多重債務タヌキの話④きつくても自分に心地いいZONE

いわゆる一般人からかけ離れた人と接していて思うのは、彼らには

「その環境が心地よい」

という無意識の心理的な力が働いていること。

何百人にも金を貸してきて思うのが、ほとんどの債務者は「大変だ」「抜け出したい」と言いながらなぜか抜け出さないのである。

具体例を挙げよう。

例えばタヌキの場合、
「自己破産したらどうですか」
とアドバイスされているにも関わらず、なぜかそれを蹴る。そのくせ「日本が悪い」「仕事が悪い」などと不満をぶちまける。

私が貸付をしてきた債務者たちもそうだ。なぜか律儀に利息だけを支払いにくる債務者は多い。そんなもん、一回だけ我慢すれば永遠に利息を払わなくてもいいのに、決して安くはない利息で毎月のように借りにくる。

抜け出し方や債務整理、借りない方がいいことなどを教えても、タヌキと同じように行動には移さない。
(ただ、タヌキのような失礼なバカな断りかたはしないがw)

他にはメンヘラ。彼女たち(女に多い)は、死にたいとかオーバードーズとか首吊りの写真やリスカなどで死をほのめかすが、死ぬことはほとんどない。彼女たちにとって、

「痛かったりしんどかったりする」

というところが「心地いい」のだ。

わざわざ睡眠剤を飲む必要もないし、手を切る必要もない。自殺をほのめかすこともない。

ただ、死にきるのでもなく、やめるのでもなく。周りから見てしんどそうでも彼女たちにとってはそこがいいのだ。(いいから、滞在しているのだ)

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このように、一般人から見ても「あきらかにしんどいZONE」に滞在するのがその人にとって心地いいという、信じがたい現象はあるのだ。

タヌキに関しても、15年以上今の借金額(500万)だそうだ。タヌキにとって、派遣社員でバカにされつつ、生活が利息で火の車、自分の住所もない派遣寮生活………

このポジションが無意識に求めて引き寄せられる心地いい場所なのだ。

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