ミント風味の水 (542文字)
ある日、私が自宅で水を飲もうと台所の食器置場にあった陶器のカップに水を入れて飲んだところ、ミントの味がしました。
そういえば、単身赴任中に行った喫茶店でミントの味の水を出してくれていて、「爽やかだなぁ。」と思ったことがありましたが、それを思い出しました。
でも、カップに水道水を入れて飲んだのにミントの味がするなんて。
水道水自体がミント風味なんてことは考えられません。
まさか水源地で異物でも混入したのか、と思いながらカップの底をよく見ると、そこには噛みかけのガムが。
妻を問い詰めると、ガムを噛んでいる途中に電話が来たので、後でまた噛むつもりでカップに一時入れておいたのだと、笑いながら言いました。
つまり、私は妻の噛みかけのガムの水溶液を飲んで、「爽やか」と思ったことになります。
「なんぼ夫婦でも、これはダメだろ。」と言うと、「カップの中を確認しないで水入れて飲むのは注意不足だ。」と言い返してきました。
「オレは忍者屋敷に修業に来ているわけじゃない。自宅で警戒心がゆるくなるのは仕方ないだろう。さらには、食器置場に置いてある食器は安全だと思うだろう。」と言うと、ケラケラ笑って買い物に行ってしまいました。
以来、私は自宅でも神経が休まりません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?