HOTONE - djent

僕の記事を読んで頂けているようなギター巧者、玄人の方々にはもはや説明不要な事だけども、オーバードライブ、ファズ、ディストーション、
音を「歪ませる」という、ピュアオーディオとは真逆な事をこの業界は
日々色々試している。歴史をたどれば1940年代位まで遡る。

「アンプ無理やり電圧かけた時になんかいい感じの音になるな?カッコいいんじゃねえか?スピーカー破れたから新聞紙突っ込んだらそれもなんかいい感じだぞ?(超色々略)」

このエレキギターという楽器、あえて歪ませると不思議と心地よい感じの音が出てしまう、電気的で鋭角で魅力的な弦楽器のようだ、と。

(このあたりの話は、GIGAZINEの記事で分かりやすく説明されている。興味があれば読んでみてほしい。とってもわかりやすい)https://gigazine.net/news/20180929-brief-history-electric-guitar-distortion/

時は流れ、エフェクターという存在が確立され、40年~50年代に生まれた未来を更に大きく可能性を広げ、この50年でエレキギターのサウンドは多様性に富んだ。勿論、歪みエフェクターも星の数ほど数えきれないくらいに。

そして時代時代で「主流になった、時代を引っ張った歪みエフェクター」というものも、ある程度存在していたと感じるのは僕だけではないはず。

・トランジスタの気分(主に温度)で音が変わるアレ
・真空管もっとスクリームさせるアレ
・中域がつぶれた感じでかき鳴らせるアレ
・全てのツマミをMAXの10が前提なアレ
・ズルズル引き摺る様な兎に角重いアレ
・単体では厳しい、他と併用するとテレキャスに合いまくるアレ
・透明感と形容される耳障りの良いアレ、etcetc...

みんなそれぞれ、好きなサウンド、エフェクターがある。


ここからが今回の本題、超個人的な趣味性癖の話だ。

僕は2000年代の重い感じなNU-METAL系サウンド、
2010年代の開放弦を含んだ単音メロ刻む系のメタルコアサウンドが好きだ。
2012年頃から流行りだしたカリッカリでchugなサウンドも嫌いじゃない。
つまりそこら辺の音が性癖であり弾いてて気持ちが良いと感じている。
(ミッドの豊かなリードトーンでピロピロするのは高校生の時から好きだ)

色んなエフェクターやアンプを試してきた中で、
自分の感性にピッタリハマってしまったエフェクターが1つだけ存在する。
いとも簡単に、自分の頭の中で鳴っている音を出してくれたのだ。

一度そのエフェクターは手放してしまったのだけど(LINE6のHX STOMPに興味が沸き、購入する軍資金に充ててしまった)
手放して1年弱、何の因果か偶然か、また手元に戻ってきてしまった。
(正確には、メルカリで偶然格安で出ていたのを買い戻した。
「その値段なら喜んで買うわ、即決じゃ!」という安さだった)


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HOTONE Djent


ギター初めて約20年の自分の、今現在最も脳内の音を簡単に出してくれるエフェクター。一つの方程式の解と言っていい。
このエフェクターは、名前で少し損をしているとも思ってしまう。
それほどまでに優れている。

・2016年発売、もう絶版なんだけど海外ではまだ売ってる。
(一時期安くなってたのに最近なぜか価格が高騰してきている)
・小さい、色が黒と緑基調、かわいい、ギグバッグに入る
・右のつまみの威力が絶大(後述)
・「もうちょい超えてほしい所まで」トレブル領域が歪んでくれる・ズンシャリからカッチカチまでカバーできる

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↑右は僕が自作したEWSのBMCコピー。よくあるハモンドのあのサイズ。
HOTONEは本当に小さい。006Pが内蔵できるサイズのケースにノックダウンしたいと何度考えたか…

5年前の発売当時、デジマートでもこのエフェクターの記事が書かれていた。
しかし僕の記憶では、そこまで注目されていなかったように思う。
HOTONE自体が超ミニマムサイズのエフェクターで癖が強いせいもあったかもしれない。Djentに分類され始めた音楽ジャンルは2012~2014辺りがピークだったようにも感じる。Peripheryが分かりやすい例とも思う。
Meshuggahは別格。
https://www.digimart.net/magazine/article/2016102102243.html

