設定判別ツール作り方 パチスロ設定推測 計算手順

設定推測計算、設定判別ツール作成等に興味がある方はご参考下さい。
ネット上では大幅に精度を欠いてしまう手順解説が非常に多く見受けられますので、気を付けることと簡単に計算する手順例を紹介します。

1.設定判別、設定推測、二項分布確率、BINOMDISTとは

上記の言葉の意味について、ざっくり説明します。

■設定判別
パチスロを打つ時に特定の手順を行い、打ってる台の設定が何であるか特定することです。ですが、現行機種では上記の様な設定を100%判別、特定できる手順は基本的には存在しません。(設定6でしか表示されないイラストが表示された。の様に演出によって設定6と判別できる機種はあります。)

パチスロ筐体を開けて選択設定確認することは一般客にはできず、設定を推測することはできても判別には至りませんが、昨今では「設定推測」することを昔から馴染みのある「設定判別」という言葉で大体同じ意味の様に扱われています。

■設定推測
本ノートでは下記の手順で、遊技している台に選択されている設定を推測することを指します。

①遊技する機種の抽選内容を確認する
例 ・設定は1と6の2種類のみ
  ・ベルが出現する確率が設定1では1/4、設定6では1/3、

②カウンターやメモ帳で抽選結果を記録する
例 4ゲームプレイし、4ゲームともベルを引いた。

③現在の抽選結果になる確率を各設定の出現率を用いて計算する
 仮に設定1の台でプレイしていれば、4ゲームともベルを引く確率は
  (1/4)×(1/4)×(1/4)×(1/4)=1/256=約0.4%

 仮に設定6の台でプレイしていれば、4ゲームともベルを引く確率は
  (1/3)×(1/3)×(1/3)×(1/3)=1/81=約1.23%

③の各設定毎の抽選結果になる確率同士を比較する
③の結果より、「ベルを4ゲームで4回引いた」現在の状態は、設定6は設定1よりも約3倍発生し易いことが分かります。

この様に各設定毎の「現在状態の発生し易さ」を算出比較することで、いずれの設定が選択されて抽選されているかを推測します。

「現在状態の発生し易さ」の各設定間の比較%表記
③の結果について、各設定毎の発生し易さの合計が100%になる様に成型して比較し易くするには下図の様に、計算します。
 起き易さから見る設定推測結果は 設定1:24% 設定6:76%

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■二項分布確率
 例えば6面のサイコロに1面だけ当たり、他はハズレを書きます。
「サイコロを2回振って、その内2回当たりが出る確率は1/36」←この確率のことです。
当たりorハズレの様に二項目の結果のみが一定の確率で生まれる抽選を行って発生する確率の散らばり具合を「二項」分布といいます

■BINOMDIST
BINOMDISTとはExcelで使える計算機能です。
例えば上記サイコロを4回振って1回当たりが出る確率は下図の様に書くと計算してくれます。約38.58%となりました。
()内は当たり回数、振った数、当たり率を記載します。最後の0はとりあえず今話題に関係ないので気にしないでください。

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二項分布確率を用いて設定推測計算できるケース、できないケースついて

設定推測計算の仕方をネット検索すると「二項分布」、「BINOMDIST」を用いた手順を解説するサイトがいくつも見つかるかと思います。

設定推測の方針自体はいずれのサイトも、先の「■設定推測」に記載しました下記方針と同様で特に問題ありません。
各設定毎の「現在状態の発生し易さ」を算出比較することで、いずれの設定が選択されて抽選されているかを推測します。』

問題が含まれているのは、実践で記録したベルやチェリー等各々の出現回数について「現在状態の発生し易さ」をBINOMDISTを用いて計算し、『BINOMDISTの計算結果を一通り掛け合わせて総合的な「現在状態の発生し易さ」を計算する』という手順です。
この手順は『実践で記録した各種要素』の内容によっては、意図と致命的にかけ離れた計算結果になります。

BINOMDISTの計算結果を掛合わせて「総合的な現在状態の発生し易さ」を正しく計算できるのは下記の様なケースです。
■各BINOMDISTの計算時に指定する試行回数が、他のBINOMDISTの計算時に指定する試行回数と【異なる】要素

日本語って難しいですね・_・;例を挙げます。
下記の抽選内容・現在の状態から、設定1の「現在状態の発生し易さ」を計算します。

機種の抽選内容:設定1で
スイカを引くとチャンスゾーンが1/4で当たる。
チェリーを引くとチャンスゾーンが1/5で当たる。

現在の状態:
「スイカを5回引くとチャンスゾーンが2回当たった」
「チェリーを4回引いてチャンスゾーンが1回当たった」

計算は下図の通り。上記2つの要素について現在状態になる確率を求め、掛け合わせると0.108・・という計算結果が得られました。設定1で上記の状態になる総合的な確率は約10.8%ということですね。

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意図と致命的にかけ離れる可能性があるケースは上記と逆に
各BINOMDISTの計算時に指定する試行回数が、他のBINOMDISTの計算時に指定する試行回数と【共通】の要素
例を挙げます。
機種の抽選内容:設定1で
通常時、1/3でスイカ当選する。
通常時、1/4でチェリー当選する。
 ※スイカとチェリーが同時に当選することはない。

現在の状態:
「通常時4ゲームプレイし、スイカが2回当たった」
「通常時4ゲームプレイし、チェリーが2回当たった」

前述の問題無いケースと同じ様に見える手順で、上記の状態になる総合的な確率の計算を試みます。図1の様に、6.3%になりました。

図1.前述の問題無いケースと同じ様な手順を試す

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0.063と出ました。この値が合っているのか、図2の様に実直に検算します。
図2.スイカ2回チェリー2回の各組合せを全部足して検算

