あなたの町も消滅!? 東京一極集中で起こるものとは

目次
1.日本の人口減少
2.人口減少がもたらすもの
3.課題克服のために
4.地方へ若者を呼ぶ
5.

1.日本の人口減少
 日本は2008年をピークに本格的な人口減少社会へと向かっている。2010年の人口は1億2806万人、2050年には9708万人、そして、2100年には4959万人と現在の約40%にまで人口が減ると予想されている。人口を維持するために必要とされる出生率「人口置換率」は2.07(2012年時点)であるが、2013年の出生率は1.43である。

 この人口減少が起こった原因は大きく分けて2つあります。1つ目は、出生率の減少である。前に述べたように、出生率を2.07に保たなければ人口は減少していきます。出生率の減少の理由としては、「結婚行動」の変化と「出生力」の低下、つまり、未婚化と晩婚化が挙げられる。25〜29歳(従来の出産のピーク年齢)の女性未婚率は1985年は30%であったが、2010年では60%を超えている。このように、20歳代の出生率が大幅に低下している。
 2つ目に、地方から大都市への人口移動が挙げられる。1960〜1970年の高度経済成長期に3大経済圏に集積した重科学工業の労働力需要が増大したため、地方からの集団就職が激増した。そして、1980〜1993年のバブル経済期で東京圏が金融・サービス業で発展する一方、地方立地の重化学工業が円高で低迷した。そのため、都市と地方の格差が拡大し、地方から東京圏への人口流入が起こったのである。そして、2000年以降、製造業が円高て打撃を受け、公共事業が減少し、人口減少も起こったため、地域経済の減退・雇用の減少で若年層が地方に職がないため、東京圏へ流入した。
 しかし、大都市での生活環境は、人口が集中しているため結婚、子育てに適した土地ではなかった。要因としては、親族との地理的距離や、地域コミュニティが疎遠になりやすいため子育ての協力が得れず、また、初婚年齢の上昇も挙げられる。つまり、大都市では、夫婦あたりの出生児数が低下してしまうのである。

2.人口減少がもたらすもの
 人口減少が進み、地方に職がない若年層が大都市に集中することで起こるのが地方の消滅である。
 大阪府内を見ても、人口減少が二極化します。大阪府内では若年女性の人口変化率が減少傾向にあります。大阪府においても消滅が危惧される「地方」が存在します。例えば、能勢町、豊能町、千早赤阪村など北摂、南河内の郊外地域では、人口減少が急激に進むとされています。
 地方の人口減少が進み、大都市集中で起こるリスクは大きく分けて2つあります。1つ目は、自治体が高齢者向け政策を重視し、子育て環境整備が進みにくくなります。つまり、大都市で低出生率が加速してしまいます。
 2つ目は「首都圏直下型地震」のリスクである。大災害が大都市で発生した場合、首都圏に集まる日本の多くの主機能が一気に壊滅する可能性がある。
 2040年には、「20〜39歳の女性人口」が50%を割ってしまう自治体は、896自治体(日本全国の約50%)に達すると言われています。北海道・東北地方では約80%、山陰地方では約75%、四国では約65%、東京圏では約28%が「消滅可能都市」として挙げられています。

3.課題克服のために
 現代の課題には、国家が「人口」問題、社会の持続可能性についてのグランドデザインを作る必要がある。また、地方はそれぞれの持続可能性を有する経済・社会構造を構築しなければならない。内容としては、持続可能な都市形成にするために長期ビジョンを策定することが必要である。つまり、子育て支援、産業、雇用、国土形成、住宅、地方制度への総合的な取り組みである。第一段階として、国民の希望出生率1.8を実現する。そして、東京一極集中に歯止めをかける。第二段階として、出生率2.1達成を実現し人口の安定を図る必要がある。
 ここで、人口減少を防ぐ3つの政策を挙げる。1つ目は、人口減少を抑制し、人口増大を狙うために「結婚、妊娠、出産、子育て」を一貫して支援する体制づくりが必要である。
 2つ目は、大都市の人口集中を抑えるため、地方中核都市を設定する。こうすることで、周辺自治体とネットワークを組み、自立できるようになる。また、コンパクトシティを形成する。こうすることで、行政、医療、福祉、商業などを集約して効率の良い都市を作り、出生率の高い地方都市を育て上げる必要がある。
3つ目は、一人一人の能力向上を目指すために、教育の充実、高度人材を海外から獲得する。

4.地方へ若者を呼ぶ
 東京から地方へ人を呼ぶための方法としては、大都市と地方とを移動する4つの機会を利用することである。1つ目のタイミングは、大学・専門学校への入学である。このタイミングで人を呼ぶために、大学・研究機関の誘致や地方大学の機能強化が必要である。2つ目のタイミングは、最初の就職である。地方での雇用支援をすることで、地方就職を促す。3つ目のタイミングは、転職・再出発(40歳ごろ)である。地方移住関心層の開拓、拡大をし、地方圏移住への税的措置も勧めている。例えば、東京圏住宅売却・地方圏住宅取得促進が進む。4つ目のタイミングは、定年の時である。定年退職者の就農支援「定年帰農」をすることで、地方の高齢者福祉・医療サービスへの需要拡大が進み、雇用増大へと進む。
 このように、地方では若者向けの就労支援とともに、高齢者向けの街づくりが必要である。