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『ワイルド7』 対人兵器としての散弾銃 (758文字)

 漫画家故望月三起也さんの『ワイルド7』は大好きな漫画でした。
 でも一つだけ恐ろしい設定だと思ったのは、主人公の飛葉がバイクに散弾銃を備えていて、それで悪人を撃つことでした。
 その散弾銃は、ただバイク右側に装備されているだけで施錠の類いはなさそうだったので、盗まれる可能性は常にありました。
 そういうことでいえば、ロケット弾を積んでいる両国のサイドカーやチャーシューのバイクも怖いといえば怖いのですが、散弾銃にはリアルな恐さがありました。
 飛葉の散弾銃は、仁丹よりちょっと大きめの弾が何十発もカートリッジに入っていて、散弾銃を撃つとそれが銃口から飛び散ります。
 飛場の武器は、散弾銃といい銃身を切り詰めたコルト・ウッズマンといい、至近距離での戦闘用です。
 散弾銃は、悪人のすぐ近くから発砲されます。
 「野生の七人」では、金塊強奪犯に向かい自動車のドアのあたりから発砲しました。結果、悪人も自動車も、50口径の対物ライフルで撃ったよりもはでに被弾しました。

 散弾銃は、ヨーロッパで狩りのために使われていました。それが新大陸であるアメリカに渡ると対人兵器として使われるようになりました。
 よく西部劇で、保安官事務所を悪人らが大勢で取り囲むというシーンがありますが、散弾銃は敵が大人数で密集しているほど効果的に打撃を与えることができます。
 反面、散弾を被弾すると、死を免れたとしても重症になります。弾丸は剥き出しの鉛ですから(今アメリカの警官が使っているのは違うかもしれませんが。)鉛毒による悪影響は避けられません。西部開拓時代のアメリカなら、医療もままならないでしょうから、「撃たれたら、死ぬ。」ってことだったと思います。

 私は、漫画の主人公が散弾銃を撃つという設定だけは受け入れられませんでした。

#ワイルド7 #散弾銃

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