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通学路

ふと夜に散歩したくなった。
特に目的地もなく、ワイヤレスイヤホンをして夜の世界に飛び出した。どこに行こうか。そんなことを考えながら夜の道を進んでいく。
「ここ通りながら小学校に通ってたな」
その瞬間、久しぶりに通学路として使っていた道を歩いて小学校に行こうと思い、気づいたらその方向へ歩いていた。

私の家から小学校はかなり距離があり、小学生という小さな体の歩幅では片道30分はかかっていた。
口裂け女がいると噂だったシャッター、犬のフンが落ちまくっていたから"うんこロード"と呼ばれていた道、空いているところを見たことがない焼き鳥屋(なくなってた)、友達と別れていた十字路、畑だった場所が住宅になっていたり
変わらないものもあれば、跡形もなく変わってしまったものまで全てが懐かしく、思い出に浸りながら進む。

小学校まで来た。大人の足でも20分はかかる。
これを毎日通っていたのかと感心した。来たばかりなのに帰るのが億劫である。
学校は少し高い場所にあるから、夜だけ見ることができる夜景が好きだった。部活がある時、冬の日が短い時期にだけ見える。久しぶりにこの場所から見た。

帰りは別の道から帰ることにした。下校の時によく使っていた、通学路とはまた違う道。小学校6年生の時は少し暗くなってから帰るのが好きで、みんなでわざと教室に残って帰っていたな〜とか考えながら、真っ暗な道を一人で帰った。
よくみんなで遊んだ公園にも立ち寄る。ここもよく遊んだ遊具は劣化により撤去されてしまい寂しくなった。
それでも、思い出は消えないのだなとも同時に思った。その場所に行ったら昨日のことのようにあんなことがあったな、こんなことがあったなと思い出せる。

そろそろ本当に帰ろう。帰りは全て上り坂。
「しりうすの家は坂の上にあって疲れる。"坂の上のしりうす"」って友達に言われたことを思い出しながら楽しく帰った。

この街が好きで、友達がたまに帰ってきて会っては小学校の思い出話に花を咲かせる時間が好きで。
これからもたまに思い出に浸るために歩きたいなと思った。


1時間も歩いちまった。今日は早く寝よう。

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