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銀の時代の101人の女性詩人たち

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20世紀初頭のロシア文学の銀の時代――歴史に輝く詩人たち、思い出されることも少なくなった詩人たち、存在も知られていない詩人たち、ひとりひとりを紹介していきます。出典はСто од…
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2021年9月の記事一覧

いつも遠く、空をみつめる人

     鶴 昨日のうちに ひと気ない森は 悲しそうに私に別れを告げた 春の喜ばしき再会の時まで 黄に染まりだしたその葉を落としながら 木の葉らは私の道をずっと覆い隠そうとした 音たてぬ金色の雨のように そして木々はそっと囁いていた 私に 彼らのもとへ戻るようにと…… 私たちには 別れることはとても困難だった…… 不意に空から それとも遠い野からか いと高らかに いと悲し気に うっとりするよな 鶴どもを呼びあつめる声が響いた 黄に染まったこの森から 色あせたこの空から