ROTER Guitars③
●前回までのあらすじ●
無事にオーダー分が製作されていたROTER、そのうちの1個体が
ネット上にアップされた。それがまあ…アレだ。
色々アレだったのだ。
以下羅列する。
ボディの真ん中、エンドピン辺りが浮いてる&割れてきてる
(センターの割れはウェンジの収縮でスジが出てしまったものと思われる)
●ナットとブリッジの弦ピッチ(ブリッジ位置)がずれてる
●トラスロッド穴が狭くて普通のL字レンチが入らない
●高音部のフレットから接着剤?がはみ出てる
(溝切を間違えたのか、フレット浮いたのを
強引に抑える為か…)
これらの画像により、ROTERの評判が一気に怪しいものになった。
そもそも製作前段階で、スレ上の有識者達は
「この価格(1000ドル以下)でまともなクオリティが作れるのか?」
「アジャイルを買った方が良いのでは??」
という懸念を書き込んでいた。そりゃそうだ。博打に近いオーダーだもの。
そして特徴と言えるリアPU配置からの出音について。
オーダーが到着した他ユーザーの感想はこう。
「やっぱりPUの音がキンキン過ぎる、耳が痛い」
「ただMERLINのこのPU自体は悪くない」
(バッキングとリード両方いける、むしろ良い)
位置を変えたら化けるんじゃね?という結論に。
↑実際、この個体のリアはある程度一般的なリア位置になっていたりする。
(コントロール位置が密集しているのはザグリの形状によるもの)
●6弦用テンションバーを2つ並列に配置する力業。
理屈としては理解できる…しかしあまりスマートではない。
●ジャック部分の落とし込みザグリが微妙に浅く、
形状も歪んでいて、シールドを差しにくい&
引っこ抜き辛い(致命的問題)
●この個体、
「頼んだEMGの位置、どうにかならなかったのか?」
「もう少し斜めに、ネック側にずらしてよかったのでは?」
とオーダー主が書き込み、とスレ民達は同意の嵐。
どう考えても、1弦側がブリッジに近い位置になっちゃっているのだ。
見た目も美しくない。
●オクターブ調整の範囲が極めて狭い
賞味、2~3㎜程サドルを動かすと、
裏通し穴と弦がほぼ直角に近いサドル入射角になる。
ブリッジのベースプレートに空いている裏通し穴の位置が、
あまりにもサドルの接弦部に近いのだ。
とどめはこの書き込み、
●ネックが薄すぎて、ギターを持って動かしたただけでネックが動いて自然と半音ベンドする
…10万円以内で顧客の色々なオーダーを一気に聞いて、
それぞれの個体に反映させる手間と時間は相当な労力。というか無茶。
利益も出ないだろうし、一人で数週間で作るというのは明らかに無理ゲー。
sebastianにDMを送っても返信が来ない、という人も現れ始める。
ROTERに対する不満は更に集中、今でいう炎上状態になる。
↑トップにジャックの上面がはみ出た為にジャック上面を削り落とす力技。
つまりジャックを交換すると、出っ張る。ユーザーが削るしかない。
2012年頃、遂にROTER被害者の会が有志によって立ち上がる。
オーダーしたけど届かなかった人、粗悪なクオリティの物が届いた人達が
発起人になって、サイトが作成された。
僕が最後にそのサイトを見かけた時には、ROTERを裁判で訴える準備をする段階まで話が進んでいた記憶があるけど、どうなったかは不明。
(いつの間にか被害者の会のサイトもネット上から消えてしまった)
続く。