医者なって1年ちょっと程の話

医者になって1年ほどが経ちました。
 日常的なことには一通り対応できるようになって、ちょっとした変化球も対応できる様になってきたけどまだちゃんと出来てるか心配でダブルチェックが欲しい、そんな時期です。

 ワクチンがいいペースで普及していって、少し終りが見えてきたもののデルタ株やラムダ株の影が出てきてまだ安心はできない時期ですね。皆さんワクチン打ちましたか?
 僕はファイザー2回で打ったのですが、1回目はほぼ何もなく、2回目は38℃弱の発熱と筋肉痛、対側の指のしびれが少し出ました。3日後には全て消えて、今残ってる症状はまったくないです。TLを見てるとモデルナのワクチンを打っている人が多く、1回目から副反応が出ている方が多い印象です。確かファイザーは発熱者の割合が1回目が5%、2回目が50%くらいだったような。年齢によっても変わってくるのでスタッフで打ってた当時は熱が出たから若いとか言って盛り上がってました。(明確なエビデンスはないです。)

 最近は救急外来に「ワクチン打ったあと熱が下がらない!」と駆け込まれる方が多いんですが、たいていカロナール飲んでくださいで終わってしまうので、みんな打ち始めてるんだなぁって感じです。大体はおとなしく水飲んで寝てたらいいんですが、言い切っちゃうと実は薬疹でした、実は別の感染症でしたみたいなオチがあるので難しいところです。ちなみに解熱剤はカロナールじゃなくてもいいです。腎臓悪いと言われてる人はちょっと気をつけてほしいけど多分これ見てる人の年齢層考えるとそんなに多くないとも思う。

 コロナの話は置いといて、2年目に入って一番変わったことといえば、後輩ができました。所詮1年たっただけのペーペーなのに、頼れる先輩みたいな目で見られるのがものすごく怖いです。今外病院にいるので1年生と日常業務で再会するのは秋ごろになりますが、抜かれてたら怖いです。けど一個下が出来たから恥ずかしいところ見せられんと勉強するようになったのはいい点です。オリエンやってた学生時代から人に教えるのが結構好きだったので、最近も1年生に向けたミニレクチャーのスライドを作っています。人に説明して理解するタイプです。やはりまとめようとすると細かいところを詰めないといけなくて、「Septic shockの昇圧剤1stはノルアドレナリン!!」だけではなく、ドパミンだとAFのリスクが上がるからとか、死亡率自体に有意差はないとか、簡単な裏は完璧に知っておく必要があります。一年経って全体像の把握が出来てきたので、昔読んだ本やdrop outした本を今読み直すと定着量が全然違いますね。昔の自分がいかに甘い学習をしていたかよくわかります。多分2年後にもう一度読み直したら今の自分の甘さをまた思い知らされるんでしょうね。

 さっきもちょろっと書きましたが、今近くの外病院に来ています。初期研修のノルマだけど当院にない科がいくつかあって、近くの病院で研修させてもらってます。今まで他の研修医がどれくらいできるのかを知る機会がなかったので、自分の足りないところ、得意なところがわかっていい刺激になってます。仲いい友人ができたので、最近仕事の後一緒に図書館行って勉強してたりしてます。
 今は小児科回ってるんですが、子供は本当に可愛いですね。生まれてすぐの新生児からおおよそ5歳位までの子を診ています。多くが感染症で、ぶっちゃけほぼRSウイルスです。RSは例年one of 小児感染症だったのですが、最近はうちの病院は筆頭どころかほとんどRSウイルスです。子供はどうしても手を洗うとか指を口に入れないとかで制限があるので、感染予防は難しいところです。
 小児科はとても楽しくて、多分自分には適正はあると思います。実際小児科医になるのもいいなとも思います。もともと小児科医を選ばなかった理由は、学問としての小児科は先天性異常などの医師では至らない(対症療法がメインで根本治療に至らない)疾患が多く、子供の将来を考えると無力感に耐えられないからでした。 今は市中病院なので、そういった部分に触れていないためか、軽快して帰る子がほとんどでとても楽しいです。ただ、小児科医になるとなると研修中にその部分を見ないわけにも行かず、将来市中に戻ったとしても誰かが難治性の子供を自分の代わりに診ていると思うと辛くて続けられない気もします。

 将来進む科が決まりました。
麻酔科に進むことに決めました。一応入局宣言もしてきたので、このまま行くと来年からまた京大病院に戻ることになりそうです。麻酔科というと手術麻酔のイメージが強いと思います。実際そちらが主体なのは間違いないですが、麻酔科のもう一つの顔にICUにおける全身管理があります。循環・呼吸・栄養、あらゆる状態を把握して、コントロールする。そんなところに憧れました。関東ではICUは救急科が見ることも多いのですが、関西だと麻酔科が主流で診ます。麻酔と全身管理は密接に関係しているところも多く、双方ともしっかりできるようになりたいです。
 麻酔科を目指したもう一つの理由として、人のデータを一番考える科だと感じたことです。人のデータにはいろいろなものがあります。体温、血圧、心拍数といった即座に簡便に測定できるもの、採血データなど1時間程度でまあ安全に見れるもの、心機能など評価に練度を必要とするもの、侵襲度が高いもの。いろいろなデータを見て評価し、プランを立てる。こういったところに周り以上の関心があるんだと最近気づきました。将来的には治療の多くは機械がプランを立てて医者が承認するスタイルに変わっていくことは避けられず、機械が正しく評価するために客観的な指標を正しく提供すること、客観的な指標の変化が患者の体にどれだけ影響するのかを把握しておくことがこれからの時代非常に重要だと感じました。そもそも検査値一つをとっても何か一つの状態を1:1で表していることは少なく、人体の生理現象の組み合わせの結果として出力された値に過ぎません。これを紐解き、体循環の自動コントロール等20年後の医療を見据えたことを考えていきたいです。

 すごく意識が高い話になってしまったのでこの辺にしておきます。国試も通らない落ちこぼれがデカイことを言っていますね。
 なにかまとまったことを書こうと思っていたのになんか思いついたことを思いついた順にダラダラと書く記事になってしまいました。総括というほどでもないんですが、やっぱり最近一番変わったのは後輩ができたことです。何かを教えるためにはそれよりずっと多くの内容を知る必要があって、そこまでやるのすごく面倒くさいんやけど去年の自分がこのときこんな事知りたかったなぁという内容を今1年生に伝えられたらお互いプラスになるんじゃないかなぁとか思ったりしています。おかげで自分の勉強にアクセルが入ります。押し付けにならないようになるべく断りやすい環境を作って負担にならない量でぼちぼちやっていく予定です。

関東で2年遊ぼうと思っていたのにコロナで遊ぶまもなく関西に帰還しそうです。まだ東京に3~4回しか行ってねーぞちくしょう。

ではでは

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