34.わたしの髪はまだ短い。

6月が終るまで、あと数時間。

ふらりと
お酒でも飲みに行ってみたいものね。

このまま真っ直ぐ家に帰りたくないの。
星を眺めて歩くのでも、いい。

空想だけ繰り広げ
結局どこにも行かないのは
勇気がないから。

明日はまだ金曜日でしょう?
そうやって言い訳してる。

私、
紅色の服を買ったの。
髪も伸ばしてみることにしたの。

今まで何となく避けてきた
女性らしさというものと
向き合ってみることに決めたの。

自分は綺麗になんて
なれないんじゃないかと思ってた。
別に、外見ばかり飾ったって
いやらしいだけだと思ってた。

そういう女の子たちを
知らず知らずで軽蔑してたわたしは
やっぱりどこか、
心が腐ってたのかもしれない。

ゆれる ゆれる
ここはまだ狭間なのです。


変わりたい自分と
変われない自分と
違う景色が見たいわたしと
ここにとどまっていたいわたしと。

煮え切らない心をおいて
短すぎる夜時間 刻々
日がのぼったなら明日からはもう7月。

そうしてるうち
からりと晴れた青空の
夏が、ひとりでにやって来ます。

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