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アトランタ・ドリーム⑫ 2024ドラフト総評編



2024ドラフト振り返り

さて、先日4/16に無事に開催された2024年のWNBAドラフト。今日はドラフトの個人的な振り返りと、アトランタドリームの狙いについて、解説していこうと思います。
個人的に今ドラフトはあちこちに面白い種が蒔かれたなということだと思います。これが回収されるか否かは置いておいても、ロマンの溢れるチームが現れたなぁと思いましたね。それでは、実際のドラフトを振り返る前に、結果と、おこめが予想した1巡目ドラフトを見比べてみましょう。
こちらです。

おこめが予想した1巡目ドラフト順位

ということで、当たったのは4/12(流石にミネソタとシカゴの7位8位トレード予想なんかできるわけなかったので、7位Angel Reese予想したけどこれは×)。
選手として名前が出せたのは10/12とおこめならびにあちこちのモックドラフトが予想していた選手の大半が1巡目にいたということである。
簡単に、それぞれを振り返ってみよう。

1位 Indiana Fever Caitlin Clark
まぁ、あえてコメントするなら『でしょうね』というところ。これで2年連続1位指名権を引き、恐らく2年連続のROTYをとるであろうことが想定されますね。フィーバー、数年後が怖いよ本当に。

2位 Los Angels Sparks Cameron Brink
コメントするなら『だろうな』というところ。ケイトリン・クラークは圧倒的な1位指名選手でしょうけど、彼女の躍進はここから始まると面白いですね。LAの顔になるような選手に育っていけばいいかなと思います。

3位 Chicago Sky Kamilla Cordoso
ここは正直納得と意外と半々くらいかもと思った。とはいえ、今年ケイトリン・クラークのいたアイオワを倒して王者になったチームのエースだし、選出としては間違いないか。正直この後のピックも合わせて、シカゴ・スカイには驚かされた。

4位 Los Angels Sparks Rickea Jackson
このドラフトにおけるスパークスはここで二者択一を選べる美味しい状況だった。もしくはペイジ・ベッカーズがドラフトに名乗りを上げていたら、確実にコルドソかリケアの2択を選べていた。得点力もあるし、ディフェンスもできる、フォワードコンビの誕生はLAにゆくゆくは旋風を巻き起こすかもしれない。

5位 Dallas Wings Jacy Sheldon
まぁ、俺がモックドラフトのときに、ガード取るか、どうするか問題を書いた覚えがあるけど、こうなったかというところ。正直、全く驚きはないです。恐らく一番求めているであろうハンドラータイプではなく、3&Dタイプではあるけれども、サイズも大きいし、レンジも広いし、エースと組ませても仕事するタイプなのでウィングスにはぴったりのいい選手だと思います。

6位 Washington Mystics Aaliyah Edwards
ここも恐らく前回書いた通りだったんだろうなと思う。top5を落ちたとはいえ、ペイジ・ベッカーズの相棒枠としてチームのトランジションオフェンスを担っていたし、十分通用する逸材だと思う。今期からタンクが始まるし、指名権は2本あるので、来期もしかしたらミスティックスにペイジ・ベッカーズがいたりするかもしれない。

7位 Chicago Sky Angel Reese
ドラフト前日にトレードが起きて、8位のミネソタと指名権が入れ替わった形。まさかそこで入れ替えてくると思わなかった。もしかしたらリーグの上層部の中では7位のミネソタがAngel Reese狙いだったとも見れる動き方。コルドソとのコンビはイメージこそつかないが、このツインタワーがものになれば、シカゴを応援するファンは間違いなく増えると思う。ワクワク感でなら間違いなく高評価。

8位 Minnesota Lynx Alissa Pilli
今にして考えると、確かに納得の人選である。リンクスは別にサイズを追い求めているわけでもないのと、ディフェンスでもメンツが揃っているので、Alissa Pilli大暴れの可能性もありうる。あとは彼女のパワーはともかくスピードが通用するかどうかは懸念ではあるが、他はなんかこううまくやっちゃうんじゃないかな感もある。チーム的にもこういう選手育てるのは上手そうだし。

9位 Dallas Wings Carla Leite
フランスリーグから名乗りを上げてきましたね。正直マーク外してた。ごめん。タイプとしてはSheldonはシュータータイプのPGだけど、彼女はハンドラーとピック&ロールタイプの正統派なPGってやつかな。18歳からフランスリーグに入り、現在2年目。WNBAへの加入は意欲的だが、ロスター枠を考えると、今期フランスリーグのままの可能性もある。とはいえ、この手の正統派PGはウィングスも欲しいところではあるので、どこかのタイミングで合流すると考えるのが一番か。

10位 Connecticut Sun Leila Lacan
同じくフランスリーグから。もしかすると彼女も今年はWNBAのコートに出ないかもしれないけど、それでも十分ポテンシャルはあるし、サイズとディフェンス力は折り紙ついてると思います。ただ、それ以上にプレータイムをあげられるかといわれるとそっちの方が怪しいな

11位 New York Liberty Marquesha Davis
完全なノーマークだった。ディフェンスの優秀な選手であるが一方3ptは昨シーズン23.9%(試投数0.3-1.4本)というところが気がかりな選手でもある。サイズは6フィート(=183cm)あるため、サイズでのミスマッチも生まれにくいのは利点か。得点力は平均14得点と非凡ではない力も持っている。正直話していると、あれ、この選手がリバティに行くの、やばくね、となる。夢であれ。いや夢じゃないんだ。

