ROTER Guitars④

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↑「Hey ROTER、届いた時点でヘッドに凹みあったぜ」という画像。
ハードケースに収まっていたのにこうなるのは、海外発送では
よくある話…


●前回までのあらすじ

安価でセミオーダーを受け製作されたROTERのギター達は、
案の定クオリティがデンジャラスな事になっていたのだった。

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通称:缶切りヘッドロゴのシリアルナンバーから推測するに、
「000032」より
番号が後のシリアルの個体は見つかっていない。
32本はこのFFシリーズが製作された可能性がある。
でもなんで数字増えるごとに桁も増えているのだろう?

海外のリペアショップ、AVH guitar Repair(メシュガーの8弦リペア記事で有名、現在はページが存在せず)の元に預けられたこの8弦は、酷評に酷評。

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https://web.archive.org/web/20140530021316/http://avhguitarrepair.com/repair-blog/poorly-designed-roter-8-string-rebuild/
↑webarchiveによる貴重なROTERリペア魚拓。
前回の記事で書いたあらゆるアカン事が写真付きで事細かに説明されている。クレイジーなネックは必見。ガバガバ。もうなんだこれ。


炎上末期にセバスは「私はみんなと抗争をしたい訳ではない(?)
とスレッドに書き込んでいたけど、最終的にはメッセージのやり取りも曖昧なまま、完全に音沙汰が潰えてしまった。それが2011年から2012年頃にかけての話。

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以降ROTERは自然消滅。セバスも行方不明。
1000ドル払って届かない人もいるわ返金対応もしていないわで事実上夜逃げ。現在まれに市場へ流通しているのは、炎上期のセミオーダーの残滓達がほとんど。僕はこの10年で3~4本見かけた。大体7~10万辺りが相場。

材の構成、アプローチはかなり野心的で面白い。
ただもう少し組み込み精度、対応、スケジューリングが良ければ…と、
何とも残念な結末を迎えてしまったROTER。実物を触る機会はほぼ無い。
マルチスケール黎明期の海外個人工房らしい、ラフなブランドであった。

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↑ネックジョイントは鉄鋼ビス仕様、エンザートが埋め込まれている。
面取りが大きすぎる気がしないでもない…


終わりに、今回この一連の記事を書いたのには、ある理由がある。
先日ヤフーオークションを眺めていたら、
なんとROTERが1本出品されていたのだ。


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シリアル000029、割と後期に制作された個体。

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ボディ材がパドゥクの個体は初めて見た。
恐らくこれだけしか存在していないと思う。
この7弦ROTERが落札された後に、
なんと9弦も出品されていた。

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この9弦…もとい、出品者のアカウントには見覚えがあった。
というかこのギターを僕は10年ほど前に実際に持った事がある。
あるご縁があり、出品者さんのご自宅に少しだけお邪魔した時の事。
2011年2月上旬だったと記憶している。


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ああやっぱこれだ。間違いない。

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相変わらず異質極まりないオーラを纏っている。
見た目だけで最高にクールだけども、リビルドしなければろくに楽器として使えない可能性のあるハイリスクハイリターン。下手に触ると大火傷。
案の定こちらも物好きに落札され、なかなか良い値段になっていた。

コレを買う人はよほどの海外ギターオタクくらいだ。





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上記画像は2021年9月下旬の自宅である。

次回、日本ではおそらく初であろう、
ROTER guitars 実物大解剖編。


続く。