ROTER Guitars①

需要ガン無視不定期連載コーナー。
今回は2007年頃から2012年頃までネット上でその存在を確認できていた、
ポーランドのギター工房「ROTER Guitars」について紹介していく。
海外の多弦掲示板で色んな意味で話題になっていた個人工房だ。
僕もかなりのインスピレーションを受けた。
しかしこの工房、既に存在していない。

夜逃げしたというかなんというか…

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●元々はトラディショナル路線のギター製作工房

ROTERの公式サイトや画像はネット上から失われており、
ウェブアーカイブスを使用してもめぼしい魚拓は残されておらず、
僅かにmyspaceの残滓が残っている程度。
僕の記憶では、少なくとも2008年頃まではST、LP、SG、PRS、別メーカーオマージュ等、比較的一般的なギターを製作していたと思う。
(以下画像は海外サイトを回って見つけてきたもの)

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ごく少数オーダーでシングルカットシェイプの多弦やGKを内臓した8弦、
ガット12弦なんかを製作していたけど、ROTERのルシアー、sebastian氏は

「まあ…お客さんのオーダーだからね…」

と、「seven string org」の某スレで後日愚痴っていた。
オーダー価格は安くて凡そ12~20万円程だった様子。


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↑日本の方がオーダーしたとされる個体。


●ネットでよく見かけるROTERモデルの発端


2009年下旬、当時としてはまだ珍しかったファンフレット、多弦で
「やたらボディが薄い」モデルを製作し始める事をスレッドにて告知。
物好きなスレのギタリスト達は即座に反応、スペックの議論を長々と
スレ上にて交わす。7弦以上の製作実績もあり、前々から
sebastian氏が考えていた構想を形にしたい様子だった。

新規キバス

sebastian氏が言うには、

「ウェンジ、アッシュ、パドゥク、メイプルを使用した、量産の薄いギターを作ろうと思う。ローズウッドを使わないのは、Blackmachineがローズネックをやっているからね」

「基本1000ドル以下で、6~8弦で、25-28インチとか、大体3インチのファンフレットで、PUはMARLIN(ポーランドのPUメーカー)、ハードウェアのパーツコストはなるだけ抑える予定」
「価格を高くし過ぎる(儲ける)事は、私達はあまり求めていない」
「ウェンジ材、パドゥク材の良い仕入れ先があるんだ」

(上記全て意訳)
…との事。当該スレには未だ書き込みログが残されている。

新規キャンバス


●日本円にして10万以下で
(しかもセミオーダー的に、ある程度スペックの融通を利かせるとの話)
●硬質なウェンジ、パドゥク材を使い
●極薄のボディを採用して軽量な

●マルチスケールの多弦が納期数週間で買える

スレ住民は俄然盛り上がった。
誰だってこの条件はそそる。6弦でも7弦でも8弦でもOKだというのだ。

ここから、スレには製作中のギターの画像が上がり始める。

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↑極薄ボディのプロトボディと紹介されていた画像

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↑上からメイプル、パドゥク、ウェンジ指板。
ネック材はウェンジの1枚板で、ロッドが2本仕込まれているのが分かる。

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続く。