プロ野球球団と放送局 (1701文字)
かつて西鉄ライオンズという球団がありました。読売ジャイアンツとの日本シリーズで戦いはベテランのプロ野球ファンの間では有名です。
その西鉄ライオンズは、その後太平洋クラブライオンズ、太平洋クラブライオンズと親会社がかわり現在は埼玉西部ライオンズになっています。
セントラルリーグでも、国鉄スワローズがサンケイスワローズ、サンケイアトムズ、ヤクルトアトムズ、東京ヤクルトスワローズ等のように親会社がかわっています。
これらの日本のプロ野球の球団譲渡の歴史を見ていると、電波オークション(テレビ放送や携帯電話等に使用される周波数帯域の割当方法。オークションは、auction せり売り。競売。)が実施された場合と似ている要素があるように思います。
放送局は、番組製作設備、電波発信設備、 東京のキー局から地方局を結ぶネットワーク契約など(以下「事業部門」と言います。)と、放送局の経営機関等(以下「経営部門」と言います。)とに分けて考えられます。
ここで事業部門を法律上独立した組織にするならば、この事業部門と経営部門とは、事業部門を子会社、経営部門を親会社という関係にすることができます。
こうすることで、放送事業の継続に支障なく経営部門だけを交代することが可能になります。
そうすると、電波オークションが実施された場合、放送事業をに未経験な企業が新たに放送事業に参入することができることになります。
電波オークションは、現在の各放送局の経営部門は反対なのでしょうが、彼らが交代するだけで事業部門がちゃんとしているなら、テレビ視聴者には特に問題は生じないと思われます。
プロ野球球団の場合は親会社がかわると親会社から出向している球団社長等も替わる(これは人事異動ですね。)等、電波オークションの場合とは多少異なるものがありますが、「親会社がかわるだけ。」という共通点があります。
電波オークションは高額入札者が落札するのだとすれば、国庫に入るカネは多くなり、その分放送局の収益性が大きく減るだろうなとは思いますが、かつてプロ野球球団を買収しようとしたり、ニッポン放送を買収しようとしたライブドアのように従来のしがらみを無視した企業経営を行おうとする企業が落札者になれば、新機軸の放送事業経営を展開して巨額の黒字をだすことが期待できます。
例えば、放送時間を「朝、昼、夕方から夜まで」だけにしてそのほかの時間は放送を休止するとか、放送局とスポンサーとの間に仲介者として入り込んで利益を得る広告代理店を排除するとか、芸能プロダクションとの契約を明確にして大プロダクションからの圧力には法的に対抗できるようにするとか、政治結社や外国人の圧力団体に対抗するために警察等と連携するとか、他の放送事業者でも放送法に違反した場合は告発するとか、大株主である新聞社から独立する等が考えられます。
今のままなら「座して死を待つのみ。」の状態にある放送局ですから、ここでなにかの変化がなければ事業部門の従業員は新たな仕事を探すことになってしまいます。経営部門は経営の責任を取らなければならないので、最終的には破産することでいいと思います。
新しい親会社の経営方針に違和感を感じる事業部門の従業員もでることでしょうし、電波オークションは企業生き残りの特効薬というわけではないので、事業部門の全員を助けることができるわけではないと思いますが、わずかでも生き残る望みがあるなら、それに賭けるべきでしょう。
それに経営部門が新しくなることにより、制作会社の扱いがよくなることも考えられます。
また、放送作家の処遇もよくなるかもしれません。
放送局では、現在でも局員というか正社員の立場が強いようです。有能で強い立場にいるならいいと思いますが、そうではないのにただ正社員だから強い立場にいるというのでは、その企業が発展するとは思えません。そんな質の低い人材しかいない企業が生き残りつづけることができるとは思えません。
私は、プロ野球の話題を見聞きする度に、「電波オークション、早くやれ。」と思います。
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