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2011全日本ジュニア~恵庭RG/華舞翔新体操倶楽部

●男子団体2位:恵庭RG

今年の全日本ジュニアの男子団体は、井原ジュニアの圧勝? という前評判があった。たしかに、井原は強かった。下馬評通りの優勝だった。しかし、圧勝だったかと言うと、じつはそうでもない。2位の恵庭RGは、18.425。井原ジュニアの18.650とは、0.225の差だ。3位との差が0.300あることを思えば、井原ジュニアと恵庭RG。この2チームがかなり高いレベルで競った大会だったと言えるだろう。

1年ちょっと前に、北海道の新体操の大会のDVDを見る機会があった。そのDVDに入っていたやけにうまいジュニアチームがいたが、それがおそらく彼らなのだろう。
たしかに、彼らは1年前もすでにうまかった。
しかし、あのころはもう少し、力まかせというか、技頼みな印象だったように思う。
それが…。なんとまあ、美しいチームになったことか!
その成長ぶりにまず驚いた。

まず、恵庭の伝統とも言えるタンブリングの強さ。
それは十分にあるチームだ。ジュニアながらもまったくあぶなげない。
この大会では、しか倒立に揺らぎのあったチームが多かったが(井原でさえ少しあぶなかった)、恵庭だけはまったく乱れず、形も美しく、完璧に同調した鹿倒立を見せた。

組みからの投げ技も存分に入れていたが、開脚ジャンプの開脚度もすばらしく、また、投げた人をまた受けとめるという技でも、上で人が回転しており、よりスリリングだった。

えにわ

男子新体操団体、らしい見せ場もたっぷりあったうえに、脚のラインがまっすぐできれいな選手が揃っていて、見た目の美しさも兼ね備えたこのジュニアチームの存在は、この先も「北海道侮れず」と感じさせてくれた。

インターハイでの恵庭南高校の演技も、正直、思った以上によかったことを思い出した。今回のジュニアもしかりである。
北海道からは、あまり情報発信がない。私もまだ取材に足を延ばせずにいる。だから、恵庭にはいつも試合で突然驚かされるのだ。いったい今、北海道では何が起きているのだろう? と。
恵庭は伝統的に強いチームではあるが、このところの演技を見ていると、なにか地殻変動が起きているように感じられてならない。

…やっぱ、北海道にも一度行かなきゃかな…。

そう思うだけの演技を彼らは見せてくれた。
会場で補助役員を務めていた恵庭出身の大学生に、「恵庭すごかったね」と声をかけると、みんなとても嬉しそうだった。そして、「この子たちの下にもいい子がたくさんいるんですよ」と得意げだった。
おそらく、このチームもこういったOB達に支えられているのだろうと思う。鈴木一世(元花園大学)や春日克之(元青森大学)を生んだ恵庭の地には、男子新体操が脈々と根付いているのだ。
この先、どこまで大輪の花が育つか、楽しみにしておこう。


●男子団体3位:華舞翔新体操倶楽部

来た! ついに来た!
今年の華舞翔の演技を見たときに、そう思った。
いつかは来ると思っていた。
それが、やっとここまで来た! そう思った。

彼らがまだ小さくて、演技中にパンタロンのすそをふんづけるんじゃないかと心配になった、そんなおちびちゃんだったころから、このチームには注目してきた。
その元・おちびちゃん達は、見事な成長を、今大会で見せてくれた。

小さいころから、年齢にそぐわないくらいの美しく艶やかな動きをしていた「おしゃれなチーム」、それが華舞翔の印象だった。
全日本ジュニアに団体が出場したのは、昨年が初めてだが、もっと前から華舞翔が記憶に残っているのは、長野カップに出場していたからだろうと思う。もしかしたら、個人だったかもしれないが、かなり小さいころから華舞翔の子たちのおしゃまな演技を見ていた記憶が私にはある。昨年は、5月の団体選手権にも出場していたし、全日本ジュニアにも出ていたので、ここ2年は見る機会も増えていた。そして、見るたびにうまくなる彼らには舌をまいていた。

はなぶ

はじめて見たころは、「美しく動こう」という意識をもってやっているだけで、すごいなと思える程度のちびっこ達だった。そして、小さいだけあって柔軟性に秀でているチームだった。それは、やはり早くから始めたメリットだったろうし、華舞翔は、女子も福島県では現在トップレベルのクラブで力のある選手が多く出ている。そういう環境で、「柔軟」に対する意識も高かったのではないかと思う。

とにかく、彼らは、「先が楽しみ」なちびちゃん達だったのだ。

とくにインパクトがあったのは、去年の団体選手権で見せた「後方ブリッジ→鹿倒立」だった。そのときはまだ未完成で、失敗した子も多かったが、やろうとしていることはしっかり見えた。しかし、昨年の全日本ジュニアでは封印していた技だ。
それが、ついに今年、その完成形(やや乱れはあったが)を披露した。あきらめずにずっとこの技の完成に向けても頑張ってきたんだろうなと思うと胸がいっぱいになった。

そして、もちろんそれだけではなく、体が成長するに伴って、年々強くなっていくタンブリングは、すっかり安心して見ていられるようになっていた。
それでいて、上体や腕の柔らかい動きは、「おしゃまな華舞翔」のころそのまま、いや、もちろんより洗練されているが。そして、ちびちゃんのころは「見よう見まね」だったろう、その動きが、今では十分に音楽を聴いて、音楽にのったものになってきていた。

調べてみたら、昨年の全日本ジュニア時の登録メンバーと、今年で8人中7人までが変わっていない。まだジュニアを卒業する子もいないし、辞める子もいない。ずい分、長く見ている気がするが、華舞翔は、そんな若いチームなのだ。
今回は、コーチとして木村功(元花園大学)と、弓田速未(現国士舘大学)がついていた。そう、華舞翔は福島県の会津地方にあるクラブで、木村や弓田は、華舞翔の出身ではないが、同じ会津出身なのだ。弓田も帰省すると華舞翔に顔を出していると聞いているし、木村は現在、指導にあたっている。社会人大会では見事な復活を見せた木村は、このジュニアたちを指導しながら、自分の練習時間も捻出しているのだ。

木村功、弓田速未…現役選手たちの中でも、かなり個性のある(それも表現に長けた)選手たちを輩出した会津の血が、やはり華舞翔には流れているのだな、と感じる。
今年は、全日本にはあと一歩届かなかったが、来年以降、まだまだこのチームは伸びていくに違いない。

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20年近くほぼ持ち出しで新体操の情報発信を続けてきました。サポートいただけたら、きっとそれはすぐに取材費につぎ込みます(笑)。