社会保険のメリット、国民年金・国民健康保険との違い(後編)
はじめに
前回は、社会保険の全体像と、年金、健康保険についてお話ししました。
今回は、社会保険の一番のメリットとも言える『扶養』についてお話したいと思います。
前回の記事の続編となっていますので【前編】を読まれていない方はこちらもご覧ください ↓↓
前回の記事
【社会保険のメリット、国民年金・国民健康保険との違い(前編)】
5.扶養制度
この扶養制度は、社会保険制度の一番のメリットと言っても過言ではありません。
扶養制度のメリットを一言で表すと、
『被保険者の納めている保険料で、家族の保障も賄うことができる』というものです。 これがどういうことを意味するのか見ていきましょう。
扶養の対象となる人
まず、扶養の対象となり得るのは、直系尊属(父母、祖父母など)、配偶者(事実婚の場合も含まれます)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人です。
例えば、夫、妻、子ども2人の4人家族で、夫が被保険者の場合、妻と子ども2人が扶養の対象となり得ます。
(この例は、この後も出てくるため覚えておいてください。)
もっとも、被扶養者(被保険者に扶養される者)となるためには、年収の制限をクリアしなければなりません。
その基準は、年収が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満であることです。
この基準を充たすことで、被扶養者として認定されます。
被扶養者と認定された場合、下記のようなメリットがあります。
配偶者の国民年金
被扶養者と認められた配偶者は、国民年金の第3号被保険者となり、自分自身で国民年金の保険料を納める必要がなくなります。
他方、夫婦のいずれも国民年金の場合は、夫と妻の両者とも国民年金の保険料を支払わなければなりません。
先ほどの例でいうと、妻が被扶養者となった場合、妻の国民年金保険料は、夫が納めている社会保険料で賄われることになります。
つまり、国民年金の場合、毎月16,540円の保険料(令和2年度)を納めなくてはなりませんが、社会保険の被扶養者になることで保険料を納めなくても国民年金に加入していることになるのです。
令和2年度の場合、加入者一人当たりの国民年金保険料は、年間で約20万円ほどになるため、扶養制度によって、これだけの金額を納める必要がなくなるのは大きなメリットと言えます。
健康保険
また、被扶養者は、自身で健康保険に加入していなくても被保険者の健康保険に加入することができ、保険証を持つことができます。
国民健康保険の場合、保険料は世帯毎に納める仕組みになっており、家族が増えれば増えるほど納める保険料は上がっていきます。
他方、社会保険の場合、被保険者の納める保険料で被扶養者の健康保険を賄うことができるため、被保険者の保険料が変わらなければ、家族が増えて健康保険に加入させたとしても保険料は変わりません。
6.社会保険に加入できる人、できない人
ここまで述べてきたように、社会保険には加入者(被保険者)にとって多くのメリットがあります。
であれば、全員社会保険に加入した方がいいと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、社会保険に加入できる人は、主に法人の役員、従業員、公務員と法律で決められています。
そのため、これに含まれない個人事業主は、副業などで法人の従業員になる場合を除いて、基本的に社会保険に加入することができない仕組みになっています。
7.終わりに
今回は、社会保険のメリットについて、国民年金・国民健康保険と対比させつつ書かせてもらいました。
社会保険のメリットについてご理解いただけましたでしょうか?
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