12位 Atlanta Dream Nyadiew Puoch
南スーダンの移民でシングルマザーのお母さんと、6人兄弟の中で育った彼女がWNBL、WNBAと階段を駆けあがってきましたね、身長が6'1,6'3のどっちが正しいのかはわからないけど、彼女の強みは大体のポジションがこなせるサイズとパワーとスピードの持ち主ということですね。あとはボール持った時の攻め方には改善ありと見ますので、そこを磨き上げてほしいです。

ドリームの目論見

さて、今期ドリームがドラフトした選手は下記の3人ですね。

12位 Nyadiew Puoch

20位 Isobel Borlase

32位 Matilde Villa

選手毎の紹介回はまた次回にでも回すとして、今回ドリームはドラフト指名した3人をルーキーシーズン中はチームに帯同させないという決断をドラフト初日に記者会見で発表したわけね。ここがファンの間で物議を醸してるところでもあるのよ。
要は『指名するならロスター入れとけよ。少なくとも1巡目のPuochは入るだろ』派と『なるほど……やりますね……(眼鏡クイッ』みたいな派に分かれたわけだ。俺は今回は後者の気持ちがよくわかるんだよね。いつも分かんないけど。

つまりどういうことかというと、この動きでロスター枠を削らず、サラリーキャップの上限すれすれを維持しながら、かつ、若くて有能な選手たちを育成するっていう超高度なことをやってのけたわけよ。

いやいや、と思われるかもしれないけど、実は今期のドリームってサラリーキャップにリーグで1,2を争うレベルで近付いているんだね。理由は明白で、ジョーディン・カナダ、エアリアル・パワーズとの契約、ニア・コフィーの再契約というこのオフの重要な動きで結構キャップを埋めちゃってるわけだ。
そのなかでルーキー契約の選手を加えて、動向はまだ出てこないけどDurrの再契約なんかしたらキャップ超えるわけだよ。という金銭的な動きが一つ。

ルーキー3人とも呼ばない影響で、ロスター枠も残るよね。そうすると、現在Durrを含めて11人ロスターがいるので、1枠残しがルーキー枠だと思われてたんだけど、この枠を残すことでチームとしての柔軟性が上がったかなと思う。どこの補強に踏み切るかだとか、ケガで離脱したときに加入させる選手の枠だとかさ。そういう意味でもこの動きは大きかったと思う。

最後の理由としては、WNBAには育成組織がないことだね。まぁ、他にもないものがあってロスター枠足りないしチーム数足りないしお給料安いし言い出したらキリがないんだけど。
で、今回指名した選手ってのはみんな海外のリーグを拠点にしている選手なんだよね。PuochとIsobelはオーストラリアリーグにいるし、Matildeはイタリアリーグに所属している。でもここが全員大学生だったらどうしていただろうって話よ。少なくとも1枠空いているから、1人は残れるとしても、他2人に関してはウェイブするか、もしくは運よくトレードで未来の指名権あたりと交換してもらうしかないわけだ。これはやっぱりロスター枠が少ないことが要因だと思うけど、年間36人ルーキーを入れていく割りに、その受け皿が小さすぎることが問題だよね。優秀な選手でも時間が待ってくれないのは厳しすぎるわけだ。

もう一つ付け加えると、現有戦力が底上げされているのもあると思う。今チームにいるルーキー契約選手って、ライン、ナズ、ヘイリー、レティシアの4人なわけで、全員大学生からリーグに入ってきたわけだけど、ガードならヘイリー、センターよりのフォワードならレティシアの壁を突破しないと大したプレータイムはもらえないわけだ。そして彼女たちも昨シーズン自分より試合での優先度の高い選手が移籍していったから、彼女たちの時間自体も伸びるなかで、じゃあルーキーをかち合わせようってのはちょっと横暴が過ぎるように思える。

話にあげなかったナズはどうだって言ったら、WNBLで今期得点王クラスの活躍を見せて、点を取ることの片鱗を見せてくれたし、エースのライン・ハワードがベンチに下がるわけがねぇだろうがというところ。
こうなると、海外リーグにいる選手をピックアップして、海外でそのまま育成するというのは割と理にかなっている。プレータイムも長くもらえるから自分たちの課題に取り組む時間も相応に長くなるわけだしな。しかも3人ともこのドラフトの世代より若い19歳とか20歳の選手(WNBAは4年目まで在籍する選手が多いので、22歳以上になる可能性が高い)であるから、今のうちからプロの中で経験値を積ませるっていうのは非常に重要なことだと思う。

まぁ、結果論かもしれないけど、Isobel は1巡目予想も各社でされてたくらいの才能ある選手だし、Puochは上に書いた通りだし、Matildeもアメリカの大学に行かずにイタリアリーグに入っていった跳ねっ返りなので、数年後このドラフトの3人が大成功だったんじゃね、とか言われてても違和感がない。少なくとも来年1巡目指名権がないドリームにとっては結構棚ぼたピックだったと思う訳だ。
WNBAの運営上、今後も間違いなくこういう指名は増えるんじゃないかなと思うよ。サラリーに当たらないし、選手はウェイブしなくていいし。こういうのをエーシズとかにやられちゃうと、もっと夢を見れなくなってしまうけどな。
海外選手枠はどこの国も少ないのがネックだけど、それを乗り越えた選手はやっぱりどこのチームも見逃さないよねって話でした。

じゃあ、次回はドリームのルーキー紹介回をお送りします。おこめでした!



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