冠に記されたコッテコテな名前の通り、このエフェクターはハイゲイン系に属する。透明感なんてものはない。刻む系。レクチ、5150、ディーゼル…
よく目にするその辺がインスパイア元。この辺は安いマルチシミュでも頻繁にシミュレートされている。それだけモダンメタルな音作りの土台として優れているという事なのか、扱いやすいという事なのか、ノウハウが多いのか。そんであくまでチューブライク。よく聞く単語。
真空管をブーストした時の、人間的には非常に心地良く響くサウンドはエレキギターには未来永劫ベストマッチなのだろうか?と思ったりする。
(個人的にはソリッドステートの音もチューブもどちらも好き)

最終的に、そのアイテムから「気に入る音が出るか出ないか」、全てそこに収束される。



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オンにするとま~青色LEDの自己主張が激しい。ここは好みが分かれるところ。左の「FORCE」つまみはボリューム兼「箱鳴り」の様な感じ。5~10で結構音圧が変わる。敢えて下げても良い感じになる。
単純な「マスターボリューム」じゃない操作感がある。

で、結論から言うと以下3点が凄く好き。


●てっぺんの「DJENT」つまみ、つまるところゲイン。
1の時はそんな歪まないクランチ程度、4程度でじわじわゴリってくる、10にするとジャリジャリ暴れる。
潰れて歪んで来るのではなく、高音弦が生きてくれたままゲインが増していってくれる。ここが良い。ミッドから上が暴れてくれる感じ。
ローもついでに歪んでブーミーになっちゃう」、という現象が起こらない。1でクランチというのも個人的に物凄く重要。
ギター側のボリューム操作への追従性に繋がってくる。
「つまみが上についてるから足でも回せるよ!」みたいな紹介が海外でされてたけど、やってみると割と厳しい。下手すると割るか折れると思う。
シンプルにやめといたほうが良い。

●真ん中の3WAYトグルSW
もう図で見たまんま、
角が優しく球体の 〇 「スムーズ」
直角エッジ具合な ◇ 「ニュートラル」
バリ取りしてない △ 「アグレッシヴ」
3段階にトーン、特にトレブル~プレゼンスの出音が変化する。

エンハンサー的なものか?と言えばそうでもなく、
「解像度を保ったまま全体の耳触り、トーンの具合を変える」というか。
しかもこの〇◇△、後述する右のつまみの特性にもそれぞれ影響を与えている。L’のCLDにあったdefinitionコントロールを3段階にして+αさせたような感じというか。そして3つの位置全てが実用的な音域。 

●右の「SABER」つまみ
「ミッドシェイプトーン」つまみ。このエフェクターの真髄はここ。

左に回すとミッドのQが「ロー寄りになり潰れて」無くなる。
右に回すとミッドのQが「トレブル寄りになり膨れて」リッチになる。

この左~右への変化具合が、ミッドレンジ…ただのミッド周波数可変というより、ミッドを中心とした全体の音像…、分り易く言うなら、
キャビネットをシームレスに変化させているような音の変化。
1×8でミッドが前に固まったトーンから、
4×12でミッドを分散させた様なトーンにまで変わる。

試しに、今うちにある機材で雑にリフを録ってみる。

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Ibanez SIR27FDのリア(PAF)

Ditto+(ドライ音録音、連続再生用に用意)

HOTONE Djent

HX STOMP(AMP/CAB、JC120、パラメータ全てフラットのクリーン設定)

IPhone11pro直撮り

https://twitter.com/kumahina/status/1488877352893489155

こんな感じ。



「全体的な出音の鋭角感をトグルSWにより3段階に分けつつ、
ミッドの飽和感をキャビ的にブースト、カットする」


00~10年代の自分が好きだった音にこの感じがしっくりくるんだわ。
ザラザラもズンズンもカリカリもギャリギャリもリードもイケるフィール。
人生で買い直した歪みペダルはこれだけだ。