22.「わたし」、かくれんぼ。

不在のわたしに、スキをありがとう。
そこには誰もいないのに、わたしの過去だけが置き去りになって
知らぬまに だれかの目に触れる。

不在のわたしを、気にとめてくれてありがとう。


ここでのわたしは誰でもなくて
ここでのわたしを誰も知らなくて

だからわたしは、誰にでもない言葉を吐けたの。
自由に、自由に。
誰の目も気にせずに。

それは時に、一番弱い部分かもしれない。
見られたくない部分かもしれない。

だって、
いつもは「誰か」の言葉を借りて「わたし」を語るのに
これは「わたし」が綴る「わたし」のお話なのだもの。
どう足掻いても誤魔化しようがない。

時に、吐き捨てられた感情 「わたし」。
本当は拾ってほしかったのかもしれない、けど

「どうぞご心配なく」「わたしは大丈夫よ」「どうか気にしないで」
誰にでも弱さを見せられるわけじゃない。
かまってほしいわけではないんだ。
いい顔をしたい相手ならなおさら、

―― どうかそんな吐き捨てられたような感情に、あなたは触れないで。

それは、わたしの嫌いなわたしなのです。
決して、あなたが嫌いなわけじゃない。それは分かって。


だから、だから少しだけ、かくれんぼをさせてください。
ここにいるのは、お話を書くわたしではありません。
ただの小さなわたしです。戯言を吐くわたしです。

まだ、誰にでもすべてを晒せるほど、わたしは強くはありません。

見つかりませんように。 ―――でも、それは本心?
こっちに来るな、あっち行け。―――でも、1人忘れられるのは嫌だ 

そう、これはまさに かくれんぼです。
ただ、自意識過剰になって、空想のともだちを相手にし、
1人でやってるだけなのです。

そう、だから、だからどうか
気にとめないでください。
そんなぐちゃぐちゃしたわたしを
知ってさえいてくだされば、それでもう、もう、十分ですから。

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