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2011安藤梨友(NPOぎふ新体操クラブ)

全日本ジュニア2日間の熱戦が終わりました。
男子個人では、安藤梨友選手(NPOぎふ新体操クラブ)が、36.475で4種目完全制覇! という圧巻の優勝でした。
小柄でかわいらしい雰囲気の安藤選手ですが、童顔なのかと思ったら、なんとまだ中学1年生! 童顔なのではなく、本当にまだ「幼い」のでした。

しかし、その演技たるや…。
見た目の子どもらしさとは別人のよう!

りとも

安藤選手の代名詞とも言えるタンブリングの強さは、もちろんのこと。手具操作も巧みで、なにをやっても安心して見ていられる風格たっぷりの演技なのです。
タンブリングは高く跳ぶこともできるのですが、低めの跳躍でのぐりぐり回るひねりもすごいし、着地が乱れない! つい先週まで見ていた体操の内村航平選手をほうふつとさせるものがありました。「なぜ、それで立てるんだっ?」と驚愕するしかない。そんな感じです。

手具操作も、まずは、そろうべきところでリングの面がきちんとそろう、ロープの端をとるといった基本がていねいで正確。そのうえ、難しいこと、リスキーなことにも挑戦しているし、リングで見せた2本同時投げの女子でいう平投げバーション(男子の2本投げは普通は床面に対して垂直に投げるが、それをやや斜めではあるが、平行に近くなるように投げていた)など、目新しいこともやっていたり。まあ、とにかく「スーパージュニア」であることは間違いないです。

いかんせん中1ということで、濃い印象の表現を見せるところまではいってないか? と思っていたのですが、必要以上に顔を作ったり、細かい動きを入れたりはしていないのに、なにか演技を心地よく見せる力を持った選手だなあ、と感じながらこの2日間見ていました。しかし、最終種目のロープを見たときに、ああ! と彼の魅力の謎が解けた気がしました。

おそろしくリズム感がいいのです。

安藤選手のロープの曲は、「ドラムライン」で使われているすべて打楽器という男子新体操には珍しい曲でした。90秒間、ずっと「ドンドコドコドコ♪ドンドコドコドコ♪」と打楽器の音が鳴り響くというちょっとシュールな曲を、彼は見事に踊りきったのです。ステップしながらのなわとびなども入っていましたが、あまりにも音と合ったその演技には、ただ感心するしかありませんでした。
これは・・・すごい! 技術や能力だけでなく、こんなセンスも持ち合わせた中学1年生って? このロープの演技は、今まで見てきた男子新体操の演技の中でも、かなり印象に残るものになりました。
ロープのラストポーズは、拳を顔の前にかざす、ちょうどガッツポーズのようなポーズでしたが、このときに「ああ、優勝はこの子だ」と確信しないわけにはいきませんでした。

りとも2

あまりにも見事な優勝!
おそるべきジュニアチャンピオンの誕生でした。

女子と違って男子は、中学生以上であれば全日本選手権に出場できるので、安藤選手は、11月の全日本選手権に出場します。もちろん、最年少ですが、彼の演技は、見ておいて損はありません。
来年1月には長野カップで、男子キッズ選手権という小学生対象の大会もありますが、安藤選手も昨年までならキッズの出場資格があったと思うとおそろしい。もちろん、安藤選手もこの1年で成長した部分が大きいとは思いますが、1年前にもすでにかなりの実力をもっているとの評判でした。小学生でもその可能性は果てしないな、と感じさせてくれた安藤選手の優勝でした。

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