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87.夢に狂うゆめ

…今更、あなたの夢は何だったの?なんて
笑っちゃう質問ね。
あなた、わたしの夢が何だったか、知らないわけがないでしょう?それとも、知っててあえてそんな質問してるの?ははっ…性悪。

いいの、別に恨んじゃいないわ。
だたわたしにあなたを裏切るだけの勇気がなかっただけだもの。あなたの望むいい子を演じ続けているだけよ、そして今、あなたが望むとおりの、平凡で、それなりに不自由のない、それなりに幸せな人生を歩んでいるわ。

これで良かったのよって自分を納得させて
…いいえ、納得させたふりをして
未だに夢をぶら下げたまま生きてるわたしは
見る人から見ればさぞ滑稽でしょうね。

…夢に本気で生きている人が羨ましい。
どんな形でも、挑戦して、前に進もうと苦しみもがいている姿すら、わたしからしたら輝いて見える。

若い頃はわたしも、わたしの立ち位置からでも届くものを得ようと、必死になって手を伸ばしたわ。
でも、残念だけど、心も歳をとるのね。
悲しいけれどもう、今更夢に狂えないのよ…!
時間を忘れるほどに好きなことに夢中になって
身を粉にして、夢をかなえるために全身全霊をささげ
情熱をかたむけるだけの体力が、気力が…もうないの。

なりたいものがあった。
今でもなりたいものだけど、それは
今更狂えないわたしにとって、どこまでいっても憧れで。憧れのまま、終わることを、もうわたしは分かってる。

ねぇだからさ、
分かっててそんな残酷な質問
わたしにしてこないで。

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87/100 「狂ったように」
狂ったような感情が描けないのならもういっそ
狂えないということをそのままに描けばいいのだと
思いついたのです。


「絵描きさんに100のお題」に文章で挑戦中。http://kuusouya.web.fc2.com/Story2/h_100.htm

一人称替え、部分抜粋、アドリブOKです。

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