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『地上50m/mの迎撃』を語る

 『地上50m/mの迎撃』(ジェイムズ・セイヤー著 小梨直訳 新潮文庫)は、元ベトナム戦スナイパーと敵スナイパーとの対決の物語です。
 この本は、映画『山猫は眠らない』を観た後、スナイパーものに憑かれて衝動的に買いました。
 狙撃に関する描写が細かく、スナイパーの実態を知るにつれ「私にはこの仕事は無理だな。」と思いました。
 主人公が敵スナイパーと対決するときも、やはり「私には無理だな。」と思いました。
 現代の狙撃手は、たんに遠距離狙撃に熟達しているだけでなく、標的などに気付かれない隠密行動をしなければならず、虫に刺されたり咳込むのを堪えたりということは私にはとてもできません。
 私は、寒暖差があるとすぐ体調を壊しますし、発熱すると虫歯が痛くなります。また、すぐ咳込むので喉にスプレーする市販薬を常に携帯しています。極限状態に身を置く仕事は到底無理です。
 だから、そういう困難な仕事をこなす職業的スナイパーは凄いと思う半面、「現役を長く続けることは難しいだろうなぁ。」と思います。

 私は今でも遠距離狙撃の照準調整のことがよく理解できません。
 照準調整を真正面から描いたのは映画『ジャッカルの日』が最初だったと思います。ジャッカル(ド・ゴール大統領暗殺を請け負った殺し屋)は人気(ひとけ)のない森の中のちょっと開けた場所で、木の枝に標的がわりのスイカを吊し、そこから歩測で距離を計り、木にロープで特注の単発式小銃を固定して2発試射して調整します。この場合、本番のときのターゲットとの距離をおおよそ想定して調整しているのだと思いますが、映画で視聴した感覚でいうと、距離は150メートルくらいでしょうか。

 拳銃のように数メートルの距離で目標物に発砲する場合なら、弾丸が放物線を描いて飛翔することなどあんまり考えなくていいのかもしれませんが、遠距離狙撃の場合は、(ライフル銃などから)発射された弾丸は銃口から出た瞬間から地球の引力の影響を受け下降していきます。横風が吹いていれば弾丸の軌道はその風に影響されますし、発砲場所と目標との間の空間に気温差や湿度差があればそれらにも多少は影響を受けるでしょうし、コリオリの力(ここではコリオリの力を説明できません。すみませんが、ネットで検索してください。)も考えなければならないでしょう。また、光学照準器と銃本体との接合にブレがあったら、とても命中など期待できないように思います。

 こんなに複雑な要素が入り混じっているのに、スナイパーはどうやって目標に弾丸を命中させるのでしょう。現実には、3000メートルくらいの距離でも狙撃に成功したという公式記録(その狙撃手の軍隊の記録ということなのでしょう。)があるそうですから、その実務プロセスを知りたいと思います。

 以上

#地上50m /mの迎撃 #狙撃 #スナイパー

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