85.わたし「甘える」が分からない。
泣きはらした目に
1万円札しかないお財布は
自動販売機で飲み物が買えないから貧しい。
こんな顔でコンビニなんて入りたくないのにさ
泣き疲れたら喉くらい乾くだろう?
生き方は にゃんにゃんにゃん
そう簡単には変えられないの
それにわたしを飼っている
女の子を一人にできないわ
ねぇ猫ちゃん、疲れちゃったよと話しかけたが
その子は何やらがぶがぶと食事に夢中になっていた
生まれ変わりたいと
ふと口にしてみる
二重生活はもうギリギリで
事務仕事は貯まる一方
休みの日でも仕事しないと回らないけど
それでも稽古はあって
一方では芝居を優先しろと言われて
2000万円の貯蓄が必要とか言われてる時代に
芝居一本にかけられるほどのリスクは背負えない
かといって仕事もプロ意識を持ててるかと言えば
そういうわけでもなく。
夢破れたわたしに待っていたのは
女性としてのふつうに幸せなふつうの日常だった
なんてラノベじみたコピーが
今の状況から憧れも込めて浮かんだけれど
そもそも夢ってなんだっけか
そもそも夢なんて破れることすらできなかったんじゃないか
当時わたしが抱いた夢に向かって
邁進してる友人に心のどこかで嫉妬してる やっかんでる
分かってる
選ばなかったのはわたしだ
本当に本気なら親の気持ちなんて押し込めて
そちらを選べば良かったんだ
望みどおりのいいこちゃんを選んだのはわたし
わたしはもう大人だから
親のせいにはしないけど
愛されすぎるのも考えものね
一般的な幸せの定義から抜け出せない
彼らを悲しませることはできないと思うの
それはひとつの抑止力ではあるけれど
夢へのエンジンはずっとかけられないまま
人のせいにはできないわ
全部悪いのはわたし
全部悪いのはわたしだから
どうやって助けてって言えばいいか分からないの
甘え上手になりなさいって
どう甘えたらいいか分からないの
わたし一人が好きなんじゃなくて
人にどうやって弱みを見せればいいか分からないだけ
そうやってないと強くないと
生きていけないじゃないどうせ一人なんだから
姿勢良くしてないと
平気よって顔して人を支える仕事もできないじゃない いい仕事できないじゃない
最近読んだ
愛することを忘れると
自分すら愛さなくなっちゃうよという言葉が
鈍く刺さった
弱さを見せられないというのはある意味で
誰も愛していないということよね
だけど大丈夫とされて いい子だとされて
強くあるようにずっと生きてきてしまったわたしは今更
どうやって甘えればいいか分からないの