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裏デッキビルド杯制作秘話 ーたった3ヶ月でデュエプレカジュアル大会を立ち上げるまでー




【EP1】
「デュエプレデッキビルド杯」
との邂逅



(ーーー時は2022年1月ーーー)


 友人の誘いでデュエプレを初め、プラチナ〜マスター帯程度にランクマに挑み、カジュアルマッチで変わったデッキで遊んでいた私、トスカーナは…


突如として開催された
デュエプレデッキビルド杯
に、心を奪われた。

記念すべき初回ビルド杯。
運営に感謝。


「な、なんだこのカード…?見たこともない」
「このコンボ美しすぎる。何食ったら思いつくんだ…?」
「ガルバロスで草」
「サンマイダーで草」

「気になるから使ってみたけど、使えば使うほど楽しい…!こんなデッキがあったんだ!」

 ガチデッキの投稿が多数ある中で光る、独特なカードやコンボを用いた、奇想天外かつ美しいデッキの数々。

 カジュアルマッチで、変わったデッキ同士での対戦を望んでいた私にとって、デッキビルド杯はまさに好きなデッキの宝庫であり、楽園だった。

 すぐさま私はデュエプレデッキビルド杯に投稿するように。


 そうして投稿する中で、「エルサルバルティス×オリジナルサイン」のデッキが、カジュアルデッキメインの動画投稿者「ミケガモ」氏の琴線に触れ、noteにて紹介していただけた。


ミケガモさん(@nusu_fkr453145 )
本記事における超超超重要人物。公式ビルド杯2冠。
デュエプレカジュアルデッキ動画を多数投稿。



引用元:https://mikegamo.hatenablog.com/entry/build4-yosou_220218#イカズチセラフィム




 ビルド杯初心者の自分にとって、これほど嬉しいことはなかった。文字通り跳ねて喜んだ。

 このことをきっかけに、デュエプレ専用アカウントを立ち上げ、以降デュエプレ界隈、及びビルド杯界隈にどっぷり浸かることになった。



まさか自分が、いずれ大会主催者となるとは
露も知らずに…




【EP2】
カジュアルビルダー"S"の引退
そして「決意」



ーーー2022年2月ーーー

 デュエプレ界隈、ひいてはビルド杯界隈に身を置いた私は、奇想天外なデッキを作る数々のビルダーと出会い、お互いのデッキに感動し、影響しあい、新たなカジュアルデッキ作成に夢中になっていった。

 中でも、当時既にビルド杯2冠を達成していたビルダー"S(仮称)"との出会いは強烈なものであった。
(引退者のため、名は伏せておきます。)



 抜群のネーミングセンス、独特なカード選び、思いつきもしなかったコンボの数々…
毎作ごとに感心し、笑い、自身のデッキビルドのモチベーションが高まっていたように記憶している。

 謎の親近感もあってか、すぐに自分が意識するビルダーのうちの1人となった。



 ビルド杯界隈に身を置くことで、常に新たな刺激を受けていた。

 すごく楽しい。
 求めていたものがそこにあった。


 一方で、物足りなさも感じていた。



 斬新なカジュアルデッキを知れば知るほど、そのような変わったデッキと対戦したいという欲求は深まるばかり。


 しかし、カジュアルマッチはご存知の通り、主にランクマの試験場。ハンデスランデスコントロールによる鬱憤晴らしの被害に遭うことも。

 カジュアルマッチの現状に辟易とする日々だった。



「カジュアルデッキ同士での対戦がしたい!」



 チームを組織してデュエプレを遊んでいる人や、ボランティアで大会主催者をしている人がいることを知った私は、いつか自分もそうしたコミュニティ活動をしたいと思うようになった。
 カジュアルなコミュニティを作ればカジュアル対戦の頻度も多くなるだろう。


 この時、既に"裏デッキビルド杯"の名前と構想を、ある程度思いついていた。


 …しかし、当時は影響力も少なく、リアルが落ち着く一年後くらいにやれればいいか…と後回しにしていた。



 「もしかしたら、そのうち自分より影響力がある人が、似たようなことをやるかも知れない…。」




そんな最中、ビルド杯二冠であり尊敬するビルダーの"S"氏がデュエプレ、およびビルド杯を引退した。



 あまりにも衝撃だった。
それと同時に、大きな後悔が自分を襲う。


 「もし裏デッキビルド杯を彼の引退より前に開催できていたら、モチベーションにつながり、引退を防げていたのではないか?」


 既に起こったことは覆らない。
だからこそ、尊敬するビルダーの引退を未然に防ぐ方法を、知っていながらーーー

 「カジュアルデッキ同士の対戦がビルダーの喜びの一つであり、モチベーションの原動力でもあること」

を知っていながら、大会の開催を後回しにしていたことを大きく後悔した。



 ここは素晴らしい環境だ。

 だが、ビルド杯の人材は限られている。公式コンテンツとはいえマイナーであることには変わりない。



 今後もビルド杯から引退していく人がいるかも知れないーーー。


そう思った時、私の中で火がついたようだった。
私は決心した。



「裏デッキビルド杯を開催しよう。今すぐに!」



【EP3】
「裏デッキビルド杯」



ーーー2022年4月ーーー

私は、ビルダー"S"氏が引退したその月のうちに、「裏デッキビルド杯」開催を宣言した。

 即断即決。
 開催にあたって、カジュアル大会に関するリサーチをした。


 紙のデュエマは遊んでいたが、カードショップに通った経験もなく、大会参加経験も0。
他のゲームでもカジュアルガチ問わず、大会参加経験はない。

 無論、大会開催経験も皆無だった。

 であれば、役立つのはインターネット!


