ガチ勢が競技的にナワバリバトルを楽しむために②~ラスト30秒ゲー問題~

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前回に引き続き、ガチ勢がナワバリバトルを競技的に楽しむための私見を述べたいと思います。
今回のテーマは、「ラスト30秒ゲー問題」です

問題②なぜ、ラスト30秒ゲーなのか
 ガチ勢がしばしば「ナワバリは結局ラスト30秒ゲー」とその競技性の低さを揶揄しますが、これも正鵠を得ていると思います。その根拠は、「デスによるオブジェクト不関与の影響度合いが時間経過に伴い高まる仕様」になっているからです。要は、「後半ほどデスが重い」という一見自明のことなのですが、実際にはちょっとややこしいので、まずはナワバリバトルと他のバンカラマッチの仕様の主な違いを、バンカラマッチ視点から整理しましょう。

バンカラマッチ
ア)ノックアウト勝利がある
イ)勝敗カウントに関わる小さいオブジェクトと大きいステージ(非オブジェクト)が分かれている

ナワバリバトル
あ)ノックアウト勝利がない
い)勝敗カウントに関わるオブジェクト≒ステージ全体

当たり前に見えるかもしれませんが、この違いがゲーム性を大きく変えています。

ア)、あ)の違いをみていきましょう。もし例えば、ナワバリバトルも「途中で塗りポイントが大差となったら、その時点でノックアウト勝利とする」という勝利条件があればどうでしょうか。「デスの重たさは、時間経過で大きく変わる」ことは薄まるでしょう。むしろ、他のバンカラマッチのようにファーストスプラットに緊張感が生まれるはずです。

「ノックアウトがない」ことは、後半のデスが重たくなる仕様(大逆転を生みやすい娯楽的素地)の一つとなっています。

 また、イ)、い)の違いは、「生存している時間のオブジェクト関与割合」の差につながります。
極端にいえば、ナワバリは潜伏とスーパージャンプ中を除き、生きている間は常にオブジェクトに関わり、カウントを動かします。 カーリングボムで移動中も塗りポイントは増えますからね。

もちろん、この仕様は、「TPSはじめての人でも初回から100%試合に参与できる」という、新規参入者の自己肯定体験に結び付きやすい設計でして、参入障壁を大きく下げる要因(企業戦略)となっているのでしょう。

一方で、「オブジェクトを管理しノックアウトを目指す」ことに慣れたガチ勢からは、「やってられない負け」体験の温床にもなっています。

整理すると、「ノックアウトがない」ことにより、後半のデスが重たくなる仕様であり、
かつ、「ステージ全体がオブジェクト」であり、生存している時間あたりのオブジェクト関与割合が高い。
この合わせ技により、「終盤のデスがめっちゃくっちゃに重い」仕様になっています。

競技的に楽しむポイント② 競馬のイメージで、「ラストの仕掛け」とリスクマネジメントを意識しよう

 文句ばかり言ってもしょうがないので、ここでも競技的に楽しむ現実的なソリューションを考えてみます。例えば、ラスト30秒を「競馬の最終直線」のようにとらえ、そこで「どう仕掛けるか」という視点で戦略を考えるのはどうでしょうか。

 ここでも、①で紹介した「形勢把握スキル」が前提として求められます。精度の高い形勢把握がなければ、そもそも「仕掛けるべきか」「仕掛けずリスクマネジメントすべきか」の判断すらできません。

例えば、ラスト30秒時で塗り状況が不利と把握している場合は、競馬でいう「差し」「追い込み」のような仕掛けが求められます。理想は、「クビ差」「半馬身差」で差すような絶妙な仕掛けが求められます。いわゆる、「上振れた」、「とがった」立ち回りですね。
具体的には、キルや敵陣への抜けを意識する必要があります。塗りの強いスぺシャルをどこで切るか、いかにかぶせるかなどの議論を深めていくといいと思います。全体として、ある程度~かなり、「リスクテイク」する立ち回りが求められます。

逆に、ラスト30秒時で塗り状況が有利であると把握していたとしましょう。これは競馬でいえば「逃げ」ている状況であるといえます。無理をしてまでキル行動をとったり、相手陣地に抜ける必要はないかもしれません。スペシャルのかぶせていくよりも、抱え落ちを避けなければなりません。
相手と距離をとりながら、最終的に6:4、5.5:4.5くらいで終了できることを目指した立ち回りを考えていく必要があります(試合のクロージングを意識した立ち回り)。
また、次回述べますが、地形的に塗り替えしにくい箇所を塗り固めることも重要でしょう。これらは、「下振れない」、「丸い」立ち回りともいわれます。

いい方をかえると、「形勢有利でありながらリスクテイクな仕掛けをする」ことや、「形勢不利でありながら仕掛けず保守的に立ち回る」と、再現性ある勝利から遠ざかってしまいます。

最後に実際におきるであろう、ラスト30秒の本気のやり取りをみましょう。
(プレイヤーはA,B,C,Dの4人 ゲーム内リーダーはA)

A「(デス中のBに向かって)B,状況どう?!(形勢把握依頼)」
B「勝ってる!6:4!から、5.5(:4.5)!(形勢把握)」
A「OK、抑えて!(リスクマネジメント方針の表明)」
C「抜け、ない?(相手の仕掛けを確認)」
D「ない!(相手)ウルショたまってる!(上振れ機能の高いスペシャルへの警戒)」
A「(Dに向かって)マルミサたまったら即吐いて!(リスクマネジメント)」

みたいな感じでしょうか。

まとめ
ナワバリバトルは終盤のデスがめっちゃくっちゃに重い仕様!
形勢把握をしつつ、どこで仕掛けるか、あるいは仕掛けないでリスクマネジメントを考えるかの、「競馬」のようなスポーツ技術を磨くことを考えると、競技的に楽しめる!

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