43. わたし、髪を巻く。

「このあとは、どこかお出かけになるんですか?」

の、質問に。
出かけるといえば出かけるので

「出かけます!」

と、答えると

「じゃあ、今日は軽く髪を巻いてみましょうか」

と、美容師さん。

食料品の買い物と、
夜からはいつもの演劇の稽古。
それだけなのだけど…(笑)

まぁいいか。
やってくれると言うのだから。
そう思い、お願いすることにする。

巻かれていく髪。
鏡に映る自分はだんだん見慣れない姿になっていく。

嬉しさ反面、
気恥ずかしさ反面。

髪を伸ばしはじめて、
それなりの時間が経って、
あぁ、髪が長くなるということは
こういうアレンジを楽しめるようになるのかとしみじみ思いながら。

ふと顔をのぞかせる 後ろ向きな自分。
「わたしなんか」

あぁ、よくない、よくない。
出てくるな、「ワタシナンカ病」

心から腐ってはだめだ。
そう思う時のわたしがきっと一番不細工。
かわいい人はこんな風には思わないのだ。

それでも、鏡の中の自分と対峙する。
ねぇあなたは、
例えば道行く人たちに
どう見られているのかな。

まだまだ、髪は伸ばし途中。
髪が長く、色っぽいきれいなあの人を
演じられるのはまだもう少し先。

いつになるかな。

時間はかかる。
けど、時間をかけて、
もう少し彼女と仲良くなろう。

そういう自分を
ちゃんと認めてあげられるように
少しずつ、少しずつ
頑なにしがみついている
臆病で怖がりな古い自分の皮を、衣を
脱いで。

新しく生まれたての自分となって
胸をはり歩くのだ。



もったいないので
食料品の買い物前にカフェに寄りました。
かわいくなるってきっと
消費行動を加速させ、経済を回すのだわ。

1人1人が前向きになったなら
前が向ける社会というのは
きっともっと素敵。

わたしも、わたしのできるところで
心を耕す仕事を。
プロとはきっと、そういうことだわ。

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