ピンコント「絵にホレた男」

※●はト書き、「・・・」は相手の話を聞いている間。

●演者は美術館のスタッフで、客と話をしている。
●スタッフは胸に「STAFF」という札をつけている。

「ですから、この絵を売ることはできないんです。感動したという気持ちは分かりますが」

●絵を指す。
●絵は客席側にあるイメージ。

「これは展示品・・・はい。はい!?・・・なるほど。確かにこれがモナリザみたいな名画だったら、お客さんが言うように絵に恋することもあるかもしれません。でもこれ、トリックアートですよ?このただただ楽しい絵にホレたんですか?・・・いや、そういう絵なんですよ。どこから見ても目が合うようにできてるんです。運命じゃなくて技術!いいですか?」

●絵の端から端まで歩いて絵を見る。
●やや大股に歩いて絵の大きさを強調する。

「ここから見ても、ここから見ても目が合う。そういう絵なんです。ここから見て(後ろを見ると客が自分の後をつけている)何でついて来るんですか!?来なくてもいいんですよ(手で客を離す)だいたいこんな大きい絵、家に置けますか?」

●手を大きく動かして絵の大きさを示す。

「・・・ほぉ、そんなところに飾れるんですか?お客さん、思った以上にお金持ちなんですね。でもそんなことしたら」

●腰かけるポーズ。

「用を足している間ずっと見られるんですよ?それでもいいんですか?・・・いや、私は興奮しませんけどね。とにかく考え直した方がいいですよ。余計なお世話かもしれませんが、現実の女性とお付き合いしてはいかがですか?確かにお客さんみたいなお金持ちなら、財産目当てで寄ってくる女性もいるかもしれません。裏切られることもあるでしょう。でもね」

●絵を指す。

「これだって騙し絵です。どっちにしろ騙されるんですよ。それでもいいんですか?・・・(土下座した客を見下ろす)頭上げてください。分かりました。この絵はお売りできません。できません、が。ちょっとこちらへ来ていただけますか?」

●客をつれて移動する。

「順路に沿っていただいて(足元を指さす)またがないで大丈夫ですそれも絵ですから」

●お土産コーナーにやって来る。

「こちら、当館で販売しているクリアファイルです。先ほどの絵をプリントしてますし(クリアファイルを上下左右に動かす)目が合うトリックも再現しています。これでしたらお売りできますが・・・えっ1枚じゃなくて?かしこまりました。(束を抱えて運ぶ)」

●クリアファイルの束をかかえて会計する。

「けっこうありますが大丈夫ですか?・・・(会計する)なるほどそうやってお使いになるんですね。それでしたら。(クリアファイルを渡す)ありがとうございました」

●客が去っていくのを目で追う。

「はぁ。あれを壁一面に張るのかぁ。気持ち悪っ!」


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