新生活半年ほどの話

初期研修のころに考えてい事は1年後、3年後脂乗ってきたころに 振り返るとそれなりに貴重なんだと思う

もちろん承認欲求もあると思う。程度こそあれ、自分のことを他人に知ってもらいたいというのは誰しもあるんだと思う。ええじゃないか。

4月にこっちに引っ越してきて半年ほどたちました。なんとなく慣れてきた気もするし、けどそれを人前で言うと「その程度でなれたとは生意気な」的なことも言われるのも怖いので安易には言えない、そんなくらいの時期です。

3月末に引っ越してきて社宅に住んでます。京都の下宿を払ったのが2018年の11月なので、1年半ぶりの一人暮らしです。職場からは1.5キロ。チャリで5-10分ほどのところ。仕事の定時は8:30-17:15なので、8時15分に出れば間に合うし定時で帰れれば17時半には家に帰っている生活をしています。特徴といえば土曜日(午前のみ)があること。その分月に1-2日公休がもらえるので、ここぞというときに自由に休めるのはいい点だと思います。

<研修医の生活の話>

医者になって最初の2年はほとんどの人が「研修医(初期研修医)」と呼ばれ、1~2カ月周期で色んな科を回ってなんとなくわかってきたころに次の科へというのを繰り返していきます。24カ月のうち15カ月くらいがノルマ固定で、残りは希望の科を集中的に回ることができる病院が多いです。(うちもそう)

僕の場合、消化器外科(4,5月)→腎臓内科(6,7月)→循環器内科(8,9月)→麻酔科(10月)となっています。厳密には今年度から1カ月ではなく4週間を1ブロックとするよう厚労省からお達しがあり、微妙にずれているため今週末で麻酔科は終了です。次は整形外科4週の予定です。

研修医というとブラックジャックによろしくを読んだ人が「死にそうな奴なのでは」みたいに心配してくれることがあるんですが、今はだいぶ状況もよくなっており、科にもよりますが、緊急案件さえなければ大体定時出勤定時退社できます。これ病院によってメチャクチャ違うのであくまでn=1の話です。ほかの病院と比べた感じ、うちは平均くらいの忙しさの病院だと思います。仕事も一日ずっと働いているわけではなく、1~2時間昼間ダラダラしていたり、16時に終わって1時間前に着替えて定時を待ったりと、多忙というわけではありません。どの科も大体受け持ちの患者さんが20人ほどいて、3~4人ほどで見ています。一人5人とかではなく、複数人で多めに人を見ます。
科にもよりますが、大体出勤してきたら受け持ちの患者さん全員のバイタルや検査結果を確認して、会いに行って、異常があれば採血やらレントゲンやらを追加で依頼してカルテを書く。一通り書き終わるころに朝出した追加検査の結果が出てくるので書き足す。するとちょうどお昼ごろ。お昼食べて、午後はその科特有の処置(循環器だったらカテーテル検査とか)をして16時ごろに終了。最後に日中もう一度患者さんに異常がなかったかを確認して、何もなければ17時までには終わっているような生活です。休憩室以外ではスマホ開いてはいけない!とかでもないので、隙間時間はわりと自由に動けます。(今日もプライムデー見てた)


こんな風に書いてるとエクストリームホワイト企業に見えてくる。別にブラックと言いたいわけではないけどやはり医療だとホワイト企業では通じない理論が通っちゃうところはある。日曜出勤と、当直と、オンコールの3つ。

まず日曜出勤。患者は基本日曜日も入院しているので、日曜日も誰かが出勤してカルテを書く必要がある。(実際のところ法的にはやらなくてもいいらしい)これが2週に1回くらいのペースで回ってくる。好きな時間にきて書き終わったら帰ってもいいので9時にきて11時前には帰るなんてことが多い。けどおかげで結構な確率で”土日一泊二日”イベントに参加できない。これは思いのほかつらい。時間外は一応ついていることになっているが、あっ(察し)

当直とは、平日の仕事が終わってから翌日の朝まで救急当番をする担当のこと。(公式には違うが、あっ(察し)) 当直用のベッドがもらえ、シャワーもある。晩飯朝食もある。呼ばれなければ寝てていいけど、救急患者が来たら電話がかかってきて診察に行かなければいけない。その他病棟の患者の急変があるとやっぱり電話がかかってくる。大体週一回(月4回) 当直の日は町の平和を祈ってやまない。雨の日だと患者がものすごく減る。素晴らしい。 だいたい平均して3時間くらい寝れている。一度だけ6時間寝れたことがあった。神。4時ごろに電話かかってきて起こされるのはやはりものすごくメンタルにくる。
代わりといっては何だけど、翌日はお昼で帰れる。これはうれしい。けど午後に重要な検査とかがあるとなんやかんやで15-6時くらいまでいることも多い。つらい。それに金曜日、土曜日に当直当たるとこの恩恵はない。

