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ルパンシリーズ 『黄金三角』

 ルパンシリーズといってもルパン三世のことじゃなくて、一世の方です。つまり、モーリス・ルブランが書いたミステリの話です。
 このシリーズは、私はポプラ社の本で読みました。子供向けですが製本の立派な本で、一冊280ページから360ページくらいの分量で、作品によってばらつきがありました。私が読んだのは、全15巻のシリーズ構成でした。その後、もっと巻数が多くなったようです。

 このアルセーヌ・ルパンシリーズで最初に読んだのは『黄金三角』でした(別の出版社の本では『金三角』という題名が付けられているのもあります。)。
 もはや、内容の記憶もあやふやですが、ルパンがスペイン貴族のドン・ルイ・プレンナ(Wikipediaでは、ドン・ルイス・ペレンナとなっているので、私の記憶違いか翻訳で修正されたのかも知れません。)と称していました。
 ストーリーはすっかり忘れましたが、この本を読んだのがきっかけでミステリの世界に入ることになりました。小学校2年か3年の夏のことです。

 この本を読んだ当時、イギリスは「イギリス病」と呼ばれるくらい経済的に芳しくなく、フランスも「今は観光地とブランドファッションで食べている国」くらいの認識しかありませんでした。
 そのうち、EUになって行くのですが、イギリスはともかく、フランスがドイツと同じグループになるとは驚きでした。でもそれは後年のことで、小学生だった私は、とにかくこのシリーズの『怪盗対名探偵』を読みたくて読みたくて仕方ありませんでした。

 子の頃の私の本を読むときの心得は、①分からない漢字はそのままにしてとにかく読み進む(漢和辞典の使い方も知らなかったので、分からないまま先に進むしかありませんでした。)。②本は1ページずつちゃんと読む(決して途中を飛ばさない。)。③読みかけのページにはちゃんと栞(しおり)を挟む(ページの端を折ったりしない。)。④読むときは本のカバーははずす(本をきれいな状態で保存するためです。)。⑤本に線を引いたり書き込みをしたりしない。
でした。
 でも、後年受験勉強をするようになると、教科書や参考書にこれらのルールを適用すると勉強が進まないので、全部やめました。

 アルセーヌ・ルパンシリーズを一通り読み終えると、次は江戸川乱歩の怪人二十面相に夢中になりました。二十面相はルパンによく似ています。でも、ルパンが愛国心を全面に出すのに対して、二十面相は一種の愉快犯で国の役には立っていないようでした。ルパンの敵は、大物の犯罪者が多いのですが、二十面相は専ら明智探偵と戦うので、勝負が小規模化している感はいなめませんでした。

 私は、怪人二十面相ものをもって、犯罪ミステリ物を一旦卒業します。私は成長するにつれて犯罪者が主人公になっていることに義憤を感じるようになっていました。今でも、犯罪小説とかクライム・ミステリなどはあまり好きではありません。

#アルセーヌ・ルパン #怪人二十面相

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