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【公式】って何ですか?

こんにちは。日本ハンドボールリーグ(以下JHL)に所属するトヨタ紡織九州レッドトルネードのマスコット、「レットルくん」です。
(Twitter→@rettorkun)


最近、自分の中で【公式】の概念が分からなくなってきた。


誤解を恐れずに申し上げるが、僕も含めて、組織の「公式アカウント」の最終的な目的は宣伝と広告だ。どんなに上手く取り繕ったとしても、組織が発信する情報というのは結局一方通行で、フォロワーに対して組織の魅力やメリットを分かり易く伝え、購買意欲を促進することが目的でしかない。
それが公式アカウントの存在意義であり、在り方としてもそれが正しいと思う。

ところがだ。
もはや「レットルくん」は公式アカウントのそれとはかけ離れた全く別の何かに育ってしまった。そもそも、僕にはそこまでやる気がない。今朝のツイートには、「尻」の文字が入っている。

誤解を招いてしまうので付け加えるが、僕は単に「やる気」がないのではなく、「宣伝や広告をやる気」がないのだ。

レットルくんを始めた当初、僕のおめでたい脳ミソは「チームのこと面白おかしく宣伝して広告打てば良いのねー!」なんて考えていたのだが、この3カ月間Twitterにどっぷり浸かって痛感させられたのは、世の中良いことばかりではないということだった。
ニヤニヤしながら始めたレットルくんをきっかけに認識したのは、皮肉にも、たくさんの人が様々な想いで今を生きているということだったのだ。

Twitter上の業界の動向は常にチェックしなければならず、僕は暇さえあればスマホを覗き込むのだが、タイムラインには胸が締め付けられるような、目を背けたくなるような内容のツイートが定期的に流れてくる。
スマホが表現を誇張させているという見方もできるけど、この胸のモヤモヤを電波に乗せてぶちまけたいという衝動にかられることは僕にもあって、今となっては、きっと誰もがどこかで何かしらのモヤモヤを抱えているという確信的な感覚が僕の中に芽生えている。

今起こった悲劇が後に、「あれがあって良かったね」と言える結果に繋がることももちろんあるけれど、僕らはどうしても「今」によって心が支配されてしまいがちだ。

そんな中で、という訳ではないが、ウチのボスの岩本監督がこの前のミーティングで良いことを言っていた。


「試合なんて一つ一つのプレーの積み重ねでしかない」


60分という試合を瞬間単位で区切ることが大切だと言う。

だとすれば、人生にだって同じことが言えるのではないだろうか。
それが一瞬であったとしても、それが一つでも多くあれば、何かが良くなったりしないだろうか。


熱い湯船に浸かった瞬間や、一口目のビール。
やっとの思いでゲームをクリアした時や、中間期末考査が終わった瞬間。
目を奪われるほど美しい夕焼け。ロマンスなんて最高だ。


普段強く意識はしていないけれど、心をほぐしてくれる瞬間は世の中に沢山あって、それは例えどんな状況であったとしても必ず訪れるものだったりする。明石家さんまさんは「お葬式の日だって人は笑うことができる」と言っていた。

今が苦しいと言う人に対して、いくら考えても、ついに劇的な治療法などは思い浮かばないのだが、僕にだって「良い瞬間の提供」ぐらいならできるのではないかと思うのだ。


冒頭でも言った通り、もやは「レットルくん」は宣伝や広告もしないことが当たり前の得体の知れない何かに成長した。当初はちょこちょこ指摘して来たチームの偉い人達も、最近はもう何も言わなくなった。
諦めたっぽい。ついに。

これはこれで結構ヤバいなとは思いつつも、少なくとも僕は、宣伝や広告を打つ前にフォロワーやファンの方々から「あなたが言うなら」と思われるような関係を築きたい。
僅かながらでもウチのチームの良さを伝えたり、他所のどのチームのアカウントよりもリプを交換する努力だったり、八巻選手の真っ赤なニキビの写真や、中村選手の尻にめり込んだかかとの写真をアップすることで、どこかの誰かに「クスリと笑える一瞬」を提供するぐらいはできるのではないかと思っているのだ。

【公式】アカウントである以上、「買ってね」的なことをツイートすることが正しいのかも知れないけれど、ウチに興味すらない人の購買意欲を掻き立てられるような営業能力は僕には無いし、それはウチのチームを見て応援したいと思った人が自発的にやってくれればいいことで。

やっぱり、まず僕は、目の前の人とコミュニケーションを取りながら、フォロワーさんとチームの間に柔らかくて温かい関係を築きたいと思うのだ。

今日も、どこかの誰かがクスリと笑ってくれたらと願うのが精一杯。
そんなことを考えている、今日この頃なのである。


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