「鶴のマーク。JALだ。日本航空だ!」(930文字)
子供のころ読んだ漫画『ワイルド7』に幽霊将軍と称されている悪人がハイジャックした旅客機でマカオに逃走するという回がありました。
ハイジャックは学生運動をしている連中が起こした旅客機乗っ取り事件で、いろいろな国の上を飛行した挙げ句、結局マカオに着陸しました。
ワイルド7は、この乗っ取り犯の学生運動家らを捕まえるのですが、主犯格の幽霊将軍は逃走しました。逃走を許したのは直接逮捕に当たった警察で、ワイルド7のヘマではありません。
その後ワイルド7は、いろいろあってマカオの警察に逮捕されます。
彼らは、ショットガンを持った警官に囲まれた部屋に入れられ、豪華な食事を出されます。「最後の晩餐か。いよいよ裁判なしで処刑されるんだ。」と思うワイルド7。
その食いっぷりの多さにあきれる仲間にヘボピーは「死刑になるにしろ、死ぬまでは生きている。胃だって動いているさ。」と言います。
この台詞を読んでから、私は何かピンチになるとまず何か食べることにしています。空腹でなくなると、物事を楽観的に見ることができるので、何かしらピンチを脱する考えが閃くようです。
食事を終え護送されていると、ワイルド7は護送車の窓から遠くに旅客機の垂直尾翼が見えることに気づきます。
その垂直尾翼には、鶴のマークが描いてありました。
「鶴のマーク。JALだ。日本航空だ!」と叫ぶワイルド7。
彼らは、日本航空(当時国際線を運航していた日本の航空会社は日本航空だけだったと記憶しています。)の旅客機で日本に強制送還されるのでした。
「日本航空の飛行機の中では日本の主権が働くはず。
あの飛行機に乗ればワイルド7は日本の司法制度の下(もと)に置かれるんだ。ワイロで人を殺す警官がいるマカオ(当時はポルトガル領でした。)から日本に帰えれるんだ。」と思いました。
このワイルド7のメンバーが日本航空の鶴のマークを見て「日本航空だ!」叫ぶシーンは、法律制度の外にあるワイルド7(言わば「令外の官(りょうげのかん)」です。)といえども、日本の国家主権に護られているんだと改めて感じました。
以来、国民の主権行使のため、毎回必ず投票に行っています。
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