最後にオンコール。これが一番しんどい。オンコールとは、受け持ち患者に急変があるとスマホに電話がかかってくるシステム。法律上看護師さんが自分の判断でできる事はとても狭く、「〇〇先生の指示のもと」というお墨付きがいる。「どう考えてもこうでしょ」という内容でも、医師の指示がないとできないことが結構ある。お互い歯がゆい。電話で済むならまだしも、実際に患者さんを見に行かないとわからんことも多いので、その時は病院に行く。頻度としては科によるがだいたい週に1-2回くらい。循環器はその特性上週の半分は電話かかってくるし、1日に数回呼ばれることもあった。
このシステムがものすごくつらい。呼ばれて足を運ぶこと自体は仕方ないけれども、「呼ばれるかもしれないから病院から離れられない」ためものすごく精神的にクル。結局何もなかったけど近所から出られないというのはコロナで回りも自粛ムードといわれつつも結構しんどい。

そんなこんなで結局ほぼ毎日病院には何かしらの用事で行っている。忙しさも当直も受け入れられても、これがしんどい。丸一日心休まる日がない。つらい。


ネガキャンばっかしているがもちろんやりがいもある。受け持ち患者が状態よくなって退院していくと嬉しいし、帰り際に涙してくれる人もいた。これは体験した自分にしかわからないことなのであまり書いても意味ないけど、やりがいはある仕事だとは思う。
ただ、やはりやりがいと負担のバランスが取れていないように思う。給料下がってもいいから完全な休みが欲しいとは思ってしまう。これを外で言うと「医師の自覚が...」とか言われてしまう。こういうところまだ聖域扱いされてるところなんだなーと思ってしまう。
医師というコミュニティは、大学医学部の多くが本キャンパスと離れたところにあって、医学部6年同じ100人で部活も医学部だけと完全な村社会生活を送るのでどうしても外の世界に疎い。「全学のサークルに入っていた」と伝えた時点で理解できないものとして思考停止する人もちらほら(まあオリエンが分かりにくいというのはある) 村は村の中だとものすごく気持ちがいいんだと思う。

<この半年の生活の話>

最初の2カ月(外科)では電子カルテの使い方やら、初めての社会人、初めての医師的なチュートリアルを飲み込むのに手いっぱいでほとんど仕事らしい仕事はできてなかったです。コロナでガイダンス短縮され3日研修で現場に放り込まれ、わけわからんままやらかさんように、翌日怒られんようにとびくびくしながら毎日過ごしていた。
梅雨ごろからはスローボールくらいは打てるようになってきて、比較的余裕な科を回っていたこともあってストレートを打つ練習、ゆるいカーブを打つ練習に時間をかけられた。8月ごろには最低限の仕事はできるようになってきたと思う。すくなくともいないより居た方がマシくらいにはなれたと思う。
この4週は麻酔科でちょっと特殊(担当患者がいない)だったので、休みが完全に休みの日々を送っていた。平塚に釣りに行ってきたんですが、ビギナーズラックでヘダイというタイの一種を釣った。これは強い。


来週からは整形外科4週間、救急8週間と回って年明け予定です。
相変わらずコロナが厳しい時期ですね。うちはコロナ診療を行う病院ではないのでコロナと判明し次第別の病院に転送するんですが、今のところ数件しか来ていません。ただ、発熱患者が来た場合コロナと見分けがつかない(PCRは外注なので結果出るのが翌日、LAMP検査は数時間。抗原検査は15分で出るけど信頼性低い)ので、冬場にインフルエンザ患者が増えると十中八九インフルエンザだと思うけどコロナだと思って厳重装備で対応みたいな感じになってしまいます。
発熱対応の装備は結構だるいし動けるエリアが制限される(ゾーン管理)のでなかなかの手間なのです。
おまけに不要不急の手術が延期になっているため(ヘルニアなど待てる病気や、検診延期に伴い病気の発見数が下がるなど)多くの病院では経営が苦しくなっている状態です。早く収まんねえかなと思うんですが、こればっかりはもうどうしようもないですよね。

せっかく関東にいるので関東の人と飯食ったり酒飲んだりしたいんですが、時期が時期なのでなかなかすっとは行きませんよね。無理かもしれませんがとりあえず誘ってもらえると嬉しいです。

なんか書くの疲れてきたので今回はこの辺にしときます。
とくにシリーズ化する予定もないですが、今夜のアップルイベントでテンション上がってきたり、当直の待機時間に考え事して思うことがあったらまた何か書くかもしれません。

ではでは皆さんもお体に気をつけて。

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