…と思いきや。

 先人の知恵を借りるべく調べてみるものの、紙デュエマでも公募式デッキコンテストのようなものはヒットしない。

 そもそも、「デッキビルド杯」というコンテンツ自体が異色だ。
 公募を行い、公式が選定するタイプのコンテストは他DCGには存在せず、TCGでも数が少ない。

 そしてそれを戦わせる大会となれば尚更である。


 また、デュエプレにおけるカジュアル大会の開催もほとんどなかった。

 キャラデッキ杯という、漫画・アニメのデュエマキャラクターのデッキを再現・アレンジして戦うという個人大会が開催されていた形跡はあったものの、当時既に大会は廃止されていた。

 カジュアル大会がどれくらいの人に望まれているのか。どのように進行するのか。大会形式はどうするのか。


 誇張抜きで0からのスタートとなった。




 まず、「あまり勝ちを目指さない大会」にすることにした。

 理由はもちろん、ガチデッキではないカジュアルデッキのコンボにスポットを当てるためだ。
勝つことはそこそこに、決めたいコンボを決めてもらえるようにした。

 同時に、ガチのテンプレデッキで参加されても困るので、そうしたデッキを規制する旨も追記した。


 全く勝敗が関係なくなると忖度しあう試合のようになりかねないので、優勝者にも別途賞を設け、ロマンを求めすぎて勝てないデッキにも敬意を払いたいと思い、最下位にも賞を設けてみた。

 代わりのゴールは、幸いビルド杯が示してくれている。

「投票」だ。


 最終的に以下のような賞を設けることにした。


最多得票数を「(ベスト)ジョニー賞
戦績1位に「スパイク賞
最下位に「ティミー賞


 対戦回数は多い方がいいだろうということでスイスドロー方式。

 大会が進行するにつれて、同じくらいのデッキパワーと対戦できるようになるため一石二鳥だ。


 これでいってみよう。


初めて大会ツイートをした時の、あのドキドキが忘れられない。


 自身の影響力でどこまで届くか不明だが、物は試し。

 そう思いツイートした。



 その晩、思いもよらないことが起こるーーーーーー。



神の一声



 なんと、「ミケガモ」氏より、裏デッキビルド杯を観戦配信したいという申し出があったのだ。

 あまりにも渡りに船。
自分にとってその申し出はいいことづくめだった。 

 せっかくカジュアルデッキを対戦させるのだから、お披露目する場があった方が絶対にいい。

 ビルド杯では、文字ベースの短い解説オンリーなため、コンボが複雑故に実際の動きが想像できないことも多く、可視化できることのメリットは大きい。

 対戦していない人も、デッキの動きが配信でわかると投票もしやすいだろう。



 加えて、自身に足りない影響力を補うことができる。
 しかもTwitterとYouTubeの二通りで告知が可能。


なにより、自分自身がその観戦配信を見たい!!



 その時は初めての大会開催ということもあって「一旦次回から」としたものの、様々な検討と大会の試運転を経て、観戦配信を実施することにした。


 こうして、自分がデュエプレ界隈に入るきっかけとなり、動画投稿者として、そして1人のビルダーとして憧れの存在だった「ミケガモ」氏と協力して、「裏デッキビルド杯」を作っていくことになった。





