ROTER guitars②

●前回からのあらすじ●
何やらポーランドの個人ギターメーカー「ROTER」が、破格の値段で硬質材を使ったマルチスケール多弦を作るそうだ。
ひとまずプロトタイプを製作するらしい。
俄然色めき立つスレの外人達。ほんとに無事に作られるのか!?

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淡々と製作進捗がアップロードされる。通称「FF」モデル。
いきなりオールウェンジ、25-27インチの8弦。
基本こんな感じの見た目で製作していくという。
スレ上の住人達による意見、議論により、最終的には
7弦は25-27インチスケール
8弦は25-28インチスケール
という案でデフォルトの仕様がまとまる。
そして最初の「製作するぜ」投稿から約4カ月後の2009年12月中旬。
完成したプロトタイプ1号がこれ。


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大きめのピックアップカバーがついている仕様について、
ROTERルシアーのsebastian(以下セバス)が言うには、

「MERLINに頼んだPUの寸法に手違いがあり、
仕方なくPUカバーを付けたんだ」

とのこと。カバーの傾斜具合から見るに、
おそらく傾斜がきつい仕様のボビンが届いてしまったものと推測される。
1号機の完成に、ROTERスレの住人は大いに盛り上がった。
この後、正式にオーダーを受ける旨が書き込まれ、何人か実際に発注を掛けた。

以下、実際に製作されたFFシリーズをいくつか
紹介する。基本全部ピーキー。

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フロント通常、リアスラントの8弦


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通常フレッティングで30フレットの7弦


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フロント通常、リアスラントの7弦(メイプル指板)


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フロント通常、リアスラントの8弦(メイプル指板)


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リアスラント1発の30フレット8弦


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2つともスラントの30フレット9弦
(ボディ材がアッシュ)
この個体のみ5:4のペグ配置ヘッドストック。


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通常フレッティングでの35フレット6弦
この個体のみカッタウェイが特殊
(6弦モデルはこの1本しか今の所確認出来ていない)


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フロント通常、リアスラントの9弦


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フロントQ-TUNER(後加工で搭載されたもの)
リアスラントの30フレット8弦(ボディ材がアッシュ)


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リアスラント1発30フレット9弦


大体共通するスペックは以下の通り。

●ウェンジ2ピース極薄ボディ(目測ボディ厚30mm厚以下)

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ウェンジ以外にはアッシュ、パドゥクが使われている。
(パドゥクボディの個体は1本しか確認できていない)
アイバニーズのSシリーズを更に薄くしたようなボディ。レンズ形状とでもいうべきか。セバス曰く、


「ウェンジはミッドレンジが明るくて低域がタイトなんだ。
ネック、ボディ材としてとても良いんだ。ウチのトレードマークだね」

ちなみにポリウレタンかラッカーでクリア塗装をする様子。

しかし後々、残念要素の一つに上がる



●トラスロッド2本入りネック

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昨今8弦ギター等でロッドを2本仕込む場合はよくあるけども、
7弦で2本仕込んでいるのは割と珍しい(リッケンバッカーなんかは6弦でもロッド2本だったりするけど)一応デュアルアクションロッドらしい。
なのに後々、残念要素の一つに上がる


●フレットは24F~、多いもので30F

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実用的というよりは見た目、エクステンドレンジ感の代名詞的な
多フレットというスペック。「普通のギターでは出ない音域を抑える事が出来る余地がある」ここはもはやトータルデザインの一部とも捉えられる。
ちなみに1弦側が25インチな理由として、006ゲージを使えばハイAが
いけるから、だとか(でも日本じゃ007しか手に入らない)
個人的に24フレット超えは見た目がクールだから好き。
でも実用性はあんまりない。
これも後々、残念要素の一つに上がる



●ブリッジ側に極端に寄ってるリアPU

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セバスのこだわりなのだろうか、FFシリーズは全部、リアPUの位置がかなり後ろ。最近のギターで言えばS7GのようなリアPU位置。
搭載するはポーランドのPUメーカー、MERLIN製カスタムPUの
HELLFIRE(最高出力モデル。直流抵抗値20kΩ超え)

「ハイAからローFまで対応する音域を持つPUさ」とはセバス談。
かなりワイドレンジらしい。
(しかしこの位置がやはり後々、残念要素の一つに上がる)


●自家製モノレールブリッジ

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2010年頃まで、ギターのブリッジで各弦独立形ブリッジというのはあまり流通しておらず、ドイツのABMやイタリアのT4M辺りの海外メーカーがひっそり製作していたに過ぎなかった(そして単価が中々に高い)
そこでROTERは、10.5mm幅くらいのスチール板に穴開けて、L字にひん曲げて、強引にサンダーで幅整えて、強引にクロームメッキしたような、DIY感あふれるミニマムなモノレールブリッジを採用している(似たようなブリッジをNOVAXも採用していたりするんだけど、同じものかは不明)
見た目は非常にコンパクト。
(申し訳ないけどこれも後々、かなりの残念要素の一つに上がる)


といった感じに、どれも尖ってるFFシリーズ。
順調に製作されているかのように見えた矢先、


若干不穏な空気が漂い始める。



オーダーした外人さんが、完成して届いたROTER-FFの画像をスレッドに投稿した。
それがあまりに「残念」な感じだったのだ。


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続く。