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将来の夢はなんですか?

「将来の夢はなんですか?」

この質問に純粋な夢を答えられなくなったのはいつからだろうか。
小学生の卒業式の時、卒業証書を1人ずつ受け取る時間があるのだが、ステージに登って自分の名前が呼ばれるまでの間、隣にあるスクリーンに自分の将来の夢が写真と共に映し出されていた。
みんな将来なりたいものを各々先生に伝える。さて、私はなんと答えたのか。
「沖縄に家族で旅行に行きたい」
現実的すぎる。もう少し"夢"を語ってもらいたい。
夢といえば夢ではある。かなり素敵じゃないか。だが、そうじゃないのだ。そうじゃなくてこう……ね?夢らしい夢というか…夢らしい夢ってなんだって話ではあるが。


小学校高学年の時にはもう夢なんてなかった。何になりたいということを考えることがなくなった。
中学生の頃に「ラジオパーソナリティになりたい」とふと思ってからは漠然と夢として抱いていたが、中学生卒業ともなると、現実を見るようになり諦めた。

高校生からは、「現実的に考えて公務員だな」と思って公務員以外を考えることがなかった。周りの大人は言う、「公務員は安定だからいい」と。幾度となく聞いてきたセリフだ。自分も公務員になるんだと思っていた。地元が好きで、わざわざ出る理由もないから地元の市役所にでも就職するのだろうと。それに合わせて学校も経済学部を選んだ。

大学生になって、もう気がつけば3年生。就活が本格化すると言われる学年になったが、現実はどうか。全くだ。「働きたくないな」という気持ちが先行して何も行動に起こしたくない。親にも高らかに「働きたくないからまだ就活をやらない」と宣言し、今に至る。カスすぎる。おかーちゃんまじですまん。唯一行ったインターンシップ先が、ずっと志望していた地元の市役所。一日だけだったが、感想は「自分はここじゃないな」ということだった。

公務員が合わないとわかってからは悩む日々が続いた。ずっと公務員しか見てこなかった私には、何をしたらいいのか、何になりたいのかが本当に分からなくなった。将来の夢がない、目標がない人生はこんなにも寂しいのかと実感した。
このまま死んでしまった方が楽なのではないかと、本気で考えたりもした。就活で死ぬなんて馬鹿らしくて、それならニートや!と思い2分でやめた。

今も何になりたいかなんて全く分からない。
ずっと生まれ育った場所で働きたいなと思っていたが、今年になって日本にいるのに46都道府県見ないのもったいないな〜と思って、全国を周りながらできる仕事を探し始めた。極端すぎる。
あとは葬儀場で働くのも魅力的だなと思っている。人との別れは誰でもくるもので、誰でも必ず経験するものだ。その最後の時間のお手伝いを出来るのがすごく素敵だと思う。私も実際お手伝いをしてもらった側だからだろう。


そんなことを考えながら、就職面談に行ってきた。担当の方に「すごく芯がしっかりしてますね。この年で葬儀場の就職を考えてる人なんてそうそういないけど、お父様を亡くされた経験があるからこそ、寄り添いたいと思うことはあなたの強みです」と言ってもらえた。「いつかは現実を見なきゃいけない時が来ますけど、今は可能性を広げてください。若いのでなんでもできます。色々調べて一緒に頑張りましょう。私も楽しみです、どこに行ってもあなたならやって行けると思います」って言われて泣きそうになった。経験している人が少ないことを私の強みだと言ってくれたこと、この時期にやりたいことが決まってなくても大丈夫だと言ってくれたこと。すごく暖かい人だった。


まだ漠然としか見ていない未来に期待を込めて
就職面談を受けて、色々考えた記録として

人生長いね

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