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キャンバー角 (986文字)

 自動車のメカニズムって理解しにくいものが多いですが、キャンバー角(camber angle)というのもその一つです。
 自動車用語事典によると、「例)前輪の縦中心線と鉛直線とのなす角度。前輪の傾き角度。一般に0〜1.5°」とありますが、分かりやすく解釈すると、「停止している自動車の前に立って自動車の前輪を見たときの前輪と地面とのなす角度」と考えればいいと思います。
 この例では前輪となっていますが、自動車に乗っていて前を走っているクルマの後輪が極端に「ハ」の字になっているのを見ることがあります。それが車輪に大きなキャンバ角がついている実例です。
 タイヤを正面か真後ろから見ると、長方形に見えますが、その上下の短辺の中心どうしを結んだ線と地面(地面は水平とします。)との角度(対地キャンバ)が、ゼロならキャンバ角ゼロ、車体の外側に傾いていたらキャンバ角は「正」の角度、車体の内側に傾いていたらキャンバ角は「負」の角度になります。
 前述の後輪が極端に「ハ」の字に開いているクルマの後輪のキャンバ角は「負」の角度になります。

 ところで、クルマはカーブを曲がるとき(レースではコーナリングといいますね。)、車体には遠心力が働きますから車体はカーブの外側に傾こうとします。
 このとき、クルマの外側の前後のタイヤ(右カーブの場合は、進行方向に向かってクルマの左側の前後のタイヤ)は大きな負荷が掛かります。逆に内側の前後のタイヤ(右カーブの場合は、進行方向に向かってクルマの右側の前後のタイヤ)の負荷は少なくなります。
 タイヤが路面に対して最大の摩擦力を発揮するためには、タイヤの接地面全部が路面と接している必要があります。
 キャンバー角が正の角度だとタイヤの接地面の一部しか路面と接しないので、キャンバー角を負にする必要があります。
 ただ、前述の後輪が「ハ」の字のクルマのように極端に大きい負のキャンバー角を付けると、直進走行の際にタイヤの接地面が不均等に路面に接することになるので、タイヤの偏摩耗が進みます。
 だから、キャンバー角は0°かほどほどの負の角度を付けることになります(正のキャンバー角を付ける場合もあるかもしれませんが。)。適性なキャンバー角は専門家でないと分かりませんが、あまり大きな角度にはならないと思います。

#創作対象2024 #エッセイ部門 #キャンバー角
 

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