高校時代

校庭がオレンジ色に染まる
ゴールが決まり
歓声が上がる
シルエットだけになっても
すぐに誰なのかわかる

『おっ、相変わらずカッコいいね』
君と眺めるこの景色ももうすぐ見られなくなる
春になったら其れ其れ別の道をゆく

無味乾燥でこのつまらない高校生活に色を付けてくれた君
まさにアオハル
グレーの校舎に白黒の制服
ハートまでグレーになってしまうところだった

優しさと賢さを兼ね備えた君は
子どもと大人の間にいた私に
心の豊かさを教えてくれた
とにかく話題が豊富な君なのだが
いったい何を話していたのか
全く覚えていない
きっとしょうもないたわいもない
なんてことはない話が
面白くて楽しくて話し足りなくて

スマホなんてない時代だから
家電でずっとお喋りしてた
よく親から小言を云われたな

夏休みは図書館で過ごす
自動ドアを潜ると一気に汗が引く
パラパラとページをめくる音
カツカツとシャーペンを走らせる音
周りから聞こえるのはそれだけ
帰りはまた汗だくで自転車をこぐ
にわか雨がアスファルトの色を替える
雨粒の向こうに虹を見た

こんなにも濃い時間を共に過ごしたクラスメイトは他に居ない
後にも先にも

君の結婚式では友人代表でお祝いのスピーチもしたっけ

大人になると物理的な距離は
さほどの障壁ではなくなるようだ
いつも君の幸せを祈っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?