見出し画像

映画『ピースメーカー』(922文字)

 ピースメーカーという言葉は拳銃の名前として有名ですが、この映画は奪取された核爆弾がアメリカ国内(国連の近く)での爆発を防ぐ物語です。
 主人公は二人。一人は米国防省大佐(ジョージ・クルーニー)、もう一人は核兵器密輸対策チームの女性科学者(ニコール・キッドマン)です。
 この二人が、テロリストの計画を阻止します。

 この映画は20世紀の終わり頃の公開ですから、その当時はまだ多くの人が放射能と放射線との区別が明確でありませんでした。現在でも、「劣化ウランは、使い終えた核燃料」と思っている人が多いのではないかと思いますが、核についてはあまりに忌まわしくて、なにかきっかけがないと調べようとしないのかも知れません。

 ところで、この映画の題名のピースメーカー(peacemaker)ですが、意味は「平和主義者」というらしいですが、拳銃のコルト・ピースメーカーと同じく「平和の看板を持った殺戮者」という感じがしました。
 事件の背景には、ボスニア紛争があり、犯人はアメリカ合衆国に対する復讐としてこの核爆破計画を立て実行しました。

 表面的にはアメリカを核爆発から救う映画ですが、ボスニア紛争に介入したのはアメリカです。

 誰がピースメーカーなんでしょう。

 コルト・ピースメーカーだって、平和というより紛争や混沌をもたらせたリボルバー拳銃と言えると思っています。

 私たちは、ボスニア紛争について調べなければなにも分かりません。世界にはいろいろな紛争があって、その実態を知ると「戦争の方がまだよかったんじゃないだろうか。」と思うことあります。戦争なら、ハーグ条約などの諸条約があります。それらが戦争でどの程度守られたかは疑問ですが、守らなければ戦争犯罪で告発されかねないので、わずかながらも抑止効果がないこともありません。
 それが戦争以外の、例えば内乱などで行われる虐殺行為は、どっちかが死に絶えるまで終わらないのではないかと思われるくらい続けられます。

 映画『ピースメーカー』は、最後はなんとなく主人公二人がいい感じで終わります。しかし私の頭には「その幸福は、多くの屍(しかばね)の上に成り立っているのではないか。」という考えが拭い切れません。

#ピースメーカー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?