開放でした。

いっぽう、イギリス版良妻賢母像の押し付けに 異を唱えはじめたのが
「新しい女性」New Womanたちでした。
19世紀後半になると英国各地にティールームが誕生。 コーヒーハウスとは違い、そこは女性たちが安心して 自由にお茶に出掛けられる貴重な場所になりました。

New Womanたちは 人目を気にせず一人でティールームに出入りし 自由を満喫。 紅茶を飲みながら女性の自立や地位向上ついて 話をするようになっていきます。 やがて、自由を求める茶の輪は広がり、 ティールームには女性運動家たちが集まるように なりました。

やがて、自らティールームを開く女性起業家も登場。
「経営者も従業員も全員女性」を掲げた 小さな店が広がります。
そこから 女性自由連盟(Women’s Freedom League)等の 組織へと発展。 女性たちの独立心は大きなムーブメントとなり、 社会を変える礎となったのです。

時を同じくして、 アメリカでもフェミニズムが盛り上がりを見せます。 1848年にNYで開かれた「5人のお茶会」は アメリカ女性解放運動へとつながりました。 一見するとマダムたちの優雅なティーパーティー。 ただし、紅茶を片手に話合っていたのは 女性に対する不当な扱いについての不満でした。

当時のアメリカでは 高等教育を受けた女性たちが 社会問題に取り組む風潮が芽生えていました。 この日のお茶会に参加した女性たちも そんな意識の高い女性たち。
ここから、アメリカの女性運動の原点となる 「女性の権利に関する大会」 セネカフォールズ会議へと繋がっていきます。

ボストンティーパーティーに端を発し イギリスから独立した際の独立宣言を基盤として 女性の権利と参政権を打ち出したのです。
その後、女性参政権獲得に向けての資金集めに ティーパーティーを開き、
ゲストに「女性に参政権を!」とスローガンを掲げたティーカップが配られました。

女性たちの始めた小さな運動は、 アメリカで1920年、イギリスで1928年、 女性参政権という形で結実されました。 それは大きな波となり、性別、
人種、宗教関係なく 誰もが平等に受け入れられる社会の実現を目指す
フェミニズムにつながっていったのです。

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