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ゴスペラーズ『明日』から着想(+α)した掌編


ほんの少し、わたしが。あの子が。

ほんの少しだけ違う選択をしていたら。

何度も何度も目を閉じて、同じことを考える。

でも、目を開けても、あの子はもう返ってこない。

あの頃は、自分の命を擲ってお国のために尽くすことが絶対的正義だと信じて疑わなかった。

どんなにひもじい思いをしても、お国がそれで勝つなら…と。

しかし、そんな未来は来なかった。

一瞬だった。

さっきまで目の前にあったはずの街が消えてなくなっている。

変わり果てた街。

変わり果てた人々。

そして

変わり果てたあの子の姿。

どうして…?

なぜわたしが生き延びてしまったのだろう。

なぜあの子じゃなく、わたしが。

あの子のほうが人徳者でみんなから好かれていたのに。

なぜ。

周りの大人の態度からもそれがわかる。

それならいっそ、わたしもみんなと一緒に行きたかったのに…

そこからどうにかこうにか生きてきた。

いまになって思う。

あの子が生きていたことを伝えていくのがわたしの役目。

戦争は人間の尊厳を踏み躙るもの。

戦争は弱い立場の者から命を奪っていく。

現時点で「自分はそうではない」と思っている人も驕らないでほしい。

どんな人でも、ふとしたきっかけで「弱い立場」になりうる。

人間であるならば、戦争という手段を選ぶのは一番愚かな判断だ。

それらを後世の人々へ伝えていくことが、わたしの役目。

あの子のぶんも。


https://music.apple.com/jp/album/%E6%98%8E%E6%97%A5/1536389912?i=1536390102

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8月15日ですからね。

今まで見聞きしたどなたかのお話を混ぜて構成したフィクションです。

全然うまいこと書けなかったな…

ちゃんとしたお話は、聞けるうちにたくさん聞いておきましょう。

菲才の身内からはろくに聞けないまま、もうみんなあっちに行ってしまったので。

うまく締まらないですが、今日はそんな感じで。

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