我が社のISO事情

まずは、当社の実情の説明から。

ISO9001(品質マネジメントシステム)

建設業界に携わっている人なら、おおかた知っているであろう言葉。

かれこれ20年くらい前に、この規格の認証を取得しなければ公共工事が取れなくなる!という時代の流れがあり、地域ではそれなりの地位にいる当社も先駆けて取得した経緯があります。

しかし、当初のISOは、とても建設業向けとは言えず(工場などの製造業の品質管理向け)、何が何だかわからないままサンプルを参考に、小難しいマニュアルと規則、そして書類という膨大な量を生み出してしまいました。

社員からのブーイングはもちろんありましたが、仕事を取るためだ!と強制的に、超余計な仕事を増やしてしまったわけです。

顧客(建設業で言うと発注者。当社はほぼ100%公共工事を請け負うのでお役所が顧客)の要求事項に加え、ISOで要求しているものまで作らなくてはならず、当時は役所用とISO用の施工計画書を用意するというまさに二重苦を、現場の方達に強いておりました。。。

パソコンさえまともに使える社員が少ない状況でのこれは、浸透させるのも本当に苦労しました。
しかし、それまで口でしか伝えられてこなかった事項を文書化することは会社を整える意味で重要ではありました。

そこから、私は都合により10数年仕事から離れることになります。
正直、もう事務職に戻る気はなかったのですが、いろいろな条件が合致して、職場復帰しました。

するとどうでしょう??

ISOは、見事に形骸化し、たった1人の社員がほぼ全ての書類を作る環境に。
ほかの社員は、認証機関の審査時期に提出を求められる目標達成の報告書を、毎年同じように書いて提出するだけ。

最初こそ建設業にそぐわない ISOでしたが、簡素化すれば会社がより良くなるための素晴らしいツールになったはずなのに、当社はいまだにISOは無駄な業務という位置付けなのです。

現職の部長たちは、就任してから一度もISOの審査を受けたことがないと言います。
そんなことが許されたのは、担当者が「こっちは高い金を払ってるんだから文句言わずに認証しろ」という高圧的な関係を築いてしまったからでしょう。(これは目に見える世界の話で真相は違ったりするのですが、のちにお話します)

新入社員は、なんの説明もなく、形骸化したISOの書類を、なんだかわからないまま作成し提出しています。
もしかしたら、会社の業務で1番謎だと思っている部分かもしれませんね。

そもそも、「ISOの書類」として分けること自体、とてもナンセンスです。
会社の通常業務を遂行するだけで、認証維持できるのが1番良いことだと思います。

私自身、こんな馬鹿げた実情なら、いっそISOの認証を放棄した方がいいんではないか?と社長に詰め寄りましたが
よく考えてみると、常に改善し向上することがISOの目的だと再認識したので、当社に合ったやり方で継続していくことがベストだと思いました。

当社のISO事情はここまで。のちに話がつながることを祈って。。

次回は、現場と事務が分断され、逼迫する現場監督についてお話しします。

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