28.わたし、わたしと歩く。

久しぶりに
うちのアパートに青空が来た。
だから、洗濯物を干した。

少しずつ春が近づいてくるのを感じる。
窓を開けて風を入れた。

トースターの掃除をした。
わたし底蓋が開くのを知らなかったの。
笑っちゃうでしょ?
焦げついた汚れを落とした。

走ったら暑くなったから上着を脱いだ。
夜が心配だから暖かめで来たけど
もうそろそろ大丈夫そう。

電車に乗る盲導犬、初めて見た。
つぶらな瞳。きみがその人の目なんだね。

ねぇ、わたし、わたしね、

ひとあし ひとあし 歩く。

色々考えて 考えて
傷つけて 傷ついて
電話口で泣いてみたりして

大人だとか 子どもだとか
重たすぎる愛とか 存在価値とか
優しさとか 弱さとか 甘えとか 依存とかさ

とりまくものは
本当に、本当に、色々。
時折引きずられてしまう。のみこまれてしまう。

でも、結局は
わたしはわたし。
悩んでも、叫んでも、何をしてても。
だから大丈夫。
大丈夫じゃなくても、きっと大丈夫。
あなたはあなたなのだから、それで大丈夫よ。

それに、
わたしが決めた わたしが選んだ
「こと」「もの」「ひと」「ばしょ」

わたしのたくさんの"好き"

それらはみんな、
わたしがわたしである証だから
わたしの足跡 わたしの欠片

わたしの中以外にももう、
きっとわたしはいるから。

わたしの中のわたしを見失ったなら
そこに帰ってこよう。
そこで何度でも見つけてあげる。

どんなに足掻いても
捨てられない、離れられないわたしだから
わたしが味方になる。

そんなどうしようもない
いくら自分で隠しても 隠しきれない
わたしの空気を纏って

ひとあし ひとあし

わたし歩くわ。

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