ーーー2022年5月ーーー


そして迎えた大会当日。



初回だし10人参加すれば万々歳だと思っていた。


 まさかの予想の倍以上の参加。
 観戦配信の視聴者数も50人超えていたらしく、かなり大勢の方に興味を持ってもらえたようだった。


 大会運営を担う私が担当するのは、Twitterでの告知、観戦配信でのアナウンス、大会進行と大会アプリでのアナウンス、投票と集計、結果発表…。

 大会中全く休む暇がないほど忙しかった。
 正直、当時の記憶が飛んでいる。


 しかし、一部トラブルはあったものの、大会及び配信は無事終了することができた。 

記念すべき初回裏ビルド杯観戦配信。


 結果としては、初回にしては成功…
どころか、予想を超えた大成功であった。

沁みた。
涙脆いので普通に泣いた。


 反省点は星の数ほどあったけれど、それ以上に一つのコンテンツを作り上げた達成感があった。

 デュエプレのTwitterアカウントを2022年2月に立ち上げてから、この間わずか3ヶ月。 




 私は、いちカジュアル大会の主催者になったのであったーーー。



【エピローグ】
新たな協力者、新たな決意




ーーー2022年5月末ーーー

 こうして初回裏ビルド杯無事終えることができた…のも束の間。

 デッキビルド杯参加者である「じーく」さんとデュエプレで遊びつつ雑談している時に、いつのまにかこんな話題になっていた。



「裏ビルド杯のサムネイルを作りませんか?」



じーくさん(@analogmon )
神  絵  師
デュエプレ関連の絵を多数投稿。
裏ビルド杯初のベストジョニー賞二冠。



 裏ビルド杯の話になり、その流れでサムネの話をしたところ、裏ビルド杯に協力・貢献したいとのことでまさかの快諾。


 人に絵を頼む、という経験がなく、まさかの展開に慌てふためくばかり。


 私は美術センスに関しては皆無に等しく、無い脳みそ(美術部門)を捻って案を出したところ、それを元にイラストを書き上げてくださった。

じーく先生に圧倒的感謝…!


元ネタはもちろん「とんでもねえデッキを作っちまったかも」
子供時代、ザキ裸が格好良くて個人的には好きだった。


 さらにその後、裏デッキビルド杯1周年を祝し、ファンアートという形でサムネイルを新たにリニューアルすることに。


デッキビルドを楽しむ切札一家。暖かく、非常にエモい。
和気藹々と楽しむ裏ビルド杯にピッタリのイラスト。


 実際に絵をもらった時は、興奮も興奮。大興奮。
裏ビルド杯のためとはいえ、自分のために絵が描かれるということがこんなにも嬉しいものかと知った瞬間だった。


 だが、それ以上に

「裏ビルド杯はもはや自分1人だけのコンテンツではない」

ということを強く実感した瞬間でもあった。



 この時、私は静かに、新たな決意をした。






ーーー2023年8月ーーー

 8/26日、初回を合わせて9回目の裏デッキビルド杯が開催された。参加人数は24名。

 今回は特に斬新かつ美しいデッキが多く、過去裏ビルド杯の中でも上位に入るほど盛り上がった。


 裏ビルド杯は2023/5/16に1周年を迎え、カジュアル非公認大会、賞品なしにも関わらず、参加人数は20前後から、多い時は30名ほど参加している。

 小さめの店舗大会であれば満員御礼といったところだろうか。バケモンだ。




 現在も、裏ビルド杯は改善・改良を重ね、初回から形式を変えつつ、参加者や視聴者の皆様が楽しめるよう、開催しています。



「デュエプレサービス終了のその日まで、
この裏デッキビルド杯と共に添い遂げる」
ためにーーー。




終わりに


 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


 このようなストーリー仕立てのエッセイ…のような何か?を書くのは初めてでした。なにぶん不慣れなもので、読みづらいところがあるかもしれません。

 多少なりとも興味を惹かれたり、面白いと思ってもらえたら幸いです。

 読者の皆様の中に裏デッキビルド杯に興味を持ってくれる方がいらしたら、それはもう本当に嬉しいことです。



 裏ビルド杯も9回の開催を経て初回から形式が大きく変わっていますが、あえて本記事では触れていません。

 ぜひ大会へご参加、あるいは配信をご視聴いただき、現在の裏ビルド杯がどうなっているのか実感していただければと思います。


 デュエプレのランクマに疲れた方や、なかなか変わったデッキと対戦できないカジュアルマッチに疲れた方など、今一度試しに参加してみてはいかがでしょうか。



 皆様のご参加お待ちしております。


(閑話休題)


 当初は裏ビルド杯1周年記念の5月中旬あたりで、カジュアルの考察だーとか、デュエプレでカジュアルが盛り上がるためにーだとか、小難しい話でもしようかと思っていました。


 が。


 露ほども面白くない上に、他TCG/DCGはおろか、紙デュエマのカジュアルイベントにすら参加したことがないせいで、考察材料は皆無、説得力も皆無で泣く泣くお蔵入りとなりました。

 そんなこんなで筆を折りっぱなしだったところ、最近投稿されたとあるnote群を読み、


「この手があったか!!!!!!!」


 となり、8/26に開催された裏ビルド杯#8の熱があるうちに、語りのような形で書き上げることと相成りました。

 その記事に感謝だ。
 …大幅に。著しく。



 こうやって裏ビルド杯が成立した流れをまとめてみて、自分はかなり運と人に恵まれているな、と思います。
ミケガモさんとじーくさんのコンテンツパワーがデカすぎる。


 そのお二方だけで無く、視聴者や参加者、その他協力者からも活力をもらってばかりです。

 改めて、ミケガモさん、じーくさん、そして参加者、視聴者、大会周知にご協力くださっている皆様。
 この場を借りてお礼申し上げます。


 本当にありがとうございます!



 ありがたいことに、裏ビルド杯に参加することでデッキビルドのモチベーションが維持され、デュエプレを続けられているという声も聞きます。(マジで嬉しい)

 自分の活動によって、何かしらお返しができていることの、何よりの証左だと信じています。


 改めて、ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


裏デッキビルド杯主催
トスカーナ


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