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検算結果と比べると約1.5倍も大きい値になってしまいました
この原因はなかなかに面倒臭く、解決までに2度誤る可能性があります。

1つ目の原因
BINOMDISTを用いて、「通常時4ゲームプレイし、スイカが2回当たった」という状態が起きる確率を求めています。この確率にチェリー分のBINOMDIST結果を掛け合わせるということは、通常4ゲーム中2ゲームはスイカ当選で消化したという状態にあるため、2回のチェリーは残りの2ゲームで引いている確率を求める必要があります。

「通常時2ゲームプレイし、チェリーが2回当たった」という条件でチェリー分のBINOMDISTの結果を求めてやると良さそうに見えますね。
試してみます。図3

図3.スイカ当選で消化済ゲーム数を除いてチェリー分を計算する手順

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0.023 最初の計算結果とも、検算した結果とも異なってしまいました。

2つ目の原因
チェリー分を計算しようとしている2番目のBINOMDISTに指定しているチェリーの出現確率はこの時点では1/3では無くなっていることを考慮していない点です。

「通常時2ゲームプレイし、チェリーが2回当たった」ではなく、
「通常時スイカ当選したゲームを除く2ゲームでチェリーが2回当たった」
ことを求める必要があります。
この2ゲームにおけるチェリーの実質出現率は図4の様に、(チェリー)÷(すべてのフラグからスイカの出現率を引いた値)で求め、図5の様に再計算してみます。

図4.スイカ除き済のチェリー実質確率

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図5.スイカ除き済のチェリー実質確率で再計算

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先の図2の検算結果と同じ値になりました。お疲れ様でした。

この様に、あるゲーム数プレイし、複数の小役について出現回数が現在状態になる確率をBINOMDISTを用いて掛け合わせ計算するのは面倒臭く間違い易いです。
BINOMDISTで扱える「起きる結果が2種類のみ」の形に成型した実質出現率を計算して掛け合わせる手間が、小役の種類が増える程増えていきます。
(スイカ 対 全フラグ)
(チェリ 対 (スイカ除いたフラグ))
(ベル  対 (スイカとチェリー除いた他フラグ))

先述の計算はスイカ、チェリーの順に進めましたが順序を変えても結果は同様です。下記に具体的な設定推測計算例を挙げます。

設定1・2のベルとチェリーの出現率が下記として、
10ゲームの間にベル4回、チェリー1回、その他を5回引いた状態

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ベルの出現分から計算した例

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チェリーの出現分から計算した例

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「総合的な現在状態の発生し易さ」の手軽な計算方法

数えていない「その他」の存在に気を付けることで、単純に出現率を出現数分掛け合わせることを各項目についてやるだけで計算できます。

(ベル出現率)^(ベル出現回数) × (チェリー出現率)^(チェリー出現回数) × (その他出現率)^(その他出現回数)

先程の10ゲームでベル4回、チェリー1回、その他5回引いた設定期待度
を簡単に計算するには下図の様な感じです。
とても直感的な計算で先程と同様な値を得られました。

Excelでは、(ベル出現率)^(ベル出現回数)は
=POWER(ベル出現率,ベル回数)の様に書くと計算できます。

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設定1で上記状態が発生する「確率」を求める場合、何ゲーム目で何を引く・・といった順序の組合せ数も計算して掛け合わそうなイメージがわくかと思いますが、設定推測のためにやりたいことは「各設定毎の現在状態の発生し易さの比較」であり不要です。

何ゲーム目に何を引いたかの順序の組合せ数は各設定とも全く同じ値になるため掛け合わせても意味がないためです。

BINOMDISTは組合せ計算も含んでいます。プログラム開発時等に同じような組合せ計算する必要は特にありません。
参考までにBINOMDISTの中身が何が起きていて何が不要か記載します。
BINOMDIST(x,y,p,FALSE) = 二項分布確率とは
=「結果が起きる順序の組合せ × 結果1確率^結果1の発生回数 × 結果2確率^結果2の発生回数」
=「xCy × p^x × (1-p)^(y-x)」
ExcelではCOMBIN(y,x)*POWER(p,x)*POWER(1-p,y-x)で計算できます。

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まとめ

✅設定推測・設定判別ツールでは各設定毎の「現在状態の発生し易さ」を比較することで設定を推測する。

✅BINOMDISTで手軽に正しく計算できるケース
 各BINOMDIST計算時に指定する試行回数が、
 他のBINOMDISTの計算時に指定する試行回数と【異なる】要素
 
(チェリー引いてCZ当選or非当選)×(スイカ引いてCZ当選or非当選)×(BIG終了時にパネル点灯or消灯)等


✅BINOMDISTで誤って実態とかけ離れる、煩雑な計算手順が必要なケース
 各BINOMDISTの計算時に指定する試行回数が、
 他のBINOMDISTの計算時に指定する試行回数と【共通】の要素
 
(通常ゲーム中のスイカ当選数)×(通常ゲーム中のベル当選数)等

(ボナ終了画面で奇数示唆画面数)×(ボナ終了画面で偶数示唆画面数)等

✅上記ケースを手軽に計算するには「その他」確率を用いる
通常時100ゲームでスイカ5回、チェリー10回の例

①下記Aを各設定毎の出現率で計算する。
A={(スイカ出現率)^5 ×(チェリー出現率)^10 ×(1-スイカ出現率-チェリー出現率)^(100-5-10)}

②各設定のAを全部足してBとする。
B=A1+A2+A3+A4+A5+A6

③各A1をBで割って100かけると設定期待度(%表記)になる
設定1期待度=A1÷B
設定2期待度=A2÷B
設定3期待度=A3÷B
設定4期待度=A4÷B
設定5期待度=A5÷B
設定6期待度=A